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メールマガジン「法円坂」No.57(2006/3/15)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)




 関西はお水取りが終われば春が来ると言われていますが、今年は、3月中旬に大阪 市内で雪が舞っていました。寒暖の差もお彼岸までは続きそうです。
 では、今月のメルマガをお届けします。
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   メールマガジン「法円坂」No.57(2006/3/15)
             (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 廣島和夫 で す
 ・診療科紹介(消化器科・皮膚科・歯科)
 ・ボランティアグループ
 ・患 者 情 報 室 か ら      
 ・看 護 の こ こ ろ (看護部から)
 ・研 修 医 日 記

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         院 長 廣島 和夫 で す
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○ お休みしている女性医師の皆さん !!
  「そろそろ復帰してみませんか」 シンポジウム が開催されました
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 3月11日、大阪医療センター主催の上記シンポジウムが開催されました。 
 詳しい内容につきましては、いずれ先進医療部 山崎麻美部長から報告しますが、こ こでは、最初の院長挨拶の内容をお伝えします。

 本シンポジウムの背景にある幾つかの側面について簡単に触れています ;

 ○ 今年度上半期の芥川賞は、住宅機器会社に10数年勤務しながら作家活動をされ、 のちに作家に転向された絲山秋子さんが書かれた「沖で待つ」に決定しました。女性 総合職の「私」が同期入社の男性社員「太っちゃん」との数年間にわたる、仕事上で の、また仕事後の付き合いでの日常描写や一種の同期入社同士の友情を綴った、ちょ っと変わったストーリーの短編です。これまでの芥川賞 受賞作で、男女が描かれてい て、かつ恋愛とは関係なくストーリーが展開されている小説は、なかったそうです。 審査員の1人の方は、「男性社会を中心とした時代ではない、あたらしい時代の到来を 知らせるような作品」と評価していました。   このような時代にありながら、医療の世界では、職員の半数以上が女性であるにも かかわらず、中央官庁や大企業と比べますと、女性の職場環境は十分に整備されてい ません。とくに医務部(医師が所属する部門)においては、まだまだ男性社会であ り、女性として勤務するには数々の面で不都合です。女性の生活スタイルを慮った環 境とはほど遠いものといえます。
   
 ○ かなり前から医師不足の記事が世間を賑わわせていますが、年ごとに問題は深刻 化しています。この背景にはいくつもの要因があります。その一つに女性の医師志望 者の増加と女性医師の劣悪な職場環境が関係していると考えられます。  医学部の学生の中で女子学生の占める割合は、30%を超える大学も少なくなく、多 いところでは50%を超えています。また、平成17年度 医師国家試験合格者中、36%が 女性であったとの由です。  多くの女性医師が病院で仕事に就きますが、結婚・出産・育児 という一連のイベン トが生じますと、家庭と仕事の両立が困難との理由から、仕事を辞められます。この 仕事を辞められる女性医師数を看過することはできません。   1人のスタッフクラスの医師を育てるには、医学部入学から数えると15年くらいを要 します。従って、これら家庭に入っている女性医師を再就職できるように誘導するこ と(潜在化している社会資源の再活用)が、重要かつ緊急に医師不足を解決するキー となります。 

 ○ 女性の年代別就業率は、「結婚・出産・育児」年代で減少します。これは「M状 カーブ(M−ギャップ)」と云われていますが、欧米の一流国では見られない現象で す。それほど、我が国の「結婚・出産・育児」年代の女性の就業に関わる社会体制・ 職場環境は劣悪であるといえます。  女性が60歳まで常勤で仕事をした場合の生涯獲得賃金と、「結婚・出産・育児」年 代で仕事を中断し、育児を終えてから非常60歳まで仕事をして得られる生涯獲得賃金 との差は、2億円にもなる(11/March/2006 毎日新聞)と報道されています。   女性のライフスタイルを考慮した社会体制の構築がなされない限り、国全体として 解決出来ない問題かも知れませんが、それまでは、経済的不利を女性は被り続けるの でしょうか。

 本シンポジウムは、上記の問題を大きな社会の枠組みから変えよう、と意図するも のではありません。現体制の中で、目の前にある問題から1つずつ改善し、また解決 し、それによって少しでも女性の職場環境が良くなり、また家庭におられる女性医師 が復帰されれば、との思いから出発しています。  このシンポジウムによって、少しでも事態が改善し前向きに進み始め、また医療に 係わる者全てが、これらの問題背景を理解して戴けることを願っています。

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         診療科紹介7:消化器科
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               内視鏡診断部長 池田 昌弘

 内視鏡が変わりました。世界水準の感染予防法を導入して10ヶ月になります。内視 鏡が苦手という方は、鎮静薬でほとんど眠った状態で検査をうけることができます。 検査後はしばらく休んですっきりしてから帰って頂きます。鼻から入れられる細いス コープも好評です。  大腸の専門医が加わったため、拡大内視鏡による精密診断や、ポリープ切除術が倍 増しています。早期胃癌の内視鏡治療は近畿でもトップの件数を保っています。  肝臓癌の治療も増加傾向にあり、従来の動脈塞栓術、エタノール注入法に加えて、 ラジオ波凝固法、抗癌剤(アイエーコール)動注法の症例が増えています。5年生存率 は全国でも有数の成績です。  対象が拡大して増加の一途の慢性肝炎のインターフェロン治療は、薬の選択肢が増 え、治療成績が格段に向上しています。最先端の知識と深い経験を有する専門医がし っかりと対応しています。  進行癌(主として大腸、食道、胃、膵臓)の化学療法は、以前に比べ明らかに治療 成績が改善し、長期生存患者さんも増えています。抗癌剤の進歩だけでなく、患者さ んの意欲、医師の経験、様々なサポート体制が整ってきたことが大きな要因です。 精密検査や専門治療だけでなく、緊急の紹介患者さんが増えてきたことが最近の特徴 です。緊急入院は常に15-20%を占め、急性疾患への対応に力をいれています。消化管 出血、急性腹症、黄疸など研修医の教育に必須のバラエティーの富んだ症例が集まっ てきています。

 人事移動で4月からスタッフ、レジデントを含め大幅な入れ代わりがありますが、診 療方針は変わりません。より緊密な診療体制が築かれるよう科をあげて努力していく 所存です。

消化器科ホームページ→http://www.onh.go.jp/ge/

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        診療科紹介8:皮膚科・形成外科
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            皮膚科・形成外科科長  田所丈嗣

 当科の診療内容を、政策医療に基づいた皮膚癌(皮膚悪性腫瘍)の治療を主眼とし たものに移行してほぼ2年が経過しました。地域の医療施設よりの紹介患者数も増 え、手術件数や皮膚癌の入院患者数も大幅に増加しました。今後とも多方面からの信 頼を得られるよう質の高い医療を提供したいと考えています。  さて、皮膚癌は目で見えるため、比較的早期に発見しやすい癌であると言えます。 しかし、そうであるが故に、自分で何とかしようと刺したり、削ったりして悪化させ てしまうこともしばしば見受けられます。治りが悪いイボや湿疹が皮膚癌であること も多いので要注意です。日本人に一番多い皮膚癌は基底細胞癌です。黒色調のやや盛 り上がったホクロのように見えることも多い腫瘤で、時に、潰瘍を呈することもあ り、高齢者の顔面に発生する事が多いようです。ただし、この腫瘍は確実に切除すれ ば生命予後は非常に良好です。悪性度の高い皮膚癌としてはおそらく最も有名なもの に悪性黒色腫(メラノーマ)が挙げられます。これは皮膚のメラニン産生細胞が悪性 化したものです。紫外線が発癌因子の一つとされ、近年増加傾向にあると言われてい ます。非常に転移しやすい悪性腫瘍で、肝臓、骨、脳転移等がよく見られ、ひどい痛 みや死亡の原因となります。しかし、進行度の浅い早期メラノマーノは切除範囲も小 さくて済み、また、生命予後も良好ですので、早期の発見と治療が重要となります。 メラノーマを早期に発見するための着目点としては、ホクロに較べて不規則な形、色 調にムラがある、境界が不鮮明でインク染みのように見えるところがある、大きさが 1センチ以上である、数ヶ月で大きくなってきたなどが挙げられます。しかし、最終 診断には、組織を採取して顕微鏡で調べる病理組織検査を要します。近年、補助的早 期診断法としてダーモスコピーが注目されるようになりました。これは、皮膚表面の 乱反射を抑え、皮膚病変を直接拡大して観察することで、メラノーマやホクロなどの 色素性病変の鑑別や、基底細胞癌などの診断に有用であるとされています。侵襲を加 えることがないため痛みも全くありません。昨年より当科も最新式のダーモスコープ を導入し、皮膚癌の早期診断に役立てています。どのような皮膚癌でも、早期の治療 が大切なので、早めにお近くの皮膚科を受診されることをお勧めします。

皮膚科ホームページ→http://www.onh.go.jp/derma/

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          診療科紹介9:歯科
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                   歯科科長 岡田 壽一 

 歯科、歯科口腔外科は現在常勤歯科医師2名、非常勤歯科医師6名、研究医員2名、看 護師1名、歯科衛生士2名、歯科技工士1名、クラーク1名にて外来、入院診療に当たっ ています。  当科受診の患者様の多くの方は有病者であり、歯科、歯科口腔外科処置に当たり病 院歯科での処置を希望されて、また歯科医院よりの処置依頼紹介の方です。医師監視 下で歯科治療をようする患者様には、必要に応じ、関連科との連携、ご協力により積 極的に対応をしています(特に、感染症(肝炎、HIV)、抗凝固療法中、化学療法中、 糖尿病、高血圧の方が多く、感染症に関しては器具数の充実により、スタンダートプ レコーションにもとづく診療体系改善を行っています。)  昨年度より歯科衛生士の参加により、口腔ケア(周術期、摂食・咀嚼嚥下障害、化 学療法、呼吸管理下の患者様の口腔内管理による誤嚥性肺炎、口内炎等、二次疾患の 予防を目的とする。)実施の足がかりができました。口腔ケアの実践により本院医療 の質向上に貢献を目指しています。  入院疾患は、有病者の抜歯から口腔癌まで幅広く診療を行っています。(悪性腫 瘍・良性腫瘍・嚢胞疾患・顎関節疾患・歯性感染症・外傷などです。)口腔癌症例が 半数を占め、放射線科、形成外科に協力をいただき、患者さんのQOLを考慮して治療方 針をたてています。(口腔底癌、舌癌、頬粘膜癌、などの軟組織癌にたいしては放射 線治療(組織内照射)により、手術例は形成外科の再建により良い結果が得ています。)  外来は、有病者の歯科治療(大阪市住宅寝たきり高齢者訪問歯科診療事業への支援 病院)、口内炎、口腔乾燥症、味覚異常、顎関節異常、歯牙移植、再植・インプラン ト(人工歯根)などを行っています。(小手術は可能な限り外来にて対応しています が、症例によっては短期入院にても対応しています。)  教育に関しては、平成18年開始の歯科医師臨床研修制度の単独型臨床研修施設とし て認定され、19年度より研修医2名受け入れを予定しており、歯科衛生士教育の一環と しの病院実習教育を、5校よりの受け入れ、卒後歯科医師研修は研究医員制度にて行っ ています。  歯科、歯科口腔外科診療科の充実を図るべく、外来、病棟診療とスタッフ一同にて 当たっていますが、今後とも皆様のご協力、支援をいただきますようお願いします。

*来月は、整形外科・心臓血管外科・放射線科の紹介を予定しております。

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          ボランティアグループ
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                            ボランティアコーディネーター
                       中村 昭代
『病院ボランティアだからこそ出来る事』

 去る2月、大阪の国際会議場で、日本病院ボランティア協会とNHKの共催で、上記 テーマで研修会が実施された。広い会場もほとんど満席で、全国から集まった病院ボ ランティアの熱気があふれていた。4名のパネリストがボランティアに対する思いをあ つく語られた。  患者さんの望むボランティア像―普通の感性、共感してくれる、理解を示す、さり げない気配り、静かに傍らにいる・・・特別なことを望む人は少ない。病院側のボラ ンティア受入れ時考慮する点―受入れ意図の明確化・育成(教育)システムの確立・ 支援システムの確立・提供できるサービスの確認・限界の認識。病院ボランティアの 有様―生活者の視点を持って、患者さんの日常性を創り出す「プロの存在」。健康な 第三者で「安心の存在」。療養生活の質<QOL>の維持あるいは高める機能を持つ 「ゆとりの存在」。ストレスを「緩和する存在」。市民の感性で病院の開放を促す 「社会化の存在」・・・  活動を開始して10年目を迎える当センターのボランティア活動も、受け入れ側と送 り側である、医療側とボランティア側が各々の立場について今一度明確にする時期に きているのではないかと思う今日この頃である。

ボランティアホームページ→http://www.onh.go.jp/volunteer/

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         患 者 情 報 室 か ら
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              NPO法人ささえあい医療人権センターCOML
               患者情報室担当 山本ゆかり

 患者情報室を利用した入院患者さんが、同じ病棟の患者さんに「患者情報室で調べ てみたら」と紹介してくださることが増えてきました。3年目を迎えて存在が認知さ れ、口コミで利用者が広がっていることを嬉しく思っています。  入院中の若い女性が車椅子で来室し、長い時間インターネット検索をされていまし た。翌日、別の車椅子の方と松葉杖を使用している方と女性3人でやってきて、病院の ホームページの整形外科スタッフ紹介のページを開いて、「○○ドクター、写真写り いいですね」「院長、大学の教授をしていたなんてすごい」などとにぎやかにご覧に なっていました。そのあと、人工股関節の手術や術後のリハビリについて、3人で真剣 に調べていかれました。  点滴のスタンドを引っ張りながら何度も訪れて、いつも病気のことを調べたあとに 闘病記などを何冊か借りていく女性がいらっしゃいました。ある日、「同じ病室の方 なのです」と、パジャマ姿の女性を連れてきてくださいました。まるで患者情報室の スタッフのように、部屋の中を案内し本の借り方も説明してくださいました。一緒に 長い時間をかけて治療方法のことを調べ、2人とも2冊ずつ本を借りて病室にもどって いかれました。  先日、開室後すぐに入ってきた男性の入院患者さんは、昼前まで本とインターネッ トで熱心に調べ物をされていました。その日の午後、女性の入院患者さんと来室し、 「彼女に質問されていた、病気の治療方法や食事療法のわかりやすい資料がないかを 午前中に探してみました。でもやはり、自分で探すほうがいいかと思って案内してき ました」と話してくださいました。女性は、彼のアドバイスを受けながら何冊かの本 に目を通し、「ドクターやナースからも治療方法の説明は何度も聞いていたのです が、自分の目で資料を見るとよくわかり、説明を理解することができました。同じ病 室の方にも紹介したいので、これをもらっていきます」と、患者情報室の案内リーフ レットを持って帰られました。

患者情報室ホームページ→http://www.onh.go.jp/jyohousitu.html

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       看 護 の こ こ ろ (看護部から)
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                 西9階病棟   増田  雅子
 ももの花も満開となり、日増しに暖かくなって参りました。
 私は、平成17年4月大阪南医療センターより転勤してきました。早いもので1年が過 ぎようとしています。最初は慣れない業務で不安と緊張感での日々でしたが、スタッ フにパワーを頂きながら頑張っています。  所属する西9階外科病棟は、主に消化器、肺、乳腺、痔やヘルニアの手術を受ける患 者様が入院しています。また、ターミナル期の患者様も受け入れ緩和医療にも力をい れています。患者様の平均在院日数は15日と短く、患者様の回転の速さに目が回わり そうな状態ですが、チームワークのよさで乗り切っています。チームワークは、社会 や家庭又は職場などいろいろな場面に登場します。チームワークの善し悪しが職場の 雰囲気、仕事の円滑さ、医療事故の未然防止、看護の充実感などすべて左右する大き な条件と考えています。野球でたとえると、ピッチャーだけのワンマンプレーではな く、全員で勝ち取って意味をなします。スタッフ全員がムードメーカ的になり、より よい職場を目指したいと思います。「西9に入院して良かった」「西9入院希望で」と いわれたときは、スタッフみんなよい看護が出来た勝利の証の1つだと思う瞬間です。  私には、看護していく上で、「今行っている看護が、今自分が受けたい看護か」と 問いながら日々看護に努めています。相手の気持ちは自分がその身になってみなけれ ば分かりにくいことです。ある日頭痛で出会った患者様ですが、顔を見て、手を握っ ただけですが「頭が痛いのとれたよ。もっと早くくれば良かった。」と、本当は薬効 で頭痛が軽減されたはずですが、そのように言って下さいました。看護は、患者様に 元気の‘気’を送る存在であることが大切です。逆に患者様から多くの‘気’をエー ルという形で戴いていることでしょうが…。  その人がみせる表情・しぐさ・言動から人に喜ばれる心の通った看護を提供してい きたいと思います。患者様を3側面(身体面、精神面、社会面)から捉え、心のふれあ いを通して人間関係が築けるよう、専門的知識の向上はもとより、言葉の1つ1つを 大切に使っていきたいです。そのことの大切さをスタッフにも看護として伝えていき たいと思います。そして、患者様のニーズをいち早くキャッチし、さりげない気遣い ができる看護師を育てていきたいです。患者様に良い看護を提供できるよう・・・こ れからもやさしく、患者様の立場に立った看護を常に考えられるスタッフであって欲 しいと願いながら・・・。

看護部ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/

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         研 修 医 日 記 その1
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 はじめまして。二年目研修医の小出雅雄です。
 研修医という身分でいられるのもあと数週間となってしまいました。この二年間を 振り返っての思い出や、感じたことを少し記そうと思います。

 6月、僕の研修は救急部から始まりました。社会人になったばかりの僕は何を勘違い したのか、仕事はネクタイを締めて行くものだと思い込んでおり、(自分の中では) ビシッときめて救急部の朝のカンファレンスに出席していました。三日後、部長から 「もっと普通の格好をしてこい!」と言われるまで、ICUでネクタイを締めて働いてい ました。その後は格好もラフになり、8月にはビーチサンダルで仕事に行って、また怒 られるという羽目になりましたが・・・。そんな社会人としての常識を身に付けるととも に、医師としての基礎も日々学ばせてもらいました。しかし働き始めた当初は右も左 も分からない状態で、患者さんを受け持っても、いつの間にか治療方針が決定し、自 分はそれを追いかけるのが精一杯でした。自分はいったい何のためにいるのかと考え てしまう日々が続きました。外科での研修では、吐血し、呼吸停止された患者さんを 目の前にし、その時自分には上の先生を呼ぶことぐらいしかできませんでした。いっ たい自分に何ができたのか、どうすれば患者さんがよくなったのかと考え、自分の無 知、無能を痛感させられた出来事でした。この二年間で多くの患者さんを受け持たせ てもらいましたが、患者さんと接することで、本当に多くのことを学ばせていただき ました。本から得る知識も大切ですが、患者さんから得たものは、それ以上に自分の 身になったと感じています。  そんな充実した研修医生活でしたが、時には愚痴をこぼしたくなることも多くあり ました。恵まれたこの病院の立地のおかげで、周りには多くの飲み屋さんがあり、研 修医同士でよく憂さ晴らしに行ったものです。そんな同期や、指導医の先生方、看護 師やコメディカルの方々など多くの方に支えられ、この研修が終了できたと思いま す。ありがとうございました。

 初期研修が終了すると同時に後期研修が始まります。春からは後期研修医として循 環器内科で働くこととなりました。さらにこれから忙しくなると思いますが、この二 年間で学んだことを礎にしてがんばっていこうと思います。これからもよろしくお願 いします。

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         研 修 医 日 記  その2
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                       西出 憲史
Contents
#1 外科志望のはずが
#2 当院での研修
#3 最後に

1.    外科志望のはずが
 大学入学前はスポーツ整形、大学5回生までは外科志望でした。今思えば手術に対す る憧れがそうさせていたのでしょうか。大学6回生時、病院見学に行った舞鶴市民病院 で、米国から医師教育のため来日していたDr.Tierneyと出会い、内科学のおもしろさ に気付かされることとなりました。  それから内科志望に転向しましたが、専門分野を何にするかを悩んでいました。実 際決定したのは今年の6月、当院での消化器内科研修中に「この先輩、この環境のもと で仕事をしたい。」と思ったのが始まりです。来年4月からは当院の消化器内科レジデ ントとして勤務予定です。

2.当院での研修
 一言で表現するなら
1年目:「若さで乗り切る24時」
2年目:「回転寿司なみローテーション」
といったところでしょうか。1年目はまだまだわからないことも多く、夜中に緊急で コールを受けることにも慣れていません。今なら短時間で処理できることも、2倍、3 倍の時間・労力を費やしていたように思います。将来のためになると信じ、体力と気 力で乗り切りました。  2年目は1ヶ月単位で研修科を移動することも多く、環境が目まぐるしく変化する1 年です。しかし、個性あふれる先生方との、人生観を変えられるような出会いがこの ローテーション中に数多くありました。

3.最後に
 「医師は初めの2−3年が勝負」と言われます。初めに受ける指導や環境で、その後 の医療スタイルが決まってしまう。そのくらい大事だという意味だそうですが、それ 以上に大事なのは「自分のスタイルを決めてしまわないこと」だという気がします。 言い換えれば「変化し続けること」それは既存の治療法で満足してしまわないことで あり、患者ごとに違うニーズに応えた治療・看護ができることなどと言えるかもしれ ません。  今まで100点満点の医療を行うことに重点が置かれてきました。それが100%の満足 につながれば良いのですが、必ずしもそうではありません。100%満足しているのは医 療従事者だけで、当の患者さんはむしろ不満でいっぱいだということも度々経験しま した。そこに不足しているのは、本来一番大事なはずである、人と人との付き合いじ ゃないかと思います。  付き合いを語るにはまだまだ未熟ですが、「100%の満足」目指して、「変わり続け ること」を気付かせてくれた、大阪医療センターでの研修に感謝しています。研修中 お世話になった先生方をはじめ、コメディカルの方々に、この場を借りてお礼申し上 げます。

http://www.onh.go.jp/kensyu/nikki.html

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総編集長:病院長 廣島和夫
編 集 長:副院長 楠岡英雄、内藤正子、看護部長 山田泰子 
編   集:横田尚子
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 まもなく桜の花便りも聞かれることと思います。別れと出会いの季節ですが、体調 には十分ご留意ください。
 では、来月までごきげんよう。

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