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メールマガジン「法円坂」No.26(2003/08/15)(国立病院 大阪医療センター)



こんにちは。Windowsのワームウイルスの発病が8月16日だそうです。
皆様、対策はお済みですか?

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 メールマガジン「法円坂」No.26(2003/8/15)(国立病院 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 廣島和夫 で す
 ・臨床研究部長 是恒之宏 です         
 ・看 護 の こ こ ろ (看護部から)
 ・研 修 医 日 記


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         院 長 廣島 和夫 で す
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 国民医療費が 31兆円を超えた!
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暑い時期、しかも、このメルマガの発刊日はお盆のど真ん中で、こんな話をするのは
些か気が引けますが、違う意味で背筋の凍るような話ですので、それでご容赦下さい。

 2001年度の国民医療費は、31兆3234億円で過去最高であったとの由です(7月28日
、厚生労働省発表)。国民1人当たりの医療費も246,100 円で過去最高です。
 
 1人当たりの医療費は、年齢層によって大幅に異なります。
 例えば、65歳以下では、152,500円ですが、65歳以上では、673,200円になります。
 75歳以上のみに限れば、861,100円になります。

 新聞の記事などでは、高齢人口の増加反映 と書かれています。
 高齢者が多いので総額が増加するとの説明はそれでよいのですが、年齢層別の医療
費を示されると、高齢者の医療費が高額であると誤解されそうです。
 しかし、実際はそうではない、との意見が多くあります。

 年齢階級別死亡率と年齢階級別1人当たりの医療費をグラフに描くと、この両者は
同じカーブを示し、両者間に高い相関があることを示しています。

 医療費は年齢とともに増加するのではなく、むしろ死亡に関連して多くの医療費が
用いられるとされています。

 死亡に至った患者の死亡前1年間と死亡に至らなかった患者の1年間での医療費を
比較すると、アメリカで6倍、日本で4倍の差があるとのことです(医療サービス需要
の経済分析、井伊雅子・大日康史著、日本経済新聞社)。

 高齢者の増加自体は医療費総額増加の原因になっても、医療費高騰の直接の原因で
はありません。
 高齢者の医療費は一般的に低額であり、また、死亡1事例当たりの終末期の医療費
も若年者と比較すれば低額である、考えられています(同上)。

 新聞で報道される記事は、限られた紙面での紹介なので、どうしても言葉足らずに
なってしまいます。

 「老人医療は高くつく」などの誤解を一端招いてしまいますと、場合によっては、
治る病気であっても、「物要りだから」といって(特に、今、関西地区は不況の煽り
が強いので)病院を受診せずに、または受診させずに様子を見よう、などということ
になり、病態を余計に悪化させることにもなりかねません。

 ここでは、死亡直前の医療費の多寡の議論は致しませんが、医療費の議論は多方向
から冷静に分析した上でしなければなりません。

 夏休みの方々も多くおられますのに、はなはだ固い話題で恐縮です。


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 ちょっと感じたこと:今回は、おやすみ です。
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         臨床研究部長 是恒之宏 です  
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 8月1日付けで臨床研究部長に就任致しました。どうかよろしくお願いします。
新しい循環器科部長が決定するまでは、併任致しますし、これまでどおり循環器科外
来は続けます。患者さんはこれまでどおり、ご紹介いただければ幸いです。
今回は、私の研究歴を簡単にご紹介申し上げ、今後の抱負を述べたいと思います。

 1979年大阪大学医学部を卒業し、直ちに第一内科医局に入局。研修医の仕事ととも
に、北畠顕先生(現北大教授)、堀正二先生(現阪大教授)のご指導のもと、心臓力
学に関する研究をさせて頂いたのが、私の研究のはじまりでした。
犬が大好きな私は、動物実験がいやで、内科系に進めばまさか動物実験をすることは
あるまいと浅はかにも考えていました。入局した際、当時の循環器グループ長であっ
た井上通敏先生に呼ばれ、動物実験グループに入るように言われたときにはショック
でした。その後、大阪警察病院での3年間の臨床研修を終えた後、約10年もの間、犬
の実験を長く続けることになり、急性実験から慢性実験まで携わるようになりました
。私に与えられたテーマは、冠微小循環障害による慢性心不全モデルの作成、心不全
における交感神経β受容体情報伝達障害の検討でした。冠動脈内にマイクロスフェア
を注入し、拡張型心筋症モデルを作成するというものでしたが、生体の不思議を体験
しました。マクロファージが、注入したマイクロスフェアを1週間後にはかなりの割
合で血管外へ運び出してしまうのです。従って、注入時にはひどい心不全を呈しても
1週間後には心機能が回復し、慢性心不全モデルにはならない。かといって、注入量
をふやすと急性期死亡が増加する。大変苦労しました。
 その後、1988年よりJohns Hopkins大学留学において、虚血性心疾患および不整脈
における細胞内カルシウム動態の解析をMRS(Magnetic Resonance Spectroscopy)を
用いて行なってきました。この時はFerret(いたち)が相手でした。1990年に阪大に
戻り、その頃からちょうど大阪大学心臓移植適応検討会がはじまり、内科側のメンバ
ーとして参加することになりました。それがきっかけで、1992年には米国ユタ大学心
臓移植プログラムで半年間研修をする機会を得ました。その時に、米国での移植コー
ディネータのみならず、治験コーディネータのさっそうとした働きぶりや臨床研究の
体制を見て、これは日本のシステムを根本的に見直さないと到底臨床研究では太刀打
ちできないと痛感したのです。その頃、日本ではまともな臨床研究は極めて少なく、
多くの研究者は基礎研究に目を向けていました。それが、現在では主要な大学が臨床
研究に力を注いでおり、質の高い多くの疫学研究や介入試験が進行しつつあります。
私がユタにいたころから約10年経過しましたが、その間の変化には驚かされます。メ
ルマガは、あまり長くなると読む気がしなくなるので、これぐらいにしておきましょう。

 教育面においては、1992年から1997年まで大阪大学第一内科病棟主任として、研修
医及び学生の教育にも深くかかわってきました。さらに、1999年からは当院循環器科
責任医長としてスタッフ、レジデント、研修医の教育、看護学生教育、2002年より大
阪大学医学部臨床教授として医学部学生の指導にも精力的に力を注いでおります。ま
た、全国からの学生見学者に対しても積極的にこれを受け入れ、当院の循環器科診療
の紹介に努めてきました。一方、当科陳若富医長が中心となって昨年より中国におい
て冠動脈インターベンションの指導を行い、国際的な医療協力にも貢献しております
。また、患者教育のひとつのユニークな試みとして、当院循環器担当薬剤師との協力
によるワーファリン教室があります。心房細動患者における積極的なワーファリン投
与を推進する上で患者及び家族の理解を深める意味で1998年設立しました。

 以上のように、慢性の重症心不全および心房細動をターゲットとしてこれまで臨床
研究を押し進めてきました。このような背景から、臨床試験においても両疾患を対象
とした新薬あるいは適応拡大に関する依頼が多く、特に、抗凝固薬に関しては国際治
験開始の段階より相談を受けるオピニオンリーダー的存在となっています。教育にお
いても、患者、医学生、看護学生、研修医からスタッフに至るまで幅広い分野におい
て積極的に行い、国際的な医療協力にも貢献しています。


今後の抱負

 国立病院 大阪医療センターの理念のひとつに、医学の発展に貢献するとともに良
き医療人の育成に努める、とあります。この理念は独立行政法人化されても受け継が
れるべきものと考えます。臨床研究の基本は、将来医学、医療の発展に貢献できる内
容であること、参加される患者の人権を尊重し、プライバシーにも充分配慮すること
であります。その先には、世界にも通用する臨床研究を見据えています。

 当院は、高度総合医療施設であり、がん・循環器病の基幹医療施設、成育医療、腎
疾患、骨・運動器疾患、免疫異常、内分泌・代謝性疾患、感覚器疾患、血液・造血器
疾患、肝疾患の専門医療施設となっています。さらに、エイズ診療のブロック拠点病
院、災害医療の西日本拠点病院としての機能が賦与されています。当院ではこれらの
機能に対応した臨床研究を進めるツールとして、分子生物学・ゲノミクス。臨床疫学
、医療情報学、再生医療を位置づけ、国立病院の役割としてのHIVの総合的医療を別
途置くよう配慮しています。研究支援のためのツールとして、「長期診療支援システ
ム」があります。病院情報システム内で発生した診療情報を一元的にデータベース化
し、蓄積する機能です。しかしながら、現在は必要なデータがすべてオーダリングシ
ステム上にないため、実際にはカルテを取り出してデータを付き合わせるなどの作業
を伴います。電子カルテについては、平成12年9月より産科(入院・外来)・循環器
科(外来)において導入を開始し、平成14年9月からは総合内科(外来)においても
実用に供していますが、2年後には全面電子カルテ化を実現し、患者情報の取り扱い
には充分配慮しながら、より効率的なデータ抽出を可能としたいと考えております。

 今後とも皆様方のご支援を頂きますよう、よろしくお願い致します。


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         医 長 会 の 話 題 
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7、8月は医長会はお休みです。

バックナンバーはこちらから・・・↓
http://www.onh.go.jp/icho/


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       看 護 の こ こ ろ (看護部から)
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東11階病棟 副看護師長 砂川知子です。

 例年より遅い梅雨明けで夏本番はまだかなと思っていた矢先、うだるような暑さが
やってきました。夏バテしないようにこの暑さを若いスタッフのエネルギーを頂いて
乗り切りたいと思っています。

 看護実践を行う中で、受け持ち看護師が看護の方向性に悩んでいたり、一人で抱え
込んでいるときに、チームやスタッフ全員にカンファレンス等で検討し適切な援助を
タイムリーに提供できるように働きかけることも副師長の役割のひとつでもあります。

 癌性疼痛で苦しまれている中、「痛みがもう少し楽だったら家に帰りたいな」「こ
んなにしんどかったら何にもできない」等の訴えを繰り返しながら日々を過ごされて
いる患者様がおられました。受け持ち看護師も今後の関わりを悩みながらも方向性が
見い出せないでいました。
「この方がその人らしく過ごすためには何が必要か」をカンファレンスし、ご本人の
想い、ご家族の想いを引き出すことによって、短期の目標を設定することができまし
た。「外出、外泊をしたい・させたい」でした。そのためには何が必要で、どのよう
な手順で準備していくかを検討しました。
 医師やコメディカルとも何度も調整を繰り返し持続皮下注射での疼痛コントロール
もはかれるようになりました。家族指導も行いました。患者様の体力的な面で無効に
なる可能性も高かったのですが、いつでもご本人の意向を取り入れる体制を整えてお
きました。「帰ってみようかな」の一言で外泊することができ、家業の引継や、お孫
さんを交え家族と過ごすことができ戻ってこられました。かねてより気にされていた
ことも済ませることもできました。
 今回は目標を達成することができましたが、結果だけではなくその過程も大切であ
り、振りかえることで今後へ繋げられるようにスタッフにかかわれたことはよかった
と考えます。また看護スタッフだけでなくコメディカルを含めたチームがかかわるこ
とでより患者のニードに沿った看護が行なわれたことも実感でき、私自身もスタッフ
もよい学びとなりました。

 日々、直接患者様と接するからこそ、患者に寄り添い、ともに悩み、よりよい援助
が提供できるようにスタッフに声をかけチーム医療を実践し、「ここに入院できてよ
かった」とおっしゃって頂ける様これからも関わっていきたいと思います。


http://www.onh.go.jp/kango/kokoro.htm


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          研 修 医 日 記
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 はじめまして。内科研修医2年目の岡本理恵子です。

 研修医2年目の夏を迎えた今、この1年半の研修医生活を一言で言い表すなら、やは
り「忙しくて、眠かった・・・」だと思います。

 国立病院で研修することが決まり、どきどきした気持ちで迎えた初出勤日。辞令を
受けて、ローテーション表を受け取った私の目に飛び込んできたのは、循環器科スタ
ートの文字でした。学生時代から循環器の勉強がとても苦手だった私は、できること
なら避けてとおりたいと願っていたぐらいであり、かなり動揺しました。「これは、
やばいぞ!」と、試験前かのように焦ってしまいました。しかし、実際まわり出して
みると、180度循環器に対する印象が変わりました。医局、病棟の雰囲気がすごく仕
事のしやすい環境で、ちょとした指示でさえも自分一人で出せない私に、とても熱心
に指導してもらえとても勉強になりました。心電図の奥深さや、わずかな薬の量の変
化で患者さんの病態がみるみる改善することに感動を覚えたり、眠い目をこすりなが
らすっぴんで見つめた夜中の緊カテをされている先生方の姿に、「私もしてみたい」
と憧れたりした半年でした。
 12月からは、消化器科をまわりました。自分の専門分野であるという事もあり、要
求される仕事量も多く、自分のこなせる仕事量とのギャップにずいぶんと苦労しまし
た。内視鏡やエコーなど自分一人で診断をつけなければいけない検査への責任感を感
じながらも、結局半年間では、合格点に達っせませんでした。ターミナルケアという
ものに向かい合う機会が多く、また違った価値観を感じた半年でした。

 いま、2年目研修になってまだ数ヶ月ですが、3年目からの土台となるよう、1年目
の時プラスαの仕事を任せてもらえる“研修医”ではなく“2年目研修医”という意
識をしっかり持って研修2年目を過ごしたいと思います。


http://www.onh.go.jp/kensyu/nikki.html


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総編集長:病院長 廣島和夫
編集長 :副院長 楠岡英雄、看護部長 近藤りつこ 
編 集 :大江洋介 横田尚子
発 行 :国立病院 大阪医療センター院長室(〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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このメールマガジンは、バックナンバーも見ていただけます。
(以下のURLからお入り下さい)
http://m-maga.onh.go.jp/

各地に大変な被害をもたらした台風10号が去りましたが、その後も気温が上がらず
雨も多くなっています。こんな時は体調を崩しがちです。気をつけましょう。
それでは、また来月。

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