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メールマガジン「法円坂」No.34(2004/04/15)(国立 大阪医療センター)



年度が替わるとともに、病院名も変わりました。

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   メールマガジン「法円坂」No.34(2004/4/15)
             (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 廣島和夫 で す 
 ・PCI tour in China ver. 3
 ・診療科紹介(整形外科・皮膚科・放射線科)
 ・新任部長紹介
 ・患 者 情 報 室 だより        
 ・看 護 の こ こ ろ (看護部から)
 ・研 修 医 日 記

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         院 長 廣島 和夫 で す 
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【ごあいさつ】
独立行政法人 国立病院機構 大 阪 医 療 セ ン タ ー に新しく生まれ変わって  
        

 平成16年4月1日をもちまして、全国の国立病院・療養所は厚生労働省から「独立行
政法人 国立病院機構」に移管されました。公務員型の独立行政法人ですが、経営に
関しましては民間型の手法でおこなうことになります。

当院の正式名称は、

 「独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター」

となります。

 昨年7月に国立療養所 千石荘病院と統合し、これまでの国立大阪病院の名称が変更
され、さらにその9ヵ月後に再度変更されますので、1年間に3つの名称を持った病院と
いう事態になり、皆様方には大層ご迷惑をおかけしております。
 名称が変わろうと、これまでの国立大阪病院時代からの医療の質とレベル、病院と
しての機能や職員など、全て変わることなく引き継いでおり、これまでと同様にご愛
顧の程お願い申し上げます。

独立行政法人として、
 第1に、提供する医療サービスや業務の質の向上、
 第2に、業務運営の効率化、
 第3に、確固たる予算・収支計画および資金計画による健全経営、
を謳っています。
当院も、法人の目指すこれらの医療に関わる方針・目的に沿って病院運営を行います。

 とくに、診療事業では、患者さまの目線に立った、患者さまが安心出来る、質の高
い医療を提供することによって、「公」としての医療機関の範となるべく努力します。
 また、臨床研究事業として、
・ネットワークを活用した EBM の実践のためのエビデンス作りの推進とそれに基づい
た診療ガイドラインの作成、
・治験の推進、・ 高度先端医療技術の開発や臨床導入の推進、
を掲げ、さらに、教育研修事業として、
・質の高い医療従事者の養成、
・地域医療に貢献する研修事業の実施、
に向かって努力します。
 加えて、「公」としての役割でもある災害における医療活動を法人の使命として謳
っています。

 今後とも、大阪医療センターでは、地域に根付いた医療を展開するとともに、
「公」の病院として当院のモットーである、日本の医療に範を垂れる医療を提供した
く努力してゆく所存です。

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 独法後の大阪医療センターの方向性について
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 法人に移管されるに当たり、当院の理念・進むべき方向について、以下に記載しま
す。180°方針が変わるわけではありません。

○ 当院の理念

 私たち、大阪医療センターの職員は、
 1)医療に係わるあらゆる人々の人権を尊重します。
 2)透明性と質の高い医療を、分け隔てなく情熱をもって提供します。
 3)医学の発展に貢献するとともに、若き医療人の育成に努めます。
 4)常に向上心をもって職務に専念し、健全な病院運営に寄与します。

当院における独法後の方向性など、続きは院長室のページへ・・・↓
http://www.onh.go.jp/incho/

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H16年4月から、敷地内 が 全面禁煙 になりました。

--- 皆様方の健康を守ることが私ども医療人の
  務めであることをご理解ください。--- 
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   おしらせ:神経幹細胞バンクの発足について
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          脳神経外科部長 山崎 麻美

 次号で詳細をお知らせいたしますが、かねてより準備を進めてきました神経幹細胞
バンクが当院臨床研究部におきまして、5月より稼働を始めます。
 文部科学省の再生医療の実現化プロジェクトの一環として、慶應義塾大学生理学教
室(岡野栄之教授)から再委託され研究用幹細胞バンク整備事業として設立されました。
 詳しい設置の経緯や、今後の研究事業の内容などにつきましては、次号でお知らせ
いたしますので、暫くお待ち下さい。


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          PCI tour in China ver. 3
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                 循環器科医長 陳 若富 

1. はじめに
私の中国との医療交流プロジェクトは2003年後半になって大きな展開を始めました。
病院のホームページに掲載している私の中国PCIレポートがきっかけで、上海出身で関
東在住の兪剛さんと知り合いになり、6月東京で行われた日本心血管インターベンショ
ン学会学術集会の時に初めて会いました。彼は私のプロジェクトに非常に共感してく
れ、メールをやりとりするうちに2人で特定非営利活動法人(Non Profit 
rganization; NPO)を立ち上げ、組織的に活動しようということになりました。早速
10月15日に第1回目の発起人会を開催し、兪さんの広い人脈と行動力のおかげで日本中
から約15名の協力医師を集めることができ、わずか2ヶ月後の12月13日には設立総会を
開催することができました。そして2004年に入ってからは、1月上旬に兪副理事長が訪
中、NPOの活動拠点となる病院を開拓、下旬には大阪大学医学部病態情報内科学の堀正
二教授に顧問に就任していただきました。そして2月11-21日兪副理事長と一緒に中国
国内を周り、多大な成果を収めてきましたのでここに報告いたします。

続きはこちら・・・↓
http://www.onh.go.jp/seisaku/international/chin-3.html


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         診療科紹介10:整形外科
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                整形外科部長 大園 健二

「日本人用人工股関節 開発さる!」

 近未来の医療に「再生医療」というキーワードをよく耳にします。痛んだ内臓や四
肢をもう一度再生させて機能回復を図ろうという訳です。整形外科分野においても大
学等研究機関において骨・軟骨・筋肉・神経など多方面で再生医療研究に取り組まれ
ています。人工股関節についても、それに取って替わる再生医療の可能性が検討され
研究もされていますが、依然課題も多く実用化にはまだまだ時間がかかるものと思わ
れます。そこで臨床の現場では「より優れた性能の人工股関節の開発」が現在も重要
な研究テーマであり内外の各研究施設で研究開発が続けられています。

 従来から日本では欧米で開発された人工関節を日本人に適合するサイズだけ輸入し
て臨床使用することが主流でしたが、日本人の患者さんに用いる場合に適合が悪いと
か日本人の関節可動域に対応していないなどの諸問題がありました。そこで過去7年間
にわたって私たち国立大阪・阪大股関節研究チームは東京や千葉やテキサスの大学と
「日本人骨格に適合し日本人の要求する関節可動域を有する高性能人工股関節の開
発」をテーマに共同研究開発を行ってきました。数百人の日本人股関節骨格の詳細な
CTデータの解析を行い最適化された人工股関節の設計を行い日本人向けのサイズバリ
エーションの設定を行ったのです。これらの三次元的解析結果を論文として2003年2月
の米国股関節学会のOtto AuFranc Awardを受賞するという栄誉も得ることができまし
た。そしてこのような強力なエビデンスを背景に材質の検討、疲労強度試験、インス
ツルメント開発などの気の遠くなる過程を経て遂に2003年度に新しい人工股関節は薬
事認可を受けて昨夏から臨床使用開始となりました。現在までに関東および関西地区
ですでに350人以上の患者さんに使用して素晴らしい初期臨床成績が得られています。
この人工関節については近く「日本人用人工股関節開発さる!」とのタイトルで読売
新聞全国紙に記事が出る予定であります。そしてこの新しい人工股関節を用いた手術
が受けられる病院に当院も掲載されます。こうした新聞記事を読んだ股関節疾患を有
する患者さんも「日本人用」と聞かれて大きな関心を持っていただけることは間違い
ありませんし、それに応える性能とその根拠を有しているのです。この人工股関節は
「CentPillar(セントピラー)」と命名されました。「大黒柱」という意味です。ま
さに日本人の骨格とQOLを支える柱となってほしいと思います。

 では「日本人用」と一口に言って何がどのように異なっているのでしょうか?人工
関節ことに股関節の大腿骨側の形態は日本人(アジア系)と欧米人(例えばコーカサ
ス系)とは随分異なっていることが最近の我々の研究によって明らかになりました。
次のような点が異なっています。
 本来明白なことですが日本人は体格が小さい分、大腿骨髄腔のサイズがより小さい
値を中心に正規分布するということ。そしてオフセットという関節の運動力学的距離
が小さいこと。頚部と骨幹部のなす角度が127度と欧米人の135度程度より小さいこ
と。そして日本人に多い先天性股関節脱臼由来の変形性股関節症が多いのですが、そ
うでなくても大腿骨近位部は内側に捻れていること(「前捻(ぜんねん)が強い」と
いいます)。図がないと理解しにくいのですが、結果として歩行時に「内股」になり
やすいのです。あるいは正座したときに「トンビ座り」になりやすい原因でもありま
す。日常的にも日本人の特に女性では内股歩きが多いことは気づかれている方もあろ
うかと思いますが日本人女性は欧米女性より30度程度大腿骨の内側への捻れが強いと
いう結果が出ているのです。ただし股関節の手術を受ける人はこうした特徴を持って
いますが「内股歩き」だからといって必ずしも股関節疾患にはならない方も多いので
念のため。また大腿骨の断面は円ではなく楕円形をしています。この長軸方向は股関
節から膝関節に向かってさらに前に回転していく、つまり前捻は30〜50度強くなって
いく、大腿骨髄腔自体がスパイラル形状を有しているという特徴も明らかになったの
です。こうしたことに配慮されず設計された欧米の人工関節を使用せざるを得なかっ
た諸事情はありますが、これからは日本人の骨格の特徴を鑑みた、より強く、初期固
定性が良好で、耐久性の高い人工股関節が今後日本中で使用され優れた長期臨床成績
を示すようになることが期待されます。

整形外科ホームページ→http://www.onh.go.jp/orth/


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          診療科紹介11:皮膚科
        皮膚科部長 田所 丈嗣 です
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                 皮膚科部長 田所 丈嗣

 初めまして、4月1日付で皮膚科・形成外科に赴任して参りました。宜しくお願いい
たします。
 最初に簡単な自己紹介をさせて頂きます。1987年(昭和62年)に大阪大学を卒業
後、皮膚科形成外科診療班に入局し、大阪警察病院、公文病院、兵庫県立こども病
院、大阪船員保険病院において、主に形成外科と一般外科の臨床に従事しておりまし
た。その後、大分医科大学(現大分大学医学部)皮膚科形成外科診療班へ赴任し、皮
膚メラノサイトに関する研究を始めました。2年後に大阪大学医学部皮膚科に転任し、
形成外科が分離独立した後の皮膚科での体制作りへの準備を進めておりましたが、
NIH(米国国立予防衛生研究所)に留学し、FDA(米国食品医薬品局)とともに紫外線
によるヒト皮膚のDNA損傷とメラニンの関係についての共同研究にも3年間携わりまし
た。帰国後は大学病院中央手術部での皮膚科手術枠を新たに確保し、形成外科が独立
した皮膚科における皮膚腫瘍に対する手術を中心にした治療体制を皮膚科医局長とし
て曲がりなりにも確立できたのではないかと考えております。

 さて、独立行政法人への移行と重なっての赴任ですが、これまで大阪大学皮膚科で
の診療や手術、研究をともにした小澤健太郎先生と同時の着任となり、大阪医療セン
ター皮膚科は診療内容も一新いたしました。皮膚科・形成外科は政策医療に基づいた
皮膚悪性腫瘍の治療を主眼とした診療に移行します。今後は、地域における皮膚がん
の中核病院として多方面からの信頼を得られるよう努力し、また、集学的治療を行う
ためにも他科診療科よりのご協力を仰ぎ、地域住民の皆さんや近隣の診療所や病院の
先生方に対し積極的に情報発信を行い、質の高い医療を提供する所存です。さらに、
臨床教育の観点からは、メスを握れる皮膚科医を養成できる施設となることを目指し
ています。皮膚のできものならどんなものでもご相談下さい。HPもリニューアルした
新生皮膚科を宜しくお願いいたします。

皮膚科ホームページ→http://www.onh.go.jp/derma/


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         診療科紹介12:放射線科
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                放射線科部長 細木 拓野

 当科は、現在スタッフ6名、レジデント1名で、放射線科専門医修練機関に認定され
ています。診療内容は、画像診断部門と放射線治療部門とに分かれ、それぞれの専門
医師が担当していますが、特に以下の内容に力をいれています。
画像診断面では、種々の臨床モダリティー(CT、MR、血管造影、エコー、核医学)を
駆使し、効率的で的確な診断ができるように努力しています。MRでは、セクレチン刺
激下ダイナミックMRCPによる膵胆管機能異常診断と拡散強調画像による神経変性疾患
の診断では国内外で注目を集めています。また近年増加している乳癌、前立腺癌診断
の精密検査枠を増やして診断能の向上をめざしています。
 CTでは、3-Dワークステーションを用いたCTアンギオグラフィによる非侵襲的血管診
断とPerfusion imageを用いた超急性期脳梗塞診断に力を注いでいます。
 IVRでは、国内ではまだ少ないIVR対応CTを導入し、精緻で安全な動脈塞栓術を施行
しています。
 放射線治療では、治療計画システムの充実と組織内照射の導入により、高い治療効
果ばかりではなく、QOL、コスメティックを重視した治療を推し進め、成果をあげてい
ます。
 その他、非侵襲的診断と治療の融合や集学的治療などの臨床研究に加えて、将来の
全ディジタル化、フイルムレス、コンピュータによる画像転送などの画像情報改革に
向けて積極的に取り組んでいます。
 
放射線科ホームページ→http://www.onh.go.jp/radiolog/


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       精神・神経科部長 越智 直哉 です
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4月1日より谷口典男先生の後任として神経科に勤務させて頂いております。よろしく
お願いいたします。
 国立病院の独立行政法人化という変革期に、国立 大阪医療センターに勤めさせて頂
き、よりよい医療の提供と採算性という両面で、神経科としてどのような貢献ができ
るものかと、責任の重大性を感じております。
 総合病院における神経科は、一般的に不採算部門になりがちです。そのため、とか
く軽視されがちな傾向があるように思います。しかし、当院に求められる高度な医療
を提供する上で、行き届いたメンタルケアは絶対に欠かすことが出来ないものだと思
っております。それは科としての単独の仕事だけでなく、他科との連携が非常に重要
で、その仕事をきっちりと行うことが、すぐに数値として現れなくても、患者さんの
満足度をアップさせることができ、結果として病院の質を向上させ、経営も安定させ
ることになるのではないかと考えます。職員の皆様も、神経科を上手に利用していた
だき、何かご意見やご提案がありましたら、気軽に声をおかけ下さいますようお願い
いたします。


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        耳鼻咽喉科部長 川上 理郎 です
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4月1日から牟田弘部長の後任として耳鼻科に着任いたしました川上理郎です。
出身大学は大阪医科大学で昭和58年の卒業です。専門領域は頭頸部腫瘍です。国立大
阪医療センターは頭頸部癌の症例も多く、思い切って手術ができる環境も整っており
手術症例数も少しずつ増やしていければと考えております。臨床上のもうひとつの柱
としては鼻副鼻腔疾患の手術治療を考えています。我々の恩師である竹中洋大阪医科
大学耳鼻咽喉科教授は鼻副鼻腔手術の第一人者であり、大学での先進的な技術、知識
を導入し、大阪における鼻副鼻腔手術の中心となれるように努力していきます。現在
耳鼻咽喉科に勤務しているスタッフは人間的にも医師としての技術もしっかりしてお
り大変助かっております。私は今まで公務員として勤務した経験がなく、とまどうこ
とばかりで周囲の方々にご迷惑をおかけしているのではと危惧しております。今後と
もご指導のほどよろしくお願い申し上げます。


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         患 者 情 報 室 だより
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          NPO法人ささえあい医療人権センターCOML
               患者情報室担当 山本ゆかり

患者情報室がオープンして、半年たちました。そして、患者情報室の誕生を強く望まれ
ていた井上平三さんが亡くなられて、4月で2年になります。ご存知の方も多いと思い
ますが、井上さんが患者情報室の種をまき、そのご遺志を由紀子夫人が継ぐ形で患者
情報室が実現しました。患者情報室には、井上さんの写真が2枚あります。1枚は、誰
をも包み込んでしまうような優しさあふれる笑顔で、もう1枚は、思いを貫く強さを秘
めた精悍なお顔の写真です。どちらも井上さんのお人柄が、そのまま現れた写真だと
思います。
 井上さんは著書の中で「手術が決まった時に知りたくなるのは、自分とよく似た症
状の患者が、どのような気持ちでどんな対応をとったかです。もし、病院内の図書館
に患者の入院前、入院中、手術、術後、退院後などの細かい記録があれば、大変参考
になります。もちろんプライバシーには十分配慮する必要があります。私は両肺の手
術を決めた時、私とよく似た手術をした患者の手記があれば読んで参考にしたいと考
えました。でも、他の患者の様子を直接見聞きする機会はありませんでした。病院図
書館を拡充した『患者情報室』が、早く実現して欲しいものです」と語られていま
す。患者情報室には、「患者体験談」のファイルがあります。実際に患者さんが検査
や治療を受けたときの体験談や、治療を受けながら日常生活を送る上でのアドバイス
を届けてもらい、編集しファイルにまとめたものです。まだまだ数は少ないのです
が、「先輩患者」の生きた情報を知ることができます。
 井上さんが思い描かれていた患者情報室に、少しでも近づいていくよう努めていく
つもりです。もし、生きていらしたら「ぼちぼち進んでいきましょう」と声をかけて
下さる気がします。これからも、どうか患者情報室を見守っていて下さい、といつも
写真に心の中で語りかけています。

患者情報室ホームページ→http://www.onh.go.jp/jyohousitu.html


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       看 護 の こ こ ろ (看護部から)
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                                    東5階病棟 礒元 則子

 病院の西門の桜もついに満開になりました。新しい出逢いと別れのこの季節、毎年
この季節になると、期待と不安が入り混じったなんとも複雑な心境になります。今
日、病棟にもきっとこんな心境であろうニューフェイスがやってきました。私も彼女
らのピュアな気持ちをいい刺激にして、がんばらなくちゃと新たな気持ちになったと
ころです。

 私はこの病棟に来て5ヶ月目になります。十数年の看護師経験の中でも“がん看護”
にはほとんど初兆戦です。そして東5階病棟は婦人科病棟。患者様は皆女性ばかりで
す。そこにいろいろな顔が隠されていました。がんと闘う一人の患者様でありなが
ら、母であり妻であり、一人の女性なんだということを思い知らされます。男性の場
合でももちろん社会的な顔があり、同じ事がいえるとは思いますが、中でも母親であ
るということは大変なんだと痛感させられた出来事がありました。

 それは、定期的に化学療法を受けられている患者様で、軽度の知的障害のある息子
氏(社会人)をお持ちの60代の方です。夫氏はすでに他界されています。その息子氏
は毎日朝早くから面会に来られます。面会時間が決まっていることを何度かお話して
も、「家にいてもお母さんのことが心配だから来てしまう。」と言って、面会時間を
守ってもらう事はできず、患者様本人から説明して頂いても同じ結果が続いていまし
た。患者様は他患者様への気兼ねもあり、化学療法の副作用でしんどい体でありなが
らも仕方なくロビーで息子氏と過ごされる日が続きました。「ほんとは体を横にした
いけど・・・あの子もふつうの子と違うから。ずっと私が面倒をみてましたからね
ぇ・・」と心配そうに話される患者様の顔は母親そのものでした。自分の体より息子
氏のことが心配なんだと思わざるを得ませんでした。結局はまた何度も話してようや
く息子氏に納得してもらえたのですが。

 大切なのは患者様の気持ち、息子氏の気持ちをわかろうとして、説明できたか。ま
た患者様、息子氏はどうありたいと考えられていて、そのためには何が工夫できるか
をちゃんと考える事ができたかということです。“共感”するためには話をよく聞く
ことが大切だし、また、そのためには聞く側に心がこもっていないとできないと思い
ました。病院の理念にも掲げられている“心をこめて”とは看護の原点だと思います。

http://www.onh.go.jp/kango/kokoro.htm


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          研 修 医 日 記
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こんにちは。整形外科2年目研修医の太田幸余です。
整形外科で1年半、麻酔科で半年の研修を経て、今、もう少しで2年の研修生活が終わ
ろうとしています。長かったようで、でも短かったような2年間でした。

 1年目研修医として働き出した頃、まさに右も左もわからない、という表現がぴった
りでした。いくら学生時代に病院実習をしていたとはいえ、「半人前の研修医でも一
人の医者」として働くということがどんなに大変かを思い知る毎日でした。スタッフ
の先生と二人一組で主治医、といっても病棟で毎日患者さんに接したり、処置をした
り、何事か起こっていないかをチェックするかは病棟主治医の自分。毎日が不安だら
けでした。中でも、点滴や、貯血(股関節の手術の患者さんの術前に輸血用の自己血
を400mlずつ2回採血しておきます)など、患者さんに針を刺す手技は大の苦手で、何
度も先輩研修医やレジデントの先生に助けていただきました。

 働き出した頃は、まず病院の構造が複雑すぎて急いでるのに目的地にたどり着けな
くて困ったり、整形外科といっても実際どんな手術をしてるのかも知らない、と全て
が一からの勉強だったり、患者さんに初めて会って最初に診察をしたりするだけで
も、いちいち緊張してお腹が痛くなったり、点滴当番、カンファレンスの準備、手術
説明の筆記役、病棟からも電話・・・、そんなにいっぺんにいわれても、ムリ!とち
ょっとパンクしたり、子供の患者さんはすぐ泣くし、人見知りするし、どう触ってい
いのかわからない・・・と途方にくれてみたり、スタッフの先生に、聞きたいけど聞
くの恐いしな、と困ったり、毎週火曜日のきびしい突っ込みありの手術カンファレン
スでの発表準備に胃がきりきりしたり、と、ほんとうに些細な事でも全部が大仕事
で、毎日てんてこまいという感じでした。
・・・そう思えば、2年たって、医療現場で働くことにだいぶ慣れたかな、と少しは思
える今日この頃かもしれません。「患者さんが何よりの教師であり、教科書だから、
毎日しっかり患者さんを診なさい」とは、とある先生の言ですが、患者さん、看護師
さん、先輩の先生方、全ての方に、本当にたくさんのことを教えていただきました。
まだドリルやハンマーを握って自分で手術、というには程遠いですけれども・・・。
 書くのをすっかり忘れていましたが、当院の整形外科は、関節・腫瘍・小児・上
肢・外傷と本当に症例が豊富で、他の病院では見る機会のあまりない小児の骨系統疾
患や、骨軟部腫瘍なども経験することができます。手術に追われるかたわら、病棟で
化学療法をしていたり…という感じです。そして、患者さんは生まれて数ヶ月の赤ち
ゃんから、90歳過ぎたご老人まで、年齢層がすごく広いので、色んな人に出会うこと
ができます。

 今年から、スーパーローテーションという新しい制度が全国で始まります。当院で
研修される方、整形外科に回ってこられる機会があるかどうかわかりませんが、一人
でも多くの方が症例豊富で個性あふれる先生方のいる当院の整形外科にこられて、興
味をもって下さればいいな、と願っています。 

http://www.onh.go.jp/kensyu/nikki.html


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総編集長:病院長 廣島和夫
編 集 長:副院長 楠岡英雄、内藤正子、看護部長 近藤りつこ 
編   集:横田尚子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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http://m-maga.onh.go.jp


今年は桜の開花が早く、造幣局の通り抜けも終わりました。でも、例年より長く楽し
めたように思います。
まもなく、ゴールデン・ウィークです。ゆっくりとお過ごしください。

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