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メールマガジン「法円坂」No.24(2003/06/13)(国立大阪病院)



こんにちは。 国立大阪メルマガ編集部です。
大阪は梅雨に入りました。
急激な温度変化に体調を崩さないよう、気をつけたいものです。

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    メールマガジン「法円坂」No.24 (2003/6/13)(国立大阪病院)
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今月号の目次
 ・院長 廣島和夫 です
 ・関西空港検疫所の応援医師報告
 ・SARS報告        
 ・看護のこころ (看護部から)
 ・研修医日記
 ・お知らせ

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         院 長 廣島和夫 で す
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国立病院の役割:国がなすべき医療とは?
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 国立病院の職員は、何時も、「国」の病院は民間の病院と同じ医療内容であっては
ならないのか、「国」固有の役割を担わねばならないとすればそれは何なのか、自問
自答しています。

 本来、医療とは患者さんのためのものです。
 
 患者さんの受ける医療の性質が「公」(設立母体:国公立など)によって供給され
たものと「民」(設立母体:民間医療機関)によって供給されたもので異なっていて
は困ります。

 しかし、疾患や治療の性質上、なかなか「民」では的確な医療サービスを供給し難
い領域があることは確かです。

 たとえば、ガンの治療です。
 治療のある局面のみを眺めれば「民」でも「公」でも同質の医療の提供が可能です
し、実際におこなわれています。

 一方、ガンの治療は集学的医療と云われています。
 徹底した集学的医療を実践しようとすれば、大きな組織だった機関が必要です。点
や線ではなく面での医療提供となれば、「公」的機関が担当している場合が圧倒的に
多くなります。

 実際に、良性疾患の多くは「民」で取り組まれ、悪性疾患は「公」が取り組むとい
う棲み分けが出来上がっています。

 また、小児や成人難病の医療も「公」が中心になって提供しています。3次救命救
急医療やエイズ診療なども「公」が取り組んでいます。

 原因の解らない疾患、診断が困難かつ治療法がない疾患、治らず患者への負担が大
きな疾患、その他国が取り組むべき医療と考えられるものは、国を挙げて解決に向け
て努力しなければならない役割があります。

 3次救命救急医療や大規模災害に関わる医療などは、「民」「公」ともどもで取り
組みますが、「公」による体制作りや指導性が重要です。

 国立大阪病院では、一般病院で治療している疾患の治療も勿論おこなっていますが。

 上述した国が率先してやらなければならない医療を担当することが、私どもの大切
な役割であると認識しています。


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 ちょっと感じたこと:譲り合いの気持ち
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毎日の病院への通勤には電車を利用していますが、駅の乗降客の行動には、驚かされ
ます。

 「乗っている人が全て降りてから、並んで待っている人が乗る」、というルールは
辛うじて守られています。

 しかし・・・、
 車内のドア付近に人が立ちはだかっていて降りる人の邪魔になっていても、一向に
移動しない人が非常に多くいます。

      一時的に自分も降りれば、他の降りる人の邪魔にならずスムースに乗降でき
るのに!

 ドアの外で待っている人々は、ドアが開くとドア周辺に迫ってきて今にも乗るぞ、
とばかりの姿勢をとります。そのために、降り口が狭く、一度に多くの人が降りるこ
とができません。

 ドアを挟んで内外2ヵ所にボトルネックが出来ています。
 これでは、定時発車などできず、毎日が延着になるのは当然です。

 関西だから行儀が悪いのでしょうか? 
 そんなことを思いたくはありません。

 自分が一歩譲れば済むことでも、なかなか譲ろうとはしません。

 エレベーターでも同じような行動パターンが見られます。
 道路を歩いていても、狭い道ですれ違いの際に少し身体を斜めにすれば互いに通り
過ぎやすいのに、身体を避けようとしない人々も少なくありません。

 医療に携わるものは、このような行動をしていないと信じます。
 まさか患者さんを前にして、「俺が先!」と押しのける医師はいないでしょう。

 ひとこと、「どうぞ」と云える気持ちを常に持ちたいものです。

 医療に係わる人々が、ちょっとした心遣い・気遣いを持つことは非常に大切です。



《お知らせ》

 来る7月1日をもって、国立大阪病院と国立療養所 千石荘病院とが統合され、この
地で、新たに
「国立病院 大阪医療センター」として発足致します。
 病院の中味(診療機能など)には大きな変化はなくこれまで通りですが、看護体制
が強化され、患者さんには少しは喜ばれるようになります。


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         関西空港検疫所の応援医師報告
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 総合内科 和田 晃

SARSの輸入防止の水際対策として空港の検疫強化が図られていることは新聞報道など
で知られていますが、今回応援医師として現場に立つ機会があったので簡単に紹介し
ます。

5月最後の土曜日、台風が四国に上陸したというニュースに、空港連絡橋を渡れるの
かなと心配しながら出勤。9時前に空港内の検疫所に到着、全般的な検疫所の紹介や
入国者のSARSのチェックについて説明を受け、北検疫所に。関西空港の検疫所は北・
南の2ヵ所あり、担当の北ゲートの到着予定便は17便、ただし4便は欠航。一般の到着
便は質問票による自己申告とカウンターに設置された体表面温度計でのチェック。北
京、台湾など流行地からの監視強化の対象便は到着後機内に検疫係員が入り、ひとり
ひとり質問票と体表面温度を調べることになっています。SARSに関連する症状や有熱
者は、症状からSARSが疑われる場合対岸の医療センターへ搬送、それ以外の場合は、
旅行者の場合すべての宿泊先、連絡先を教えてもらった上で、本人には朝夕検温して
その結果を検疫所まで電話連絡してくれるよう依頼します。

しばらく待つうちに到着便があり、検疫所の前をめいめいにみやげ物や手荷物を持っ
た旅行者がカウンターの前に行列。そして12時10分台北よりの飛行機が到着、係員が
飛行機に移動。数人の乗客が検疫所の相談室に係員に連れられてやって来られ検温と
問診。さいわい発熱している人や症状のある人はなく午前の便は終了。昼食をとって
待機していると、2時45分香港からの便が到着。これとこのすぐ後のバンクーバーか
らの到着便は検疫所でのチェックのためあっという間にカウンター前には長蛇の列。
さらにサンフランシスコから別の便が到着してあまり広くない検疫所前に400-500人
の行列ができ、空調が充分でないこともあり乗客の人たちもうんざりした表情。やは
り数人の人が相談所へ。多くは機内で飲酒され、体表面温度計で陽性と出ただけだっ
たが、3-4人は微熱があったため、症状の有無、SARS患者との接触の可能性(病院へ
の見舞いや医療機関従事者かなど)について質問、問題はないとの判断で、念のため
滞在先や住所を教えていただいた上で入国審査に向かっていただく。どの人もとまど
い、心配そうな表情で、「私の名前が新聞に出たりしませんか?」と聞く人も。「1
週間会社に出てくるなと言われたがどうすればいいか?」「SARSじゃないと証明して
もらうにはどうしたらいいの」といった相談で来られる旅行者も多く、一様に不安を
隠しきれない様子。ちょっと余裕ができてカウンターの方をみると5-6人の検疫係官
が行列の誘導をしたり、質問票の記載漏れについて再度記入をお願いしたり、相談室
へ乗客を誘導したりと懸命に走り回っています。質問票は記載漏れがないことを確認
し、乗客名簿と照合して回収漏れがないことをチェック。最後に北京からの到着便の
機内での検疫があり一息ついたところではや5時に。7時頃に到着便があるとのことで
したが交替に後事を託して勤務終了。

水際で輸入伝染病を防ぐという検疫所の役割は大きいと思いますが、検疫所でできる
ことは自己申告に基づく健康相談が主体であり、相談者が伝染病などにかかっていた
場合、その患者の健康や生命を守ることが第一義で、輸入伝染病から社会を守るとい
う意味では現行の検疫体制は強制力やシステムなどの点でやはり充分とはいえないで
しょう。さらに病気の潜伏期間よりはるかに短い数時間や十数時間で、流行地から飛
行機で日本にやって来れるという現代社会では、入国時の検疫といった国ごとの対応
では(流行地域への渡航を禁止するとか入国を拒否するとかといった非常手段に訴え
ない限り)おそらく防ぎきれるものではないと考えます。むしろいつでも海外から新
たな病気が入ってくるものと想定して国内での流行防止の対策をとるようにするべき
でしょう。


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重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome : SARS)報告
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 免疫感染症科 白阪琢磨

2003年3月12日、WHOは「香港で重症の異型肺炎が流行している」という異例の緊急警
告を全世界に発信した。直ちに、SARSの疾患が定義され、電子顕微鏡によって病原体
が2週間たらずで発見され、遺伝子情報も1ヶ月たらずで解明された。4月16日、この
病原体は新種のコロナウイルスとして“SARSコロナウイルス”と命名された。WHOを
中心に世界の研究者が力を結集し、短期間に正体を明らかにした。21世紀の感染症克
服の典型例と絶賛されている。しかし、この間、中国に端を発したSARSは世界に拡が
った。WHOによれば、SARS例数は昨年の11月から6月4日までに29カ国から合計8402人
にのぼり、その内、772人(9.2%)が死亡したという。交通機関の発達は、私達がSA
RSの潜伏期間の間に世界中を移動する事を可能にし、SARSが世界中に拡がる結果とな
った。6月初めにはしだいにおさまる兆しを見せているが、世界各地の努力に加えて
、気候のおかげかも知れない。先日の海外SARS医師の大阪観光に起因するSARSパニッ
クは、危機管理としての感染症対策の重要さを物語っている。SARSについては新聞な
どマスコミでも詳細に取り上げられており、今後さらに詳細がわかると考えられるの
で、ここでは、類似のウイルス感染症とも言えるインフルエンザとコロナウイルス感
染症を例に挙げ、SARSを考えてみたい。

流行性のウイルス性呼吸器感染症と言えばインフルエンザが代表的である。SARSも初
めはトリ型インフルエンザと混同された時期があった。インフルエンザは飛沫感染で
感染者が咳やくしゃみによってウイルスを含む飛沫が発生し、その飛沫を近接者が吸
入して感染する。潜伏期間は1〜4日である。ワクチンによる予防、インフルエンザ抗
原の迅速検査、有効薬の登場で本邦では以前程には怖れられなくなったが、これまで
に何度も世界的に大流行をし多くの人々の命を奪って来た。1918〜19年に流行した“
スペインかぜ”では少なくとも4000万人が亡くなった。WHOによれば今でも毎年、人
口の5〜15%がインフルエンザに罹患し、その内、高齢者を中心に300〜500万人が重
症例となり、25万〜50万人が死亡しているという。インフルエンザが冬場に流行する
主な理由は、
1)冬は人々が屋内に密集し易く感染し易い、
2)気温が低く乾燥しているためウイルスが体外でも長く生存できるため
とされている。インフルエンザの株に依る感染力の差違を動物実験で調べたところ、
肺内のウイルス量は同じでも気道分泌物中に分泌されるウイルス量に大きな差があり
、結果として動物の咳やくしゃみに伴って周辺空気中の飛沫のウイルス量に差がでた
ためと考えられている。環境中での安定性には株による差は無かったという。この分
泌の差はウイルスのNeuraminidaseの違いによるとされている。詳細なメカニズムは
違うだろうが、SARSのスーパースプレッダーも、そういう状況であったかもしれない
。他の実験では、咳やくしゃみで生成されるエアロゾル(飛沫)の大きさと空中浮遊
距離を調べたものがある。エアロゾルは1〜20μm以上の種々の大きさを発生する。風
の無い3m程の室内での落下時間は、100μmだと10秒 、40μmだと1分、20μmだと4分
、10μmだと17分かかったという。つまり10μm以下では風の無い室内で長時間漂うと
推定される。6μmより大きな粒子は鼻腔で捕捉されるのに対して、0.6-6.0μmだと気
管内に届くという。咳やくしゃみで多数排出された飛沫は、外気中で湿気を失い小さ
くなり、外気中を漂い、吸入され気道に入ると気道内の湿度で元の大きさに戻る。さ
て、感染を引き起こすのに必要なウイルスの個数については、例えばアデノウイルス
では7個程度で良いという。1回のくしゃみで2万にもおよぶウイルスを含む飛沫が発
生というので、近接者の間で感染が瞬く間に拡がるのも頷ける。さて、SARSが飛沫感
染に加えて空気感染があるかどうかの議論があるが、結論を出すには詳細な疫学デー
タが必要である。実際、これまでの病原体別の感染経路は、微生物学的な根拠だけで
はなく、疫学データに基づく根拠から決定されてきた。インフルエンザの場合も、主
要感染経路は飛沫感染であるが、気道分泌物の付着した手で鼻を触る等での直接的感
染も否定されてはいない。インフルエンザでも集団でのゆるやかな感染の蔓延や、集
団の罹患率が低い場合には、呼吸器症状が軽く、飛沫感染より、直接感染による感染
ではないかとの推測もある。SARSの場合、空気感染は現時点でほぼ否定的である。

もう一つの類似ウイルスとして、既知のコロナウイルス(Coronavirus)がある。RNA
ウイルスであり、電子顕微鏡で“コロナ”様に見える部分がある特徴から命名された
。大きさは80-160nmである。これまで、ヒトのカゼなどの呼吸器疾患や家畜での種々
の疾患の原因ウイルスとして知られていた。ヒトではカゼのウイルスの他、呼吸器疾
患や下痢性疾患の原因とされている。家畜や動物ではしばしば致命的になるが、ヒト
では、これまで死亡報告はなかった。カゼの病原体としてのコロナウイルスの感染経
路は呼吸器系である。動物では糞口感染がある。コロナウイルスをヒトのボランティ
アの鼻腔内に植えると、pH6.0で安定で、低温では湿気にも安定であった。1967年にT
ecumseh という町でアウトブレイクした時は、鼻カゼの原因ウイルスであるリノウイ
ルスよりむしろ、インフルエンザの様に蔓延したという。大きな飛沫、だけでなく、
エアロゾルでも感染するのかも知れないとされている。トリのコロナウイルスもエア
ロゾル感染が示されている。これまではコロナウイルスのリザーバーとしての動物に
ついては明らかにされていない。種を超えての感染もないとされていた。ただ、鳥肉
取扱い者ではトリのコロナウイルスに対する抗体価があった事が指摘されている。ボ
ランティアの実験では、平均潜伏期間は短く、3.2〜3.5日(2-4日)であった。暴露
後、ウイルスは呼吸器系の表面で増殖し、鼻腔の空気抵抗が増し、鼻粘膜の温度が上
昇する。症状の出現と同時に、分泌物中にウイルスが検出される様になり、病期は平
均で6から7日続く、長い者では18日にも及んだ。コロナウイルスの重要な特徴は、感
染の反復率が高いことである。これらのボランティアでは、最初の感染の一年以内に
再度感染した。前出のTecumsehでは81.5%が感染時に既に抗体を保有していた。これ
らの事実は本ウイルスのワクチンを作成する事は容易ではないと考えられる。これま
でコロナウイルスは冬から春にアウトブレイクしてきた。この既知のコロナウイルス
からの類推では、
1)感染力はインフルエンザ並みに強く、
2)感染者の感染性が出てくるのは、呼吸器症状の出現と同時、
3)反復して感染する、
4)ワクチンは期待が薄い、
5)冬から春にアウトブレイクしやすい
という事である。SARSがカナダで医療従事者に蔓延したのは、装着したN95マスクの
隙間からの吸入による感染、予防具の脱衣手順の誤りによる接触での手を介しての直
接感染とされている。SARS対策は、当面サーベイランスの強化と継続が重要であり、
さらに抗原の迅速検査キットの開発が急がれるし、特異的治療法の開発、そしてワク
チン開発が必要と考える。20世紀は感染症との闘いであった。細菌、ウイルスなど病
原体の発見と抗生物質の開発によって、感染症は医学的に糾明され、人類の脅威では
ないと考えられていた。しかし、1981年に発見されたエイズは世界に拡がり、今や、
4200万人の人類が感染しているし、エボラ出血熱、狂牛病、ウエストナイル病、そし
てSARSの出現と、新興、再興を初めとする感染症は未だに油断できない疾患である。
わが国の医学教育、特に臨床では感染症の講座も限られ、感染症を知らない医師がほ
とんどである。私達国民が足下をすくわれないためにも、医師の基礎教育としての感
染症教育が必要であると考える。


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       医 長 会 の 話 題 (03.05.28)
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   「わたしの乳腺臨床の現況と展望」    外科 増田慎三

 高塚先生・辛先生の築かれた素晴らしい国立大阪病院乳腺臨床の後継として本年5
月に赴任いたしました。平成5年卒の若輩ですが、今までの数多くの著名な先生方と
の出会い・ご指導が糧になり、乳腺臨床における熱意は人一倍のものと自負しており
ます。生涯のテーマを絞り、確固たる成果をご報告できるのはまだこれからという状
況ですので、この発表では、わたしの乳腺臨床への思いの現況と今後の展望という内
容にさせていただきました。


続きはこちらで・・・。↓
http://www.onh.go.jp/icho/


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      看 護 の こ こ ろ (看護部から)
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 西11階病棟 副看護師長 白井かおるです。

 “看護のこころ”が掲載されるようになってもうすぐ一年が経とうとしています。
看護師長が苦心しながら書いておられるところを横目に見ながら、大変だな〜なんて
思っていましたが、なんと今回は私が担当となりました。副看護師長では、トップで
すので何を書くべきか悩むところではございますが、看護の実践に携わっている者と
して、皆様に何かお伝えできればと思います。

 国立大阪病院には、多くの看護学生が実習しています。患者様の看護だけでなく、
看護学生に対する指導も私たちの重要な役割です。
そんな中での学生指導の一場面。
看護学生が受け持たせて頂いた患者様は、くも膜下出血による左上下肢不全麻痺と、
軽度の意識障害があり、1人で動けないことに「情けない」と悲嘆し、少しのことに
対しても泣いたりしておられました。学生は、「患者様が出来るだけもとの状態にも
どること」を目標にして毎日、できる事はなるべくご自分で行うよう援助を行ってい
ました。また、毎日面会に来られている娘さんのことを話題に出して、「娘さんのた
めにも頑張りましょう。」と声掛けを行っていました。しかし、患者様は泣き出され
る事が多く、ある日「まさか自分の娘に世話になるなんて・・・。若い人の時間を奪
っているのが情けないです。」と訴えられました。そばにいた私は手を握りながら、
「つらいですよね。」と訴えを傾聴する姿勢を取りました。
そして、後で学生と共にこのことを振り返る機会を持ちました。高齢の方が急に障害
を背負い、人に手を借りなければならなくなること、その状態で余生を過ごさなけれ
ばならない苦しみを考えると、「徐々に良くなっているし、頑張りましょう。」とあ
の場面で安易な声かけは、できなかったことについて話しました。「障害をもって生
きる」と言うことは、生活環境だけでなく、その人のその後の生き方までもかえてし
まうもので、並大抵なことではありません。患者様がそのことをどのように受け止め
られているかを理解して接していく必要性があります。人はその立場にたたないとな
かなか気持ちは理解しがたいものですが、専門職として学んだことを生かして、援助
していくことが必要であることを指導しました。学生は「患者様の苦しみに耳を傾け
ていなかった。娘のために頑張ればよいと自分の価値観を押し付けていた。」と自分
の行動を振り返っていました。

 このように、核家族化により他の世代と接する機会や生活体験も少ないといわれて
いる若い学生が、学校で学んだことを目の前にいる患者様を通して、まさに生きた実
習をさせていただいていることに感謝しています。私は患者様の色々な場面を通し、
学生が看護技術だけでなく人間性も向上できるよう、考える力をつけてもらいたいと
思っています。

 かくいう私も患者様から日々教えて頂いていることを実感しております。先日は、
患者様からこんな言葉を聞きました。「病気のことを他の人に相談したら、“腫瘍も
自分の体の一部やから、かわいがってあげなあかん”って言われた。頑張るわ。」と
のこと。病気を悲しむばかりでなく、前向きに受け止めておられるところを拝見し、
自分がその立場になったら、果たしてそのように思える度量はあるのかと考えながら
、そんな患者様に接するにあたり、看護職はすばらしいなと実感する日々です。


http://www.onh.go.jp/kango/kokoro.htm



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          研 修 医 日 記
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はじめまして。内科研修医2年目の波多野 貴昭です。

右も左も全くわからない研修医として働き始め、早くも1年が経ってしまいました。
これまでの研修を振り返ってみますと、5月に大学で1ヶ月研修(いわゆる点滴など
の基礎的な手技のトレーニング期間)し6月にこの国立大阪病院にきました。
総合救急→小児科→消化器科をローテートし現在、循環器で研修中です。

医師になって一番初めに戸惑った事は「先生」と呼ばれる事でした。
自分より何十年と人生経験の積んだ患者さんにそう呼ばれることにすごく抵抗を覚え
、信頼される医師にならなければと感じた事を覚えています。

この一年色々な科(救急、小児科、消化器科)をローテートし貴重な経験をさせてい
ただきました。救急では交通外傷、熱傷、薬物中毒、墜落など他の科では経験する事
のできないくらいの重傷患者の全身管理を学ぶことができました。

あと1番の思い出はテレビに出た(研修医と言う題のドキュメンタリー番組です)事
です。
なぜ僕が選ばれたかと言いますと、
テレビ局から国立大阪病院に研修医の生活を撮りたい
   ↓
1番忙しい研修医は?
   ↓
救急部にいる研修医?
   ↓
撮るなら医師になったばっかりの1年目がいいのでは?・・・
という感じで自動的に有無も言わさず僕に決まってしまいました。

撮影は1ヶ月にも及びほとんど毎日、カメラマンと音声さんと僕の3人で衣食住を共に
しました。
1ヶ月も一緒でカメラを回されているとずっと監視されているようで最後は結構、ス
トレスになっていました。
そんなこんなで撮影も終わり編集され放送されて観ると失敗している所の場面が多く
、がんばれ研修医!と言いたくなるような内容でした。(一番心配だった風呂上りの
パンツ1枚の姿は出てこなくてよかったよかった。)今になって考えてみると一生残
る研修医時代の思い出だったと思います。

それから無事に(?)救急も終わり、小児科では小児急性疾患(上気道炎、肺炎など
)、小児の点滴、薬物の投与方法など学び、消化器では内視鏡操作・診断、ターミナ
ル医療、緩和医療を学びました。
あと1年で研修が終わり、3年目からは1人で患者さんを診て診断し、治療方針を決
定していかなければなりません。そうなるためにも、残りの研修期間を有意義なもの
とするように頑張り信頼される医師になりたいと思っています。


http://www.onh.go.jp/kensyu/nikki.html


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         お 知 ら せ
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《第17回病診(病)連携懇談会》

  日時:6月21日(土)15時〜17時
  講演:緩和ケアをめぐって
         国立大阪病院 外科医長    沢村 敏郎
         国立大阪病院 外来化学療法室 田中看護師
          
  特別講演:緩和ケアの本質とは?
         金城学院大学人間科学部教授
         大阪大学名誉教授 
           柏木 哲夫 先生
         
  会場:緊急災害医療棟 3階 講堂

    お問合わせ:地域医療連絡室 TEL:06-6946-3516 担当 間城(ましろ)迄

        
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総編集長:病院長 廣島和夫
編集長 :副院長 楠岡英雄、看護部長 小山洋子
編 集 :大江洋介 横田尚子
発 行 :国立大阪病院院長室(〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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このメールマガジンは、バックナンバーも見ていただけます。
(以下のURLからお入り下さい)
http://m-maga.onh.go.jp/

7月から国立療養所千石荘病院と一緒になって「国立病院 大阪医療センター」と
なります。アドレスはそのままです。
来月も変わらずよろしくお願いいたします。

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