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メールマガジン「法円坂」No.13



お元気ですか? 国立大阪メルマガ編集部です。

今年は、早くから、台風が多いですね!。

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    メールマガジン「法円坂」No.13 (2002/07/15)(国立大阪病院)
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         院 長 井 上 通 敏 で す 
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ワールドカップが終わって

 長居競技場でのワールドカップ「日本vsチュニジア戦」をVIP席で見せていた
だきました。本院が災害に備えての拠点病院の一つだったので、院長に招待状が
来た次第。現場で事件が起こりそうだったら救命救急センターへ中継するからと
かいって、日本チームのユニフォーム(YANAGISAWA)まで買込んで出かけました
が、VIP席はみなさんネクタイ姿だったので残念ながら着ずじまい。でもゲーム
には熱中しました。森島、中田がゴールしたときは興奮、興奮。病院へ電話しま
したが、携帯電話はパンク状 態。幸いフーリガンらしきグループも見かけず、
これは大丈夫と最後まで楽しみました。


 今月は医療の話はお休みして、150年前、インディアンのシアトル首長がアメ
リカの第14代大統領フランクリン・ピアスに宛てた手紙を引用。
http://www.tecnet.or.jp/~chikayo/siatoru.html 

全世界の国や人種がサッカーの興奮から醒めたとき、21世紀の地球と人類につい
て静かに考えるべきことを示唆しているように感じます。



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         消化器科部長 池田昌弘です
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「25年」

内視鏡を始めて25年、大阪病院の内視鏡センター運営委員長になって10年になり
ます。ある時ふと数えてみました。25年間で上部消化管2万5千件、大腸3千件、
その他は2千件・・・。最近は、年間上部500件、大腸200件、その他100件という
ペースで、大腸の割合が増えています。検討会で画像や所見をチェックした分は、
この7?8倍になるでしょうか。20万例以上の消化管内視鏡に関与してきたことに
なります。

先端カメラ撮影からはじまって、この間内視鏡機器は目覚ましい進歩を遂げてき
ました。そのなかで一番大きな変化は、ファイバースコープから電子スコープに
なったことではないかと考えています。接眼部から直接見るのではなくモニター
を見るようになったことが、内視鏡検査の質を大きく変えたように思います。確
かにモニターで画面を共有できる利点は診断治療に大きく貢献してきましたし、
目が疲れにくくなりましたが、一方ではモニターが介在することによって、「覗
く」すなわち生身の患者と対しているという感覚が薄れてきたように感じていま
す。
内視鏡は今後カプセル内視鏡やバーチャル内視鏡へと進んでいく流れがあり、こ
の傾向がますます助長されていくでしょう。これは、医療の他の分野でも言える
ことかもしれませんが。

もう一つの変化として、内視鏡において診断から治療へというベクトルが常に働
いてきたことが挙げられます。
診断の精緻化はいきつくところまでいった感がありますが、治療の分野はまだま
だこれからです。25年前には、ポリペクトミーも一般化していませんでした。そ
の後止血、腫瘍切除、狭窄解除、瘻孔形成、縫合など新しい手技が次々と開発さ
れ、外科の領域に踏み込んできました。一方では外科も内視鏡にどんどん近づい
てきているという現実があり、両者の区分けが難しい領域も出現してきています。
当院では外科と消化器科が共に内視鏡を行っており、ディスカッションする場を
設けて症例の検討も行ってきました。今後さらにお互いに切磋琢磨して新しい領
域に挑戦していきたいと思っています。



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         整形外科部長 大園健二です
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整形外科から
「Where are we? and where should we go from here?」

医学は人類の長い歴史と共に進歩してきた。過去25年だけでもCTが登場し、MRI
が登場し、Scopic Surgeryが当たり前になり、よく効く抗ガン剤が登場してきた。
しかし客観的に人類の医学はいったいどの程度進歩したのだろう?

そもそも原始的な人類の第一段階の医学?として呪術やお祓いが「病の治療」と
して行われてきた。第二段階は多少経験を積んだ人たちが薬草を用いたり、鍼灸
のような物理的刺激などの対症療法を行うようになった段階である。そして近代
医学が体の仕組みを知り、病気のメカニズムを知り、患部を外科的に切り取り、
足らない機能を薬で補うという方法で病気に立ち向かうようになった。これが現
在の医学が属する第三段階である。

整形外科でいえば荒廃した関節を切除して人工関節に置換して再び歩行能力を獲
得する、切断された下肢に最新式のセンサーを埋め込んだ義足を装着して優れた
歩行能力を獲得するというような治療法である。

たしかに過去40年にわたる生体材料(チタン合金やセラミックスなど)の開発、
コンピューター支援デザイン、手術手技の進歩などによって人工関節の性能と耐
用年数は飛躍的に改善してきた。しかし所詮、患部を切除し人工関節を移植する、
臓器機能の不足を薬剤で補うというレベルに現在の人類の医学はとどまっている
のだ。このような医療により患者さんは病気による障害を克服し社会復帰できる
ので現実的にはハッピーだが、真の意味で「疾患を治している」とは言い切れな
い。

整形外科医「関節の軟骨が磨り減っているので人工関節手術が必要です」
患   者「軟骨を再生することはできないのですか?」
整形外科医「軟骨は再生出来ないんです」

以上は整形外科外来でよくある会話だ。真に病気を治すとは、すなわち医学の第
四段階であるが、今まで不可逆性であると考えられてきた障害から元の健康な体
にもどすことであり、このためには昨今話題の「再生医学」が医学の第四段階の
端緒となるであろう。SF的だが脊髄損傷が回復するとか、痛んだ心臓を幹細胞か
ら再生することなどが実現するかも知れない。トカゲの尻尾は切られてもまた再
生するし、イモリの眼や四肢も再生する。きっと人類にも、このような失われた
再生力が潜んでいて、科学の進歩によりその再生力を蘇らせることが出来るよう
になるに違いない。

第四段階の医学が現実となる日を夢見ながら、現実世界に住む我々は目前の病気
を診断し手術の腕をみがき、良質の医療を提供して目前の患者さんの幸せのため
に寸暇を惜しんで働き続けることが与えられた使命であることを肝に銘じよう。

現在、国立大阪病院整形外科では1週間に5〜6人のペースで人工関節の手術をこ
なしているが、それでも手術待ちの患者さんには半年以上待機していただかなけ
ればならない。
だから患者さんには毎回言うのである。「申し訳ありませんがこの病院で手術の
順番を待っててくださいね。絶対待っただけのかいがあるといわれるような手術
をしますからね。」我々は医学四段階のまだ第三段階にいるのです。



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     医 長 会 の 話 題 (02.06.26)
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胃がんの内視鏡治療の進歩
−IT(Insulation-tipped) ナイフの導入− 

消化器科  道田知樹

 日本では、健診の発達により、胃がんの約50%が早期がんとして見つかり(欧
米では20%)、この早期がんでは95%以上で転移を認めないとされます。胃がん
の内視鏡的胃粘膜切除術(EMR)は、転移のない早期癌を対象として、病変を含
む胃の粘膜層(と粘膜下層の一部)をはぎ取るという局所切除で、早期胃がんに
対する縮小手術として適応が拡がりつつあります。胃がんの転移(特にリンパ節
(LN))の有無は、まだ確実にわかる検査法がないため、手術例をもとに、大き
さ・形(がん巣内潰瘍(ul)有無も含む)・深達度・組織型の組み合わせより経
験的に転移の可能性を類推します。これらの要素は、術前は内視鏡検査により診
断されますが、内視鏡診断は必ずしも正確でなく、特に内視鏡的深達度sm(粘膜
下層)とされたがんの正診率は約60%とされますし、実際の早期がんEMR例でも、
約10%にEMR前後の診断の相違を認めています。すなわち上記の因子は厳密には切
除標本で決定されるため、内視鏡治療の際できるだけ一括に切除し、正確に術後
組織評価をすることが重要です。このようにEMRは、正確な術後診断のできる切
除技術と、転移のない癌の厳密な選択により可能となるわけです。・・・・・

続きはこちらで。↓
http://www.onh.go.jp/icho/ 



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      看 護 の こ こ ろ (看護部から)
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東11階 吉田 美和子です。

 神経内科・眼科の混合病棟の病棟に配属されて早二年、看護そのものも難しく、
さらにその看護をスタッフに伝えることの難しさを感じる一方、看護の奥行きの
深さに感動し、患者様との会話の中に喜びを見出しています。

 神経内科の患者様は徐々に機能が落ちていく人,小康状態と悪化が繰り返し、
その都度確実に機能が落ちていく人、パーキンソン病のように日内変動がある人
などさまざまです。

 その中で、ある筋萎縮性側索硬化症の患者様は,呼吸筋の機能が落ちてCO2が
貯まり酸素療法だけで対応出来なくなっていました。ご本人はこの時がくること
をICされており、主治医には人工呼吸器はつけないで欲しいと言っておられまし
た。
しかし、いよいよ最後の決定を迫られたとき、ご本人は強く拒否されましたが、
妻と二人の子どもは泣きながら装着を希望しました。医師は、やむなく翌日まで
装着を保留し、さらに本人、家族と話し合いを重ねました。
私はこれが外国ならば本人の意向に家族は同意し、そのまま死を迎えるばかりで
あっただろうと感じました。
しかし、この患者の妻は同意した場合、自分が死ぬ日まで後悔して暮らすであろ
うし、子供達も延命を強く望んでいることは良く解りました。
いよいよ,最後の話し合いの時、ご本人もCO2が貯まって判断能力がやや鈍って
いた様子もありましたが、呼吸器装着に同意する頷きの返事があり、直ちに実施
されました。
その後、状況は安定し、一番の楽しみの「食」を尊重し食道気管分離術が行われ、
現在、在宅で人工呼吸器を装着しながら、全て妻の手作りの食事を食べておられ
ます。
おさしみが大好きなので、嚥下がし易いようとろろをかけたものを、目を細くし
ておいしそうに食べています。
妻は今でも、生きていてくれるだけでうれしいとおっしゃっていますが、患者様
が今、あの時のことをどのように思っておられるのか,聞いてはいけないことか
なと思っています。
こうして、一人一人の患者様及びその家族と共に泣き笑いをしていますが、必ず
そのポイントとなる時に受持ち看護師を同席させ、その看護師の考えを聞き私の
考えを伝えるようにしています。これは、看取りの場合も同じで、受持ち看護師
に、患者様お一人ずつの経過を振り返り、次の看護に生かすようにして指導して
います。

 眼科の患者様も、繰り返す網膜剥離や視力低下のきびしい糖尿病性網膜症等で
は不安や落胆が大きく、患者様の心に少しでも寄り添いたいと思っています。

私の考える「看護のこころ」とは、患者様の心に寄り添い支援すること、その為
に弛まぬ学習をする姿勢を持ちあわせることだと思います。

http://www.onh.go.jp/kango/kokoro.htm 



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          研 修 医 日 記
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内科系研修医 森正彦です。

昨年一年間で総合内科・麻酔科・小児科と研修をさせて頂き、現在は消化器科を
研修させていただいております。
この一年、私の研修内容で他の研修医と明らかに異なる点がたった一つだけ、あ
ります。
それは・・・
「なんでまた、そんなに外国人患者さん担当なん?」
です。
年間担当数は国立大阪病院No.1ではないかという説も(医事課談)。

これまでに8ヶ国(中国・韓国・タイ・インド・ ブラジル・スペイン・イタリ
ア・アメリカ)の患者さんとイギリスからの留学生実習を担当しました。

主治医としてだけでなく、他科の患者さんのお手伝いもさせていただいております。
(最近の例:中国人患者さんの整形外科術後管理)

「外国人患者さんは一年で2・3人ぐらいなのに、森が来て2ヶ月で既に3人!」

「ワールドカップ対策研修医ぢゃ。」

医学だけでなく外国語も学べる病院、そう、それが国立大阪病院です(笑)。

"語学研修医"
人は私をこう呼びます。

http://www.onh.go.jp/kensyu/nikki.html 



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     外来化学療法室が開設されました!
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7月1日より1階に外来化学療法室(リクライニングベッド10)が稼働を始めまし
た。これまでのところ、スムーズに運営出来ております。今後さらに充実した外
来化学療法室にしていこうと考えており以下の取り組みを始めました。

◆ 専任薬剤師・専任看護婦・室長補佐を中心に日毎の問題点の検討。
◆ ご利用頂いた患者様にはアンケートにご協力いただき、「生の声」を頂いております。
◆ 患者様のカルテに主治医との連絡事項をチェック項目とした用紙を挟んでおります。

また、癒しの空間をプロデュースするための絵画・写真・CD・図書などの充実を
図りたいと考えています。
今後は、化学療法の情報室としても資料など充実させていく予定です。

化学療法室 室長   辻仲 利政(外科部長)
室長補佐 里見絵理子(消化器科)       



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ふと気付くと、もう夜中の12時。
明日も仕事があるから、ぼちぼち帰らねば、、。

 皆さん、夏休みの計画はもう立てられましたか?

ではまた、来月!!


国立大阪メルマガ編集部

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