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メールマガジン「法円坂」No.83(2008/4/16)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



皆さんお元気ですか。
造幣局の桜も今週が見頃のようです。
今月のメールマガジンをお届けします。
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   メールマガジン「法円坂」No.83(2008/4/16)
             (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長     楠岡 英雄 です
  ・大阪医療センターのNSTについて
 ・HIV感染症海外研修に参加して
 ・乳がんの最新治療2008「第23回患者情報室勉強会」開催される
 ・看 護 の こ こ ろ
 ・研 修 医 日 記

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         院 長 楠岡 英雄 で す 
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 4月1日から診療報酬点数表が改訂されました。ご承知のように、わが国では、健康
保険制度の下で行われた医療行為の対価は診療報酬点数表に定められた点数にしたがっ
て請求し、健康保険組合や市町村の国民健康から支払われるので、この改訂は、病院の
収入を大きく左右します。今回の改訂では、以下の6つの課題を中心に改訂が行われま
した。
1.産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担の軽減
2.患者から見て分かりやすく、患者の生活の質(QOL)を高める医療を実現する視
  点
3.質の高い医療を効率的に提供するために医療の機能分化・連携を推進する視点
4.わが国の医療の中で今後重点的に対応していくべきと思われる領域の評価の在り方
  について検討する視点
5.医療費の配分の効率化の余地があると思われる領域の評価の在り方について検討す
  る視点
6.後期高齢者の診療報酬について

これらの課題に基づいて、新たに報酬が設定されたもの、既存のものに修正が加えられ
たもの、削除されたものなどがあります。
 今回の改訂の中であまり目立ちませんが、循環器疾患を取り扱う者から見て従来と大
きく変わったと思われる点があります。それは、冠動脈インターベンション術の算定用
件に「日本循環器学会等の学会の承認を得た、当該疾患の診療に関するガイドラインに
沿って行うこと」という項目が加わった点です。冠動脈インターベンションとは、心筋
梗塞や狭心症の原因となっている冠動脈の狭窄を風船で拡張したり、その場にステント
と呼ばれる金属の網状の管を置いて最狭窄を防いだりするための手術です。手術といっ
ても胸を切りひらいて行うのではなく、手や足の動脈にカテーテルと呼ばれる細い管を
通して行う手術ですので、患者さんへの負担も少なく、また、救急での短時間に対応で
きるので、冠動脈狭窄の標準的治療となっている手術です。
 これまで、冠動脈インターベンションは無制限に行われていたわけではなく、必要と
考えられる狭窄部に対して実施されてきました。しかし、あまり必要のないところに対
してまで行っているのではないかという批判は常にありました。不必要と思われる部位
に対する行為に対しても、これまでは保険請求がなされていたわけですが、今後は、学
会のガイドラインに則って、必要性を見きわめることが求められたわけです。
 欧米においては、健康保険における請求・支払の基準の1つとして、学会のガイドラ
インが早くから考慮されていましたが、わが国では、ガイドラインが保険診療に採択さ
れることありませんでした。一方、学会のガイドラインに沿った治療を行っても、いわ
ゆる「適用外」といわれ、保険請求が認可されていない場合は、診療費としての請求が
認められていませんでした。今回の改訂は、適用のある部分での学会のガイドラインの
採用ですが、これが、ガイドラインに示される適用外使用の承認へと繋がっていくこと
を期待したいと思います。

日本循環器学会のガイドラインは下記に掲載されています。
 http://www.j-circ.or.jp/guideline/index.htm


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                   大阪医療センターのNSTについて             
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                                                 NST栄養士 今西健二

  NSTとは 「 Nutrition Support Team:栄養サポートチーム 」 のことで、多職種
が協力し、患者様にとって適切な栄養管理を行う医療チームのことを言います。
大阪医療センター(以下当センター)では、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言
語聴覚士、事務員、そして、管理栄養士が構成メンバーとなっています。
 栄養管理の体制は、看護師による栄養スクリーニングを入院時に行い、低栄養のリス
クがある患者様を抽出します。現在では、入院患者様の約90%にスクリーニングが行わ
れています。その結果をもとにして、管理栄養士が血液生化学検査結果や食事摂取状況
などを考慮に入れた栄養状態の評価を行い、積極的な栄養管理の介入が必要かどうかを
判断して医師に報告します。入院中では、医師の判断で、必要に応じてNSTに栄養管
理を依頼するシステムとなっています。
 また、入院時の栄養状態は良好であっても、手術や治療の影響によって入院中に栄養
状態が悪化する可能性もあります。その場合には、NSTメンバーである看護師が中心
となって、低栄養のリスクがある症例を抽出して栄養カンファレンスなどを設けて栄養
状態の再評価を行います。その結果を医師に報告することによって、NST依頼に繋げ
ることもあります。
NSTへ依頼される内容は、『 栄養評価 』や、食形態調整、摂食・嚥下機能評価など
を含む『 適正な食種・補助食の選択 』に関係することが、全体の約90%を占めてい
ることから、管理栄養士が窓口となってNST介入が開始されます。患者様の背景から、
状態に合わせた適切な栄養管理についてNSTとして意見します。また、必要に応じて
NSTメンバーである各専門職種と調整を行って栄養療法の方針を決定します。
 栄養療法は、静脈栄養、経腸栄養、経口摂取などに大きく分けることが出来ますが、
生理的に優れている消化管を使用した栄養療法を第一に選択します。しかし、何らかの
影響で消化管が使用できない場合は静脈栄養を行うこともあります。また、食欲低下や
摂食障害がある場合には、食事の内容や形態を工夫して提供することで、経口摂取量が
増加するように勤めています。
 大阪医療センターNSTでは、患者様にとって適切な栄養管理方法の選択や、的確な
コンサルティングを実施して、栄養管理の質向上を目指していきたいと考えています。


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                   HIV感染症海外研修に参加して
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                                           西8階病棟   礒元 則子

 今年1月31日から2月15日までの2週間、当院からは医師3名、薬剤師1名、看護師2名、
また仙台医療センターから医師1名、名古屋医療センターから薬剤師1名の計8名がサン
フランシスコでの研修に参加させていただきました。研修では、講義や施設見学、実際
の医療場面の見学を通して、サンフランシスコでのエイズの歴史的背景から多岐にわた
る患者支援活動、医療や行政の体制、エイズが抱える今後の課題についてなど、サンフ
ランシスコにおけるエイズに対する包括的な取り組みについて学ぶことができ、大変有
意義な経験ができました。
 その中で私が看護師としてまず思ったことは、アメリカでは看護師の専門性が非常に
高くきちんと機能できているということです。ナースプラクティショナーと呼ばれるよ
り専門の資格をもつ看護師が、診療介助にとどまらず、必要に応じて薬剤処方をしたり、
看護師独自の診療スペースを持って生活指導などを行っていたりしていました。1医療
者対1患者の診療時間が日本とは大きく違っており、アメリカでは1患者に対して多く
の時間を使うことができています。それは看護師に限らず薬剤師やソーシャルワーカー
などそれぞれの専門性も高く、医師は医師としての、看護師は看護師としての、薬剤師
は薬剤師としの専門性が発揮され機能しているからこそ、それぞれが患者とじっくり向
き合う時間が確保できるのだと思いました。
 また、アメリカと日本における医療や行政の体制についても違いを学ぶことができ、
エイズのサポートに限らず、アメリカでは地域におけるプライマリーケアが確立してい
ると感じました。日本ではまだまだ大病院への入院志向が強く、療養型病院の受け入れ
や家庭での介護についてはそれを支援するための行政的な課題がまだ多く残されている
現状です。日本では特にエイズに対しては偏見もあり、更に受入れが困難な状況ですが
アメリカでは地域での支援を受けながら人生を送る生活が普通になっていました。エイ
ズ患者に多いホームレスや薬物依存症患者に対しても住む場所の提供や、定期受診が継
続できるように工夫されている取り組みなど、医療や行政の体制も整っていると感じま
した。また、患者をとりまく多くの人々に高い専門性と熱意を感じ、私自身一人の医療
従事者として、また一人の人間として患者に何ができるのか、患者への姿勢など日頃の
自分を振り返りながらじっくりと考える機会になりました。
 エイズは長期生存が可能な慢性疾患となりましたが、感染者数は増加の一途をたどり、
当院の累積患者数も1200人を超えています。今回の研修での学びを生かしてエイズ治療
拠点病院の看護師の一人としての自覚を持ち、今後も自己研鑽しながら患者のニーズに
応じた専門性の高い看護支援を行えるよう努力したいと思います。


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 乳がんの最新治療2008「第23回患者情報室勉強会」開催される
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                                            ボランティアコーディネーター 
                                            藤本 和彰

 2月23日(土)に、「患者情報室勉強会」を開催しました。患者情報室では、大阪
医療センターのドクターやナース、薬剤師等に講師をお願いし「患者情報室勉強会」を
2ケ月に一度偶数月に開催しています。今回で23回目を迎えることができました。
 毎回、さまざまなテーマについて専門的な内容をより分かりやすく話していただいて
います。参加者は20名〜100名と変動するものの、とても熱心に話を聴かれ質疑応
答も活発な勉強会です。今回は最近の乳がん研究、治療の成果を紹介する”乳がんの最
新治療2008”と題し

(1)「治験とCRC」
講師:国立病院機構 大阪医療センター
治験コーディネーター 櫻井 真知子

(2)「San Antonio 乳がんシンポ報告」
講師:国立病院機構 大阪医療センター
外科医師 増田 紘子

(3)「乳がん診療のこれから2008」
講師:国立病院機構 大阪医療センター
外科医師 増田 慎三

上記をテーマにそれぞれに講師をお招きし、話していただきました。当日は「乳がん」
への関心の高さのためか、約100人の参加申し込みがあり、緊急災害棟3階講堂をお
借りしての開催となりました。
数多くのスライドを使っての説明に、専門的な話も含まれた盛り沢山の内容でしたが、
参加者の多くがメモを取るなど、熱心に聴講する姿が見られました。質疑応答のコーナ
ーでは、術後間もない患者さんや術後7年を経過した患者さん、また患者さんのご家族
から、検査値に対する考え方や、これからの治療方法の選択など、具体的な質問が多く
出されました。講師の方々は、その一つひとつに、わかりやすく丁寧に回答してくださ
いました。熱心な語り口の中に、乳がん治療に対する熱い思いが感じられ、充実した勉
強会になりました。また、参加者は日ごろの診察室では得られにくい満足を感じられた
ようでした。
 乳がんの患者数は、日本では、ここ10数年で急激に増加しています。また、乳がん
医療も、この10年ほどで大きく変わりました。その背景には情報量の飛躍的な拡大と
患者側の意識の変化があります。患者は今、自ら情報を求め、担当医や治療法なども自
由に選択ができるようになりました。裏を返せば自分で意思決定したことの責任も負わ
なければなりません。同じ病気でも、その時期や病状、そして患者さんの思いや考え方
によって必要としている情報は本当に様々だと改めて感じた一日でもありました。
質疑応答で、ある女性が「当院に乳がんの患者会がないので作ってほしい」との声があ
がりました。ご自身が乳がんになったり、ご家族・友人が乳がんになると、様々な不安
や悩みが出てきます。お互いが情報交換したり、励ましあったり、また同じ病気をもつ
仲間が共に考え支えあう、同じ辛さを共有する場をもつことは大事なことだと思います。
 「病院が主体となって“患者会”を立ち上げることはできません」と講師のお言葉が
ありました。この勉強会に参加された誰かが主導者となられ、当院の医療関係者がそれ
をサポートできる患者会が早く立ち上がれば嬉しく思います。
 勉強会後、同じこころざしの人たちが数人、患者情報室に集まり、立ち上げる準備を
されました。それに必要な会場のご提供等については患者情報室から病院にご協力をい
ただけるよう進めてまいります。また、出来る範囲でお手伝いをさせていただきます。
ぜひ、作っていただきたいと願っています。

 患者情報室では、5月から「患者情報室サロン」に新たに「乳がんの日」を設定(5
月8日木曜日です)しました。同じ病気の患者さんやご家族が集まって、自由に語り合
えるサロンです。ぜひ一度、ご参加ください。お待ちしています。

 最後に、勉強会にご協力いただきました講師の方々、ボランティアの皆さん、そして
「地域医療連携室」古田さん、ありがとうございました。


【患者情報室からのお願い】
患者情報室ではボランティアを募集しています。資格は問いません。来室された患者さ
んやご家族の方と一緒に病気について本やインターネットを使って調べたり、患者さん
のお話しを聞いていただくだけでもかまいません。少し空いた時間でお手伝いをしてい
ただけるなら大歓迎します。
お申し込みをお待ちしています。

患者情報室ホームページ→ http://www.onh.go.jp/jouho/jyohousitu.html


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       看 護 の こ こ ろ (看護部から)
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                     西10階病棟  上田 純子

 桜の花もほぼ満開となり、暖かい日差しも心地よく感じる季節となりました。新学期、
4月のスタートです。ここ大阪医療センターも、新しい人たちをたくさん迎えることと
なりました。とっても楽しみです。
 私は、看護師歴13年ですが、大阪医療センターに異動となり、まだ1年です。私が今
まで過ごした中で、ほんとにあっと言う間の1年でした。
 今回、「看護のこころ」というテーマをいただき、自分の看護観について振り返りた
いと思います。私は、以前は、堺市の病院に勤めていました。そして、そのうち、半年
は「がんの痛み」について東京の看護大学校へ研修に行かせていただきました。
こんな私にも、新人であったときがありました。今思えば、新人の頃は、わけもわから
ず、日々の看護業務をこなすことで精一杯だったように思います。しかし、経験を重ね、
たくさんの患者様・ご家族、また看護師や医師などと関わる中で、患者様やご家族の
「そばにいること」「寄り添うこと」が大切であることを学びました。
 ある終末期の受け持ち患者様がいました。患者様は、息苦しさや痛み、倦怠感などい
くつかの症状をもっておられ、毎日ベッドの上で過ごされていました。患者様へ、痛み
止めの薬は使っていましたが、しんどさはとれず、また治療も行いましたが効果がみら
れず、患者様は自暴自棄になっていました。そして患者様は、誰とも話されず、終末期
の大事な時間が過ぎていました。私はその患者様に対し、何も出来ない申し訳なさと自
分の不甲斐なさに毎日、悩みながら、患者様の部屋に通いました。患者様からのコミュ
ニケーションはありませんでした。しかし、何度も訪室したりすることにより、自分の
思いを話したり、笑顔を見せてくれるようになりました。この時、そばで付き添うこと
も看護であることを改めて感じることができました。「そばに付き添う」とは、ことば
通り、実際に「患者様のそばにいること」ですが、それだけではなく、「こころが寄り
添う」ことが大切ではないかと思います。患者様と気持ちが通じあえたと感じた時、そ
れが看護のやりがいであると思います。そんな思いがある中で、今、自分の日々の看護
はどうだろうかと考えると、業務の忙しさを理由に、このような看護が十分に行えてい
ない現状です。もう一度、患者様と共に過ごす時間を大切にし、さらに患者様・ご家族
と関わっていきたいと思います。4月から新人さんが来られますが、看護の楽しさを一
緒に経験できればと思います。これからもがんばりますのでよろしくお願いします。

看護部ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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                                                    後藤 裕信

  こんにちは。2年目研修医の後藤といいます。平成18年度研修医の最後を担当させて
もらいます。これまで僕の同期生が当院での研修システムに関して詳しく説明してくれ
ているのでちょっと自分のことを書きたいと思います。
今まで、外科→循環器科→総合内科→救命→心臓血管外科→麻酔科→地域医療→小児科
→精神科→産婦人科→麻酔科で研修を行い4月からは当院、外科で後期研修を開始する
予定です。実は学生の時は循環器内科志望で研修開始後もしばらくはそうでした。外科
に対する学生時の印象も長時間の手術、過酷な勤務状況、指導医の先生の厳しい指導等、
決して良いものではありませんでした。そんな中、まず外科での研修から始まりました。
最初は病棟業務に慣れることで精一杯でしたが、手術にも参加させてもらい少しずつ手
術の楽しさを自覚するようになりました。最後の手術日、手術が終わった時、これで終
わるのは名残惜しいという気持ちになりましたが、自分は循環器内科医になるのだとい
う気持ちの方がまだ勝っていました。その後、循環器科をローテートし、そこで内科的
治療、カテーテル治療よりも外科的治療を学びたいと感じ、外科に進もうと決めました。
2年間で外科系の研修は外科と心臓血管外科で行いました。2年目にローテートした心臓
血管外科は病院の環境にも慣れ、とても充実しており改めて外科を選んでよかったと感
じました。
 つらつらと自分の事を書いてきましたが、従来の研修制度と違って自分の専門分野を
決めずに研修を行えるので、スーパーローテート研修の期間は自分の将来をもう一度考
える機会を与えられているということです。その期間にいろんな患者さん、いろんな疾
患、いろんな先輩、いろんな同僚と出会い、影響を受けていくと思います。そのどれを
とっても大阪医療センターは充実していると思います。外科は3ヶ月間、必修科目です。
是非、一緒にがんばりましょう。

臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 楠岡英雄
編 集 長:副院長 恵谷秀紀、山崎麻美、徳永尚美 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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4月は異動の季節です。
新しい方々を迎えて大変だと思いますが、早く職場に適応出来るよう応援しましょう。
ではまた来月まで。
 
このメールマガジンは、バックナンバーも見ていただけます。
(以下のURLからお入り下さい)
http://m-maga.onh.go.jp

メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp 

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