Back

メールマガジン「法円坂」No.46(2005/4/15)(国立 大阪医療センター)




 4月は、145名の新入職員の入職式、看護学校・視能訓練学院の入学式、人事異動と 病院にもめまぐるしい動きがありました。
 今月のメルマガをお届けします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
   メールマガジン「法円坂」No.46(2005/4/15)
             (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今月号の目次
 ・院 長 廣島和夫 で す
 ・ボランティア『法円坂』
 ・患 者 情 報 室 か ら   
 ・看 護 の こ こ ろ (看護部から)
 ・研 修 医 日 記

=============================
         院 長 廣島 和夫 で す
=============================
『 個人情報保護法について』

 本年4月1日から、個人情報保護法が実施されました。おおよその考え方について、 簡単に(といってもかなりの量になっていますが)説明します。

○ はじめに
 ヒポクラテス(BC460−377年)の時代から、医師は患者さんの秘密を他人に徒に漏 らさないことを一つの職業倫理として謳ってきました。  日本における近代医学は長崎出島のオランダ医学から始まりますが、そこで学んだ 緒方洪庵(1810-1863年)は大阪本町(大阪市中央区北浜3丁目)に適塾を開設、医学 の伝習をおこなっていました。洪庵はフーフェランド(ベルリン大学教授、 1764-1836年)の大著を「扶氏経験遺訓」(全30巻)として翻訳しましたが、その巻末 に医師に対する戒めが記載されています。緒方洪庵は、その要約を「扶氏医戒之略」 として門人達への教えとしていました。その中に、 「殊に医は人の身命を依託し、赤身を露呈し、最密の禁秘をも白し、最辱の懺悔 をも状せざること能はざる所なり。常に篤実温厚を旨として、多言ならず、沈黙なら んことを主とすべし」
と書かれています。

 元来、医療に携わる人々は、患者さんの個人的な秘密(病気に係わる諸情報)を知 っていますし、また医療施設には、患者さんの病気に関する個人記録(情報)が非常 に多量に蓄積されています。まして最近のように検査量が増しデジタル化され、さら に遺伝子関連の個人情報までもが含まれるようになりますと、これらの情報が集合す ると一つの人格を形成しているような状態です。従ってこれらの情報を散逸・紛失・ 漏洩・盗難などから守る管理体制を余程厳重にしなければなりません。また、これら の施設に蓄積された情報が、本来の目的から離れて患者さんの承諾無く利用されるこ とも個々の患者さんの人権を無視することになります。 
 
 一方、ITの普及によって、今や多くの病院の患者さんに関する情報はデジタル化さ れています。デジタル化された個人情報を臨床研究や医療用データの分析などの目的 で、個人的にPCに取り込むことがありますが、そのデータの入ったPCが盗難にあい、 個人情報が外部に流出したことが、しばしば報道されています。また患者情報の取り 込まれているPCを同時にInternetやE-mailに使用していると、ウィルスの侵入によっ て記憶されているデータが流出してしまうこともあります。勿論、プリントアウトさ れた個人情報がシュレッダーにかけることなく一般ゴミとして廃棄され、外部に流出 することも少なくなかったと推測されます。  これまで施設内に保管されていたデータが、IT化の普及・PCの普及に伴い、容易に 多量の個人情報が施設外に出てしまう危険性が急増してきたといえます。   ぞんざいな個人情報の取り扱い・個人情報に対するガードの甘さなどがマスメディ アで取り上げられることにより、社会的不安を惹起し、かつ強まりつつあります。 

 このような社会情勢を鑑み、2003年5月に個人情報保護法が制定され、2005年4月に 完全実施することが定められました。この際に付帯決議として、とくに重要な3分野 [(金融・信用)(通信)(医療)]において、特別法を制定すべきか否かを検討す ること、が追加されています。  これを受けて、厚生労働省は、2004年6月に「医療機関などにおける個人情報保護の あり方に関する検討会」を設置し種々検討を重ね、2004年12月に「医療・介護関係事 業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイドライン」を発表するに至りま した。   なお、医療に係わる特別法を直ちに制定せず、今後の推移をみて検討するとしてい ます。

○ 個人情報の取り扱いに対する考え方

 「個人情報が、個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであ る」、また、個人情報を取り扱う全ての者は、「その目的や様態を問わず、個人情報 の性格と重要性を十分に認識し、その適正な取り扱いを図らねばならない」、とされ ています。  本年4月1日からは、全ての個人情報は、上記の理念に基づいて取り扱われることが 必要です。 

 各医療施設には、どのような個人情報がどのように利用されるかが明記されていま す。患者さんが自分の個人情報の利用などに疑問を持たれた場合には病院側に尋ねる ように、とも記載されています。  患者さんが読まれた上で異議がなければ了承されたものとして(黙示による同 意)、その患者さんの個人情報を施設側は明記された目的に自動的に利用することに なります。
 病院に行かれましたら必ず一度は個人情報に関する掲示をよくご覧ください。

○ 医療機関における個人情報の内容の概要

 個人情報の内容は、
  1) 氏名・性別・生年月日など個人を識別する情報、
  2) 個人の身体・財産・職種・肩書きなどの属性などに関する事実・判断・評価 を表す全ての情報、   3) 以上に関する評価情報・公刊物などによって公にされている情報・映像・音 声に依る情報(暗号化されている/されていない、を問わない)、
などがあげられます。
  具体的には;
   患者基本情報:氏名・年齢・生年月日・住所・電話番号など
   健康保険・福祉情報:健康保険証の写しなど
   診療管理用情報:受診診療科情報・予約記録・入退院記録など
   生活背景情報:喫煙歴・飲酒歴・生活歴など
   医学的背景情報:既往歴・妊娠分娩歴・家族歴など
   診察記録情報:問診記録・現病歴・身体所見・診療計画など
   手術・看護記録情報:手術記録・助産録・看護記録など
   薬剤記録情報:調剤録・処方箋など
   諸検査情報;X線写真・心電図・超音波診断画像と検査結果報告書・各種臨床検査
   結果(血液検査結果報告書・病理組織検査結果報告書など)
   指示実施記録情報:検査実施・結果、処方実施録など
   診療情報交換情報:診療情報提供書・紹介状など
   診療説明・同意情報:各種説明記録・各種同意記録など
   要約情報:診療要約・入退院要約など
   死亡記録情報:死亡診断書・剖検記録など

○ 医療機関では個人情報をどのように利用するのでしょうか ?

 1) 院内での利用:患者さんに提供する医療サービス・医療保険事務・入退院など の病棟管理・会計/経理・医療事故報告・患者さんへの医療サービスの向上・院内医 療実習への協力・医療の質の向上を目指した院内症例研究・その他、患者さんに係わ る管理運営業務などです。

 2) 院外への情報提供:他の医療施設などへの情報提供・他の医療機関からの照会 に対する回答・患者さんの診療のために他の医療機関に意見や助言を求める場合・検 体検査の業務委託など・家族への病状説明など・保険事務の委託・保険診療支払い基 金へのレセプトの提供・審査支払機関または保険者からの照会に対する回答・事業者 などから委託を受けた健康診断に係わる事業者などへの結果通知・医師賠償責任保険 などに係わる医療に関する専門の団体や保険会社などへの相談や届け出など・その他 患者さんへの医療保険事務に関する」利用など。

 3)その他の利用:医療・介護サービスや業務の維持・改善のための基礎資料、外部 監査機関への情報提供など。

 施設が上記以外の目的で個人情報を利用する際には、その理由を医療施設が患者さ んに説明し、患者さんから同意を得ることが必要です。

○ 個人情報保護に関わる身近な問題

 1)病状説明などに対して理解力・判断力が備わっている患者さんの場合、如何なる 患者さんの個人的な情報も、先に家族に話すことは許されません。家族といえども、 本人の同意が必要です。   欧米では当たり前のことですが、日本ではこれまでは軽視されがちであったと思い ます。病棟などで、患者さんの家族が医療チームに、今日の検査結果はどうでした か、と尋ねられることは日常茶飯事のことですが、今後は、このような場合も患者さ ん本人の同意を得てからでなければ家族の方々には迂闊に説明できません。医療サイ ドも患者さんサイドも、双方とも、少し慣れなければならないでしょう。   最初の段階で、患者さんと家族の方と一緒に、何処までの情報を誰にまで伝える か、などについて話し合いが必要です。 
 家族とは何処まで云うのか、などの議論も出てきます。

 2) 多くの病院ではオーダリングシステムが採用されていますが、画面を開いたま まで放置されていることがあります。病院の職員であれば関係のない患者さんの情報 を勝手に見てもよいなどということはありません。   必要な情報を必要な職員にのみ伝えることが基本です。従って、このように電子カ ルテやオーダリング画面を開いたまま放置しておくことも個人情報の漏洩という点で は問題があります。 
 私どもが厳格に管理すべき点です。

 3) 外来診療室での患者さんをマイクで呼び出すことや、病室入り口の患者氏名の 表記・患者ネームバンドの使用などにつきましては、患者さん取り違え防止など医療 安全の立場から、また咄嗟の緊急処置の際、患者確認上必要な場合もありますので、 病院としては、出来る限り不用意に不特定多数の方々の前で個人名を明らかにするな どを避ける努力をすることが必要と考えています。 


*****個人情報保護の基礎*****

 個人情報保護法はなかなか判りづらところがあります。
 基本的な事柄を以下にまとめてみました。参考になれば幸いです。

1.海外の流れ
1)1974年にアメリカ合衆国で、Privacy Actが施行された。多分、個人情報保護の法 律化の最初のものであろう。 2)1980年にOECDにて、Guidelines on the Protection of Privacy and Transborder Flows of Personal Dataが採択された。いわゆる「OECD8原則」であ り、これがその後の個人情報保護の基本となる。(内容は後述) 3)1995年にEU Directives(EU指令)として、On the protection of individuals with regard to the processing of personal data and on the free movement of such dataが出される。内容は、OECD8原則に則ったものとなっている。EU指令は、 EU圏内で活動を行う全ての企業・団体に対する強制力を持つ。このため、日本の企業 (特に金融関係)もこの指令に基づいた体制整備を行わないとEUでの商業活動ででき ないことになる。

 今年4月1日より個人情報保護法が施行された背景には、上記のEU指令に沿って国と しての法的体系を整備しないと国際的に活動ができなくなるという、せっぱ詰まった 事情がある。

2.OECD8原則
1)Collection limitation principle:収集制限
2)Data quality principle:データ内容
3)Purpose specification principle:目的明確化
4)Use limitation principle:利用制限
5)Security safeguards principle:安全保護
6)Openness principle:公開
7)Individual participation principle:個人参加
8)Accountability principle:責任

3.個人情報保護法とOECD8原則
 個人情報保護法では以下の事柄を定めている。OECD8原則との関係を()内に示す。
1)使用目的の明示と目的外使用の禁止(OECD88原則の3,4)
2)適正な取得(1)
3)正確性の確保(2)
4)安全性の確保(5)
5)透明性の確保(6,7)
6)第三者への提供の制限(3,4)
7)委託先の監督(5)

4.個人情報保護のために求められること
1)使用目的の明示:目的を明らかにすると同時に、対象者にそれを通知しなければな らない。 2)目的外使用の禁止:診療のために提供された情報を、同意なく、研究に使ってはな らない。
3)適正な取得:家族から情報を得る場合等、注意が必要。
4)正確性の確保
5)安全性の確保:漏洩・盗難の防止
6)透明性の確保:個人情報に当該個人がアクセスできることを保障すること。
・どのような情報が収集され利用されているかを当事者に公開する。
・求めに応じて開示する。
・誤った情報の訂正に応じること。
7)第三者への提供の制限:第三者への提供には、原則として本人の同意が必要。
・同意なく提供が許される場合は、法令に基づく場合など、極めて限られている。
8)委託先の監督:契約と、定期的な報告・監査を行う。

(東京大学大学院情報学環・山本隆一先生の講演から)

個人情報の取り扱いについて・・・http://www.onh.go.jp/privacy.html

=============================
         ボランティア『法円坂』 
=============================
                            ボランティアコーディネーター
                       中村 昭代

 この4月から、メルマガに新規参入させていただくことになりました、当院のボラン ティアグループです。  ボランティア導入の経過や、現在活動中のグループの紹介や活動内容の報告を通じ て、ボランティアをご理解いただき、多くの皆さま方のご支援・ご指導をお願いした く思います。そして一人でも多くの方々が活動に参加してくださることを望んでおり ます。  平成8年1月、当時の病院長、古川俊之先生の発案で、患者様サービス向上の為に、 ボランティア導入が計画され、総合内科医長中山博文先生にその任を託されました。  受け入れに当たっては、ともすれば閉鎖的といわれがちな病院に、一般人が入るこ との大切さを認識されていたため、多くの職員の戸惑いを取り除き、患者、医療職、 ボランティアのスムーズな関係を作るために、心血を注がれたと伺っています。  160名もの応募をいただき、翌年の1月からの活動が現在まで継続していることは、 現院長廣島先生をはじめ病院関係者の皆さまのご協力のおかげです。 「ボランティアの導入は病院観の転換だと思い、病院はコミュニティーのものである という新たな認識を地域に向かって、アピールすることになると思いました」と中山 先生は活動開始にあたって述べておられます。
 今回は導入についてお伝えいたしました。
                              
ボランティアホームページ→http://www.onh.go.jp/volunteer/

=============================
         患 者 情 報 室 か ら
=============================
             NPO法人ささえあい医療人権センターCOML
               患者情報室担当 山本ゆかり

 5月から、患者情報室では同じ病気の患者さんや家族が集まって語り合えるサロ ン、「患者情報室サロン」をスタートします。  以前から、患者情報室で同じ病気の方が偶然出会い、「私は、こんな食事療法をして います」「手術の後はこんなリハビリがいいですよ」「副作用を減らすのには、こんな 工夫がいいみたいです」「こんな治療方法もあります」というような情報交換会が始ま ることがあります。「医学書も参考になりますが、生きた情報を得ることができると不 安が解消します」という声もたくさん届きます。また、「同じ病気の人に、自分の話を 聞いてほしい」「闘病記は何冊か読みましたが、直接患者さんの話を聞いてみたい」と いう希望も増えてきました。  そのような声を受け、患者情報室の企画として、同じ病気の方が気軽に交流できる 機会を作りたいと思っていました。そこで患者情報室サロンは、病気ごとに日にちを 決め定期的に実施します。たとえば、毎月9日は胃がんの日、20日は脳卒中の日・・・ というように考えています。時間帯は午後1時からの2時間で、集まった方が自由に語 り合っていただきたいと思っています。最初は、胃がんの日、脳卒中の日、肺がんの 日の3つから始めて徐々に開催する日を増やしていく予定です(詳細は下記をご覧くだ さい)。どのようになるかと期待と不安が入り混じっていますが、参加された方が同 じ病気の方と語り合えてよかった、と思っていただけるような患者情報室サロンにし ていきたいと思います。

【患者情報室サロン】
 病気ごとに開催日を定め、同じ病気の患者さんや家族が気軽に語り合えるサロンです。

◎ 胃がんの日:毎月 9日
          5月9日(月)・6月9日(木)・7月は休み・8月9日(火)
◎ 脳卒中の日:毎月 20日
              5月20日(金)・6月20日(月)・7月20日(水)・8月は休み
◎ 肺がんの日:毎月 25日
              5月25日(水)・6月は休み・7月25日(月)・8月25日(木)
◎ 場 所:患者情報室
◎ 時 間:午後1時〜3時
   (ただし、患者情報室が閉室の日は開催しません)

患者情報室ホームページ→http://www.onh.go.jp/jyohousitu.html

=============================
       看 護 の こ こ ろ (看護部から)
=============================

  都合により、今月はお休みです。

看護部ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/

=============================
          研 修 医 日 記
=============================

  都合により、今月はお休みです。

http://www.onh.go.jp/kensyu/nikki.html

****************************************************************************
総編集長:病院長 廣島和夫
編 集 長:副院長 楠岡英雄、内藤正子、看護部長 山田泰子 
編   集:横田尚子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
****************************************************************************

このメールマガジンは、バックナンバーも見ていただけます。
(以下のURLからお入り下さい)
http://m-maga.onh.go.jp

メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp

日中は初夏を思わせる暑さ、夜はコートの要る寒さと、気温もあわただしい変化です。
風邪など召さぬよう、お気を付けください。
 では、来月までごきげんよう。

Back