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メールマガジン「法円坂」No.48(2005/6/15)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 衣替えの季節になりました。今年の梅雨は出足が速いようですが、雨量は少ないと いう予報もあります。
 今月のメルマガをお届けします。

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   メールマガジン「法円坂」No.48(2005/6/15)
             (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 廣島和夫 で す
 ・Co-medical 部門紹介
 ・ボランティア『法円坂』
 ・患 者 情 報 室 か ら      
 ・看 護 の こ こ ろ (看護部から)
 ・研 修 医 日 記

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         院 長 廣島 和夫 で す
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『研修医は労働者 ?   「研修性」と「労働性」』

 1998年に生じた関西医大研修医過労死(心筋梗塞)事例に対して、先日、最高裁は 「研修医は労働者」である、との判断を示しました。   6年間におよぶ大学医学部の教育は、臨床医を養成するためだけのものではなく、科 学としての医学を教育し、その中で基礎医学や社会医学の実習とともに臨床医学の実 習をも経験させます。しかし、この臨床実習は、診療実習(患者を治療する実習)で はなく、病気病態を理解し、また診断から治療へのプロセスを理解するためのもので あると云えます。

 大学を卒業すると、いずれは教育者・研究者・臨床医・行政官など多方面の道に進 む者も、最初は「研修医」として出発する場合が殆どです。学生時代の実習とは異な り、診療実習の開始です。ここからが臨床医としての職業教育が始まります。   指導医のもとで実際に患者さんを受け持ち、診断から治療までを責任をもって担当 することによって診療能力を身につけて行きます。まさに On the job Training で す。これには「研修性」と「労働性」とが混然としており明確に区別することは出来 ません。   今のところ、研修医制度と労働性に関する客観的データに基づく報告(論文)は見 あたりません。
  
 「医療」 第58巻2号(2004年2月)に 現 国立病院機構 東京医療センターの木村琢 磨先生がまとめられた、「卒後初期臨床研修における環境および内容に関する調査」 が掲載されています。  89名の2年目研修医へのアンケート調査の結果では、1日の平均研修実務時間 13±3 時間、1日の平均睡眠時間 6±1時間、1週間の平均自習時間 6±5時間 となっています。   研修実務時間と睡眠時間とには逆相関が認められます。22%の研修医は、1日15時間 以上を研修実務時間に割かれており、その分、睡眠時間に影響がでています。   余談になりますが、1週間の平均自習時間は1日の平均研修実務時間と相関しない、 という少し残念な結果も出ています。

 別の報告(日医会誌 126巻973-997, 2001)では、全国143名の研修医の55%におい て、1週間の平均勤務時間(研修実務時間)が62-80時間であり、上記「医療」の報告 内容ともほぼ合致しています。 

 研修医の労働性だけが法的に強く前面に出されますと、すべての研修実務時間=労 働時間と仮定したカリキュラムにしなければ、労基法上問題のないカリキュラムとな らないでしょう。そのためには、今の研修期間を倍以上にしなければ、研修成果を上 げることができず診療能力も身に付きません。   しかし、初期研修期間の延長は研修効率を極端に低下させ良い結果を期待すること は出来ません。
  
 研修医の「研修性」についても「労働性」についても、同じ厚生労働省管轄の問題 です。なんとか整合性のある合理的な考え方を示して戴きたいものです。

 研修医の健康を守りながら、効率よく質の高い医療技術を習得させることが要請さ れていますので、今のままでは、現場に立つ研修医療施設の責任者は苦渋の選択を迫 られることになります。

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      Co-medical 部門紹介 (2) 臨床検査科
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               臨床検査技師長 山本 信夫 

 平成17年4月1日付で当院臨床検査技師長として着任しました。よろしくお願いしま す。臨床検査科は、種々の目的に応じた検査を実地するための部屋があり、いずれの 分野におきましも専門的な知識を生かし、より質の高い医療の提供に向け努力してい ます。
【外来検査室】
 この四月から外来での採血業務を看護部より引継ぎ、臨床検査科のスタッフ(専任 看護師1名含む)で運用するようになりました。検体検査の入り口である受付、採血に 臨床検査技師が携わることによって、検体の取扱方法、保存条件、必要な採血量等に 専門的な知識を生かすことができます。尿、便、髄液などを対象とした検査を行って います。
【総合検査室】
 患者様からの採血により得られた検体は、そのほとんどが総合検査室へ運ばれま す。当検査科では、血液検査、生化学検査、感染症検査や腫瘍マーカー検査などを実 施しており、国内で広く認められた検査方法をいち早く導入して分析しています。精 度が保証された臨床検査データを、より迅速に提供することをモットーに日々励んで います。
【輸血検査室】
 血液型検査、不規則抗体検査およびクロスマッチなどの輸血検査業務、輸血用血液 製剤の保管、管理および供給を行う輸血管理業務を行っています。一年間に扱う血液 製剤は年間約1万本で、これらはすべてボランティアで集まったものです。必要に応じ て安全かつスムーズに供給できるよう、また無駄にすることのないように努めています。
【病理検査室】
 当院が掲げる政策医療の一つ『“がん”の診療』を支えています。診断精度を上げ るための補助として約80種の免疫抗体を使用しており、手術中の迅速診断は、術式や 治療法の選択に役立っています。“がん”の早期診断の一部として有用な細胞検査も 実施しています。喀痰、尿あるいは子宮、乳腺など多岐にわたり、取り扱い件数は年 間約1万2千です。
【微生物検査室】
 病原微生物(細菌、真菌、ウイルス等)を対象として検査しています。感染症の原 因となる菌の検索、肝炎ウイルスやHIVウイルス量の測定を行っています。また、それ ぞれの菌に効く薬のチェックや近年増加している薬の効きにくい菌(耐性菌)を検出 することにより、院内の感染情報発信基地として病院内の感染防止に協力しています。
【生理機能検査室】
 患者様に直接接して実施する検査で循環器系・呼吸器系・脳神経系・消化器系など から発生する生体の信号を検出する検査です。検査項目としては出血時間、心電図、 呼吸機能や聴力検査以外にも予約検査として、心臓超音波、トレッドミル検査(運動 負荷心電図)、ホルター心電図(24時間心電図)、脳波、誘発筋電図等を実施してい ます。

夜間および休日は、緊急検査項目に限り24時間の勤務体制での対応となっています。

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          ボランティア『法円坂』 
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                            ボランティアコーディネーター
                       中村 昭代

「小児科習字ボランティア」

 当院には多くのボランティアの方々が活動を続けておられます。一番古くから小児 科で活動されているグループの方で、もう30余年もされている88歳の女性の方から感 動的なお話を伺いました。  小児科の学習指導から始まったこのグループの活動も現在は西6階の入院患者様を対 象に週1回お習字のおけいこをされています。  ある日、体格の良い今風の若い男性が4人ゾロゾロとやって来て、こんないい所があ るのかといいながら、”何を書くねん”と口々に話し、筆をもたれ、新聞紙の練習紙 のゴミの山が一山できるぐらい、各々のお名前を練習され、「こんなに勉強したこと ないなあ」と感嘆されたようです。  『清書されたお名前を見ながら、「私、当年88歳です。こうして病院でお習字をと おして皆様から元気をもらって長生きしています。どうぞあなた達も若いのですから 入院したことで、少しでも元気に生きるということの意味を考え、一日一日を大切に 生きて下さい」と蛇足かと思いましたが話しました。若い青年たちは来室時より、清 清しい顔をして、”ありがとう、又くるね”と軽い足どりで病室へ帰っていきまし た・・・・・』

ボランティアホームページ→http://www.onh.go.jp/volunteer/

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         患 者 情 報 室 か ら
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              NPO法人ささえあい医療人権センターCOML
               患者情報室担当 山本 ゆかり

 患者情報室にはオープン以来、沖縄から北海道まで各地の病院の方が見学に来てく ださっています。院長、看護部長、事務長などの病院職員や、病院で活動しているボ ランティアスタッフなど本当に多くの方が、患者情報室を訪れてくださいました。  そして、各地に“患者情報室”が誕生してきています。この春には、東邦大学医学 部付属病院に、「からだのとしょしつ」が、広島県の市立三次中央病院には、「お知 らせルーム花みずき」がスタートしました。6月中には、大阪厚生年金病院にも開設が 予定されています。  いま患者情報室には、ある府内の病院から“患者情報室”設立にむけて1ヵ月間の 研修に来られています。国立大阪医療センターに生まれた患者情報室のすべてを見て いただくことで、患者さんに喜ばれる“患者情報室”の誕生に役立ちたいと思ってい ます。  「自分の病気のことを知りたいと思ったときに、情報を得ることが出来るスペース が、病院の中にほしい」という、患者さんの思いにこたえるべく、全国で“患者情報 室”開設の気運が高まってきているように思えます。病院から見学に来た方が、「や はりこのような部屋は必要だ。一日もはやく設置しよう」と思っていただけるような 患者情報室であるように努めていきたいと思います。
 
患者情報室ホームページ→http://www.onh.go.jp/jyohousitu.html

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       看 護 の こ こ ろ (看護部から)
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                                    東9階病棟 藤井 秀子

 若葉のみどりがさわやかなこのごろです。病棟にも新採用の若葉マークの看護師が 配属され、新鮮な風を運んでくれています。

 私の所属する東9階病棟は消化器外科病棟で、消化器の手術を受ける患者様や化学療 法を受ける患者様が入院されています。医療はどんどん進んでおり、患者様の平均在 院日数も約17日と短く、私が就職した10数年前に比べると3分の2から半分ほどにな っているように思います。そのため、患者様の回転が速くいつもバタバタと忙しいた め、院内では「外科の看護師は怖い」とうわさされているようです(涙)。でも皆さ んご安心下さい、本当は患者様の一日も早い回復を願う心やさしいスタッフばかりです。

 そんな私たちにもいくつか悩みがあります。ひとつは、入院日数の短縮化と回転の 速さゆえ、患者様にゆっくり関わる時間がなかなか持てないことです。学生の頃は患 者様にうとましがられるのでは?というぐらいベッドサイドにへばりつきながらも、 力不足で満足していただけるような関わりができず、看護師となり経験もそれなりに 積んで、「よし、これから」と思うと今度は時間がない…というジレンマを抱えてい ます。  また、看護師に対し希望・要望をおっしゃっていただける患者様と、「看護師さん は忙しそうだから…」と遠慮して我慢をしておられる患者様がいらっしゃいます。す べての患者様に対し平等に看護を提供したい、と思っているのですが、実際には平等 ではないな、と思うこともあり、遠慮しておられる患者様に申し訳ないな…と感じて います。 もうひとつは、例えば、病状の思わしくない患者様に対し、私たちは「家に帰れると きに、少しでもご自宅でご家族と過ごしていただきたい」と考え、ご家族と一緒に計 画を立てます。多くの場合はご本人も「帰ってみてよかった」といっていただけるの ですが、時には「しんどかった、疲れただけやった」という感想のこともあります。 そんな時、私たちが患者様のため、と思っておこなっていることが、本当に患者様の ためになっているのだろうか?よいことだったのだろうか?親切の押し売りだったの ではないか?と感じます。

 このように、日々悩みながら働く私たちですが、大病を乗り越えて退院される患者 様の笑顔や、退院された患者様からお礼と感謝のお手紙、再入院の際に、「また絶対 に東9階に入院させてください」とのお言葉に日々励まされながら、元気をいただいて います。また、お亡くなりになった患者様のご家族がご挨拶にきてくださるたびに、 看護師として患者様も、ご家族も、そして自分自身も後悔のない看護をしよう、と気 持ちが引き締まります。  忙しい仕事ではありますが、それだけにやりがいのある仕事です。「忙しい」で問 題を片付けてしまうのではなく、忙しい中でも、どうすればすべての患者様に満足し ていただけるのかを考え、それを実行に移していくことが永遠の課題だと思います。 そしてなにより、初心を忘れず、患者様の立場にたって物事を考え、言葉にださなく とも患者様のニーズが汲み取れるよう努力し、自分の家族を入院させたいと思うよう な病棟か、ということを常に考えながらスタッフ全員で、力を合わせて看護に励んで いきたいと思っています。

看護部ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/

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          研 修 医 日 記
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 皆様こんにちは、2年目研修医の紺谷佳代です。初めに新研修制度の1期生として、 簡単に研修の流れを書きます。

1年目は外科→救急→循環器内科→消化器内科を各々3ヶ月間、2年目は地域医療、精神 科、小児科、産婦人科を1ヵ月ずつ、選択科2つ(私は産婦人科と麻酔科を選択)を3ヶ 月ずつまわる、というものです。各科での思い出は感慨深いものがあり、とても一言 では・・・というより、怒濤のように過ぎた1年間は既に遠い日々のことのようです。

 2年目を地域医療でスタートした私は、「1ヵ月だし、ポリクリ(学生時代の臨床研 修)と何が違うの?」と疑問を持っていたのです・・が!!私たちを受け入れてくだ さった開業医の先生は「行動する開業医」であり、深い感銘を受けました。先生は地 域に根ざしたNPO福祉マンション(介護付有料老人ホーム)をつくっておられ、患者さ んに納得してもらう医療を実践されていました。初めて、家庭医っておもしろい!と 思いました。私の関心・意識も学生時代とは変わった気がします。実際にどんな処方 をされるのか、患者さんの本当の問題を引き出す話し方、説明の仕方、一言も聞き漏 らしたくないという外来診察でした。また、今回教えて頂いたこととして、私たち国 立病院の医師は、患者さんの国立病院への信頼で守られているということでした。私 個人への信頼で人が集まってくれるような医師に早くなりたい、と心から思いました。

 新研修制度について賛否両論がありますが、私たちの研修のために本当にたくさん の方が尽力してくださっており、色んな方との出会いを与えてくれるこの制度に、私 は感謝しています。患者様をはじめ、各科のスタッフの皆様にご迷惑ばかりかけてい ますが、将来かならず返しますから・・という思いでいっぱいです。残りの研修も楽 しみつつ?がんばろーっと。

http://www.onh.go.jp/kensyu/nikki.html

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総編集長:病院長 廣島和夫
編 集 長:副院長 楠岡英雄、内藤正子、看護部長 山田泰子 
編   集:横田尚子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 昨年は多くの台風の来襲など、異常気象で悩まされました。今年は平年であること を祈ります。
 では、来月までごきげんよう。

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