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メールマガジン「法円坂」No.18(2002/11/16)(国立大阪病院)



お元気ですか? 国立大阪メルマガ編集部です。

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    メールマガジン「法円坂」No.18 (2002/12/16)(国立大阪病院)
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         院 長 井 上 通 敏 で す
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「左脳と右脳とIT」

 言語中枢のある左脳はディジタル的で主として論理的思考を受け持ち、右脳はアナ
ログ的で音楽・美術などパターン認識を担っています。左脳の働きのよい人は数学が
得意で分析力にも優れているはずですが、面白いのは、碁や将棋がどちらの脳を使っ
ているかです。碁も将棋もディジタルですから左脳の能力に依存しているように思え
ますが、関西棋院の和田博理事長(阪大名誉教授、薬理学)のお話では、実は右脳が
障害されたときのほうが碁も将棋も弱くなるそうです。右脳が担っている大局観や構
想力が駄目になるからですが、プロの棋士といえども左脳で一手一手を論理的に積み
上げて次の手を決めているのではなく、右脳の直観力やパターン認識力が強さの秘訣
のようです。事実、PETで棋士の脳の活動を調べると右脳がよく働いている。

 人の左脳の論理的処理能力はそれほどたいしたことでなく、右脳のアナログ処理が
活躍しているようです。だから天才もときに間違うのでしょう。" To Err Is Human "

 ところが、人間はコンピュータという論理的処理にめっぽう強い機械を発明し、こ
れをパートナーとして脳の弱点を補うことになった。これが大成功。20世紀最大の発
明ですね。人工衛星、飛行機、新幹線、自動車から家電、携帯電話にいたるまで、精
度が著しく向上した。

 そこで、医療でもコンピュータをもっと活用すれば医療過誤を少なくすることがで
きるはずだ、という外圧が、最近、高まっています。早く電子カルテに切り替えたら
どうかという声が、ITに強い患者さんからも産業界やマスコミからも伝わってくる。

 医療の対象が機械ではなく生命・人間であることが遅れている理由の一つですが、
音楽家や画家ほどではないにしても、医師の判断も多分に右脳に頼っているところが
あって、コンピュータに任せにくい場面が少なくないことも確かです。近い将来、コ
ンピュータと右脳を結ぶ脳梁のような機能をうまく設計できれば、診療のよきパート
ナーとなる電子カルテが誕生するだろうと思います。もう少し待ってください。


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        検査科部長 福原吉典です。
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「腎不全対策」

 我が国の透析患者数は増加の一途をたどっていて,2000年末に20万人を突破し,昨
年末には22万人近くまで増加したことが,日本透析医学会から報告されています.過
去3年間の単年度の透析導入患者数は3万人を超え,なお増加傾向が認められていま
す.試算では,2010年までに30万人を超えることが予想されています.近年の特徴と
しては,糖尿病性腎症を原疾患とするものが1998年に慢性腎炎を抜いて第1位となり
,その割合が39%と最も高くなっています.透析導入患者の平均年齢は昨年度で64.2
歳となり,全体での平均年齢も61.6歳と高齢化してきています.この10年間,透析人
口(年度末患者)の平均年齢は毎年0.6〜0.7歳ずつコンスタントに高齢化してきてい
ます.

 医療経済学的な側面から透析医療を見てみますと,一人当たりの透析医療にかかる
年間費用が500万円余であることから,全体では1兆円を超える医療費が透析医療
に注ぎ込まれています.総医療費の20分の1以上を占めていることから,早急な腎
不全への進展防止対策が望まれています.

 私たち腎疾患診療に携わるものとしては,腎疾患の進展悪化を如何に阻止するかが
最大の課題であります.透析導入原因の第1位である糖尿病性腎症では,まだ通常の
尿検査で蛋白尿が指摘されない微量アルブミン尿の段階から,変換酵素阻害薬(ACEI
)やアンギオテンシン受容体拮抗薬(ARB)などを使用することによって,腎症の悪
化を防げることができることが国内外の大規模臨床研究から明らかにされています.

 慢性腎炎の中日本で最も頻度が高いIgA腎症では,以前考えられていたよりは予後
の悪いものが多く,15〜20年の経過で約40%程度が透析療法に移行するとされていま
す.一般に慢性腎炎では蛋白尿・血尿が続いていても,自覚症状をほとんど伴わない
ため放置されがちです.経過が長いことから,一時は通院していても中断されてしま
うことも少なくありません.腎炎が悪化していくかどうかを予測するものとして,持
続的な蛋白尿(一日0.5g以上),高血圧の存在,腎機能がすでに低下していること
(例えば血清クレアチニン値が1.2mg/dl以上)があげられ,いずれか一つでもあれば
専門医を受診していただくことが奨められます.

 早期の段階からの予防に勝る腎不全対策はありませんので,どうか気軽に総合内科
外来を受診していただきたく考えます.


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          ト ピ ッ ク ス
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「中国の心臓病治療の現状」
          循環器科医長 陳若富

私の数年来の夢である母国中国との医療交流プロジェクトの第1弾として、平成13年1
0月北京市人民解放軍総医院(通称第301医院)を訪問、心カテ室と心臓病棟を見学し
、「複雑病変に対する治療戦略」というテーマで講演してきました。

今年は第2弾として、まず日中国交正常化30周年記念として開催された日中医学大会2
002に参加した後、中国国内の6つの病院を訪問、冠動脈形成術(以下、PCI)の実技
指導などを行い、いくつかの知見を得てきましたのでここに報告します。

全文へ↓
http://www.onh.go.jp/seisaku/international/chin.html


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       看 護 の こ こ ろ (看護部から)
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 2002年、皆様はこの一年どんな年になりましたでしょうか?
今年最後の「看護のこころ」担当の光木です。

 私は循環器科と心臓血管外科の病棟を担当しています。当病棟は疾患の特性から院
内一番患者様の平均年齢が高い(常に65歳以上)病棟です。

入院患者様を看させていただいて、最近思うことは、社会の縮図が病院の中にも反映
しているということです。

 例えば、96歳の元気な方がペースメーカーの交換にいらっしゃると思えば、御家族
と同居しておられるのですが、忙しくて朝・夕の声賭けもいただけずに食事と内服薬
が飲めていなくて脱水や心不全増悪で入院してこられる方がいらっしゃいます。
入院中に食事が摂取でき、内服薬も朝・夕きちんと飲むだけで症状は軽快します。
退院時にご家族に対し御家庭でも続していただきたい事をお願いしても、結局、病院
に戻ってくるケースもあります。 社会資源を御利用いただくにも本人やご家族の方
の意思で選択していただくことになるので私たちの介入もここまでという事になります。
とは行っても、こうして看護師をしている私自身さえ末期がんの家族を持っていなが
ら、遠方にいる事を理由に何もしてあげられない状態にいます。

  けれども、その家族の変わりに私たち看護師は、いつも患者様の気持ちに寄り添え
るような看護の心をもち続けて日々頑張っています。

http://www.onh.go.jp/kango/kokoro.htm


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          研 修 医 日 記
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整形外科研修医2年目の野田 和王です。

 早いもので、平成13年6月よりここ国立大阪病院で研修医生活を始めて1年半が過ぎ
ました。最初の1年間は整形外科にて、次の半年間は麻酔科にて、そして今再び整形
外科にて研修しています。

 整形外科は、私にとって一番楽しくてやりがいのある科だと思っています。
なぜなら、他の医学分野と少し異なり患者さんの狭い意味でのADLの改善を主目的
としており患者さんが少しでも楽しい生活を送るための手助けが出来るからです。
頚髄症の患者さんが歩行困難で入院してきて、術後劇的に改善し、頚椎カラーを着け
ているのにスタスタ歩いている姿を見ると、思わず笑ってしまいます。
 また、変形性股関節症のおばちゃん(患者さん)に問診を取っていると、最初は元気
のいいおばちゃんやなあと思っていても、「股関節が痛くて4月から全然外に出れへ
んねん」なんて件になると、突然涙ぐんできたり、「普段は気ィ強いねんけどな…」
って。
私みたいな若造でも主治医は主治医。辛かったんやろなあ、頼りにしてくれてるんや
ろなあって思います。

 研修医の生活は、1年目のときは、こんな酷い生活はごめんだ、風邪引いても薬は
出せない、1日たりとも休みはない、その割に給料は安い、スタッフの先生とコメデ
ィカルの方々との板ばさみ、等々思っており、誰とも話したくない、もうほっといて
ほしい、とうつ状態にでもなってるんじゃないかと思う日も多々ありました。
 しかしこの数ヶ月、麻酔科研修を終えてくらいから気持ちの変化が起こりつつあり
ます。

 基本中の基本の医療技術、知識が身につきつつあるのか、診療の流れ、患者さんと
の自分独自のコミュニケーションのとり方、その他もろもろ。
 患者さんが文字通り ひよっこを医者に育ててくれるんやなあと改めて思います。
 こんな私もようやくトサカの芽が生えかけてきたかなと自覚しています。最近は、
抜釘手術・骨折の手術、人工膝関節の手術等少しずつ実際にやらせて頂き、とても有
意義な時間を過ごしており、また来年3月には、私初の学会発表(症例報告)も控え
ています。

 自分はどんな医者になりたいのか、今なんのためにこれこれやっているのか、常に
自問自答して成長し続ける自分でありたいと思っています。

今までの研修医日記↓
http://www.onh.go.jp/kensyu/nikki.html
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あっという間に、もう12月なかばです。
1月にたてた計画が破綻しかけている日々ですが、なにより無事に新年を迎えたい心
境です。
また、来年もよろしくお願いします。


9月より新サーバでの運用です。新サーバでは、バックナンバーも見ていただけます。
http://m-maga.onh.go.jp/

                      国立大阪メルマガ編集部

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