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メールマガジン「法円坂」No.19(2003/01/15)(国立大阪病院)



お元気ですか? 国立大阪メルマガ編集部です。

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    メールマガジン「法円坂」No.19 (2003/01/15)(国立大阪病院)
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         院 長 井 上 通 敏 で す
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 みなさま、新年明けましておめでとうございます。

 地域のみなさまと国立大阪病院とのつながりが年々太くなってきて病院のキャラク
ターも変わってきたように感じます。本年もよろしくお願いします。


 年末年始の休日が9日間でした。この空白の期間に事故が起こらなかったのでほっ
としました。多くの職員が厭わずに出勤してくれたお陰です。決められた当直体制だ
けではとても無理です。どこの病院も同じだろうと思います。休日が増えるのは結構
ですが、病人の不安も院長の心配も増えます。

 消防や警察は24時間体制ですが、どうして病院は8時間なのでしょうか。8時間勤務
、土日完全休暇を遵守できている病院勤務医など一人もいません。労働基準法を守っ
ていては良心的な医療ができないのが現場です。夜間や休日のスタッフを増やしたい
のですが、職員の絶対数が不足です。1床当たりの職員数が日本の病院はアメリカの1
/3以下です。サービス残業をせざるを得ないのが日本の病院ですが、そのお陰で日本
の医療費が安くついていることを国民の皆様はご存知でしょうか。レジデントや研修
医の待遇も酷いものです。低医療費で欧米並みの水準の医療を提供してきましたが、
命に関わる仕事をいつまでもサービスに依存することは決してよくありません。国民
の理解を得て改めたいものです。

 新年早々ぼやいてしまいました。


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        病理部長  倉田明彦です
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「縁の上の力持ち」

 私は20年余り病理医として本院で勤務してきた。病理医とはどんな仕事ですかと尋
ねられることがしばしばある。特にわが国では医療関係者以外の一般の人々が病理医
はどんなことをする医者か殆どご存知ない。30年前の話になるが、2年間の滞米中、
いろいろな人たちから国籍や職業を聞かれたとき、Pathologist(病理医)であると
の私の答えに、それは何かと問い返されたことは無く、たいていより親密度のました
表現で応えてくれたことである。日本と米国との彼我の差に、ある侘しさを感ずるが
、同じ経験をもつ病理医仲間も少なくない。

 外来や病棟で病める人々と直接接する機会も無い日常業務を考えれば、一般の人々
がその存在を知らないのも当然かもしれない。病理医はどんな医者ですかと聞かれた
とき、複雑な仕事の内容を説明するのも難しく専ら縁の下の力持ち的な仕事をしてお
りますと答えることが多い。「病理医は手術・生検材料を対象に個々の病気の病理学
的診断確定、治療方針の決定、治療効果の評価などを通じて{医療の重要な部分に参
画}し、また病理解剖を遂行して症例を解析し、教育・研究を行うとともに医療の検
証に重要な医学的判断を与えている。」などと学会での発表のような公式的説明をす
れば、話はより専門的、複雑になり、説明するのにある種の煩わしさを感ずる。しか
し、説明にあたり、チーム医療の一員としてこのような仕事をしておりますと「チー
ム医療」の語句をあえて使えば、医療関係者以外の人々の理解を得られることが多い。

 病理検査は臨床検査科に属しているので臨床検査技師とのかかわりが深い。私が毎
日顕微鏡下で観察し診断している病理標本を作成しているのは病理検査技師である。
また彼らは細胞診スクリーナーとして病理診断部門の一翼を担っている。病理医を臨
床の先生の縁の下の力持ちとすれば、病理検査技師は病理医における縁の下の力持ち
となる。

 検査部門は一般の人の目にとまったり、あるいは接する機会が少ないので、その多
機能にわたる各部門(一般、化学、血清、血液、微生物、生理、輸血、病理)より構
成されているのもおそらくご存じないと思われる。概算ではあるが本院の臨床検査科
では一日に1000人近い患者さんの検体(数千の検査件数)を測定・解析し検査情報と
して主治医に報告している。これらの機能がどれ一つ欠けても、日常の診療や本院の
目的とする高次機能医療機関としての役割は果たせないのである。

 チーム医療の一員として、縁の下の力持ち的存在は何も病理医や検査技師に限った
話ではない。医師の業務を陰になりひなたになり支える看護師を始め、放射線技師、
薬剤師、栄養管理士、臨床工学士、理学療法士など枚挙に暇がない。詳しい説明は省
かしていただくが、縁の下の力持ち集団が、互いの緊密な連携プレイのもとで緊急時
どれだけの患者さんの救命に奔走しているか私はしばしば目にしている。縁の下の力
持ち集団の一言が難解な病気の原因を明らかにしたこともある。

 高い建物には堅固な土台が必要なように、高次機能医療にも強固な土台が必要であ
る。paramedicalと呼ばれた縁の下力持ち集団は現在では医者の良きパートナー、com
edical staffとなり縁の上の力持ち軍団に成長しつつある。今日も自負と誇りを持っ
て働いている。どうか一般の人々の理解と応援をお願いしたいものである。


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     医 長 会 の 話 題 (02.12.25)
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「心電図QT時間と不整脈 ―クスリはリスク―」
                 循環器科 橋本 克次

「クスリはリスク」、この何とも語呂のよい言葉は、私が学生時代、当時の阪大の第
二薬理の和田教授が薬理学の講義の一番最初に黒板に書かれたものである。薬は主作
用により病気や怪我を治し我々に多大な恩恵を与えてくれる一方で、時には害を及ぼ
すという副作用を併せ持つので、その使用に当たっては常に謙虚であらねばならない
。医療人にとって、この短い言葉のなかに込められた意味は重く、爾来、私の座右の
銘とさせていただいている。本日は、消化器用剤の投与によって命にかかわる重大な
不整脈が誘発された症例報告1)をもとに心電図QT時間と不整脈について概説させてい
ただく。症例は70才の女性で、・・・

続きはこちらで↓
http://www.onh.go.jp/icho/


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       看 護 の こ こ ろ (看護部から)
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新年明けましておめでとうございます。

 統括リスクマネージャーの森田です。医療安全対策推進室の開設から10ヶ月目に入
りました。医療に関わるあらゆる人びとの安全な環境の提供を目指し活動をしています。

 最近、看護記録プロジェクトの活動の一環として、インフォームドコンセント後の
患者さまの反応を入院中のカルテで調査しました。

その中の一事例です。患者さまの主観的情報記録を拾ってみました。

「なんかなー、信じられへんのや。今まで全く病気したことがなかったし、入院もは
じめてやし・・・人ごとみたいで 」
「でも腫瘍が深く入り込んでるから、手術しても再発することもあるんやって」
「・・・手術するなんて・・・手術じゃないとダメなんか?」
「ほんまに声がでえへんの?『あ』とか『う』とかくらいは出るんやろ?」
「やっぱり声がなくなるのがなあ・・・」
「この声ともあと少しやな。いっぱい人がいるのに、なんでわしが癌になるんやって
思う。人の世話になるなんて自分は死ぬまで無縁やと思ってたからな。まあ、命が一
番大切やし、手術も頑張ろうと思っている」

 看護師は患者さまのこころの変化を患者さま自身の言葉で記録しています。1回目
のIC後は自分の病気のことを「がん」とは表現しなかった患者さまが「腫瘍が深く入
り込んでいる」と自分の病気を自発的に話すようになり、家族旅行をし、患者会の見
学にも行き、「手術も頑張ろう」と言えるようになっています。患者さまの心の動き
にそいながら手術のオリエンテーションをし、術後のボディイメージの変化を自ら語
れるように援助する看護師の関わりがよくわかりました。

 私は看護記録を読みながら胸が熱くなりました。患者さまの闘病の姿、昼夜をとわ
ず行なわれる治療、看護。患者さまと医療者の信頼。それらの一つ一つを台無しにし
てしまうのがまさに医療の場で起きるアクシデントなのです。医療における安全な環
境の提供の大切さを再認識させられました。今年は医療安全活動をみなさまと共に展
開し、看護のこころを再確認したいと考えています。

http://www.onh.go.jp/kango/kokoro.htm


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          研 修 医 日 記
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はじめまして。研修2年目の上田高志です。

今の心境は、「医者として働き始めてもう2年も経ってしまった!あと5ヶ月も経つと
研修医でなくなってしまう!!」という感じです。
今までを振り返ってみると本当にアッという間でした。

1年目の5月に大学病院で研修前のトレーニング期間が1ヶ月間あり、そこで初めて主
治医として患者さんを担当させてもらいました。最初は採血、点滴、薬の処方から何
から何まで戸惑いの連続でした。患者さんのところに行っても何をすればいいのか全
くわからず、患者さんの身の回りの世話や身の上話を聞いたりして、どっちかと言う
と家政婦さんのような状態でした。
患者さんと仲良くなったのはいいが治療の方はサッパリで、オーベンの先生の言う事
を聞いてはいるものの、まさに馬耳東風という言葉がピッタリの状態。中でも一番苦
手だった(現在でも苦手なんですが。)のがオーベンの先生方がずらりと揃ったカンフ
ァでした。

ここで主治医としてプレゼンテーションをするわけですが、話下手で照れ屋で赤面症
の自分にはそれはまさに拷問のような時間。口を開いたはいいものの片言の日本語で
終わってしまい、酔っ払ったかのように赤面し、額からは滝のような冷汗をかき、自
分の掘ったドツボにハマって自爆の連続の日々。
その時の気持ちとしては「自分はとてもじゃないけど医者にはなれないわ。えらい選
択をしてしまった。もうダメだー!!」という後悔の念が頭の中をぐるぐる回り、い
つもオーダリング画面の前で置物のように固まっていました。

そんな自分も1年目の6月から国立大阪病院で研修をさせてもらい、医者として1年半
以上働いています。
今の自分の気持ちとしては医者になって本当に良かったと思っています。忙しくてま
ともな休みもなく、ボーナスもなく懐には常に北風がピューピューと吹いていますが
、それでも何にも代え難い充実感があります。それはこんなにも頼りない自分を頼り
にしてくれた患者さんがいて下さったお陰だと思います。

できる限り良い治療が出来るように、たまに(?)息抜きをしながら頑張っていきたい
と思う今日この頃です。

http://www.onh.go.jp/kensyu/nikki.html

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今年は、記録的な寒さですね。インフルエンザも流行っています。
今までの暖冬に慣れていたせいか、ちょっと調子を崩している方もあるのではないで
しょうか?
そんな時は、無理をせず、十分な休息をとるようにしましょう。


2002年9月より新サーバでの運用です。新サーバでは、バックナンバーも見てい
ただけます。
http://m-maga.onh.go.jp/

                      国立大阪メルマガ編集部

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