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メールマガジン「法円坂」No.105(2010/2/16)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



  最近手荒れの人をよく見るようになりました。昨年は春から新型インフルエ
ンザの流行で、手洗いやアルコール消毒がどこにいっても推奨されるようにな
り、そこにも一因があるかもしれないといわれています。朝シャンや1日に何
回も入浴する若者が増えているのだそうですが、ある程度体表を覆う油分や水
分が必要なのでしょう。傷の自然治癒力にはある程度湿気も必要で、人と人と
のふれあいにも潤滑油と潤いが求められています。メルマガが私たちと読者の
みなさんをつなぐ潤滑油になるように、しばらくお楽しみ下さい。
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   メールマガジン「法円坂」No.105(2010/2/16)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 楠岡 英雄 で す     
 ・低侵襲心臓血管外科手術 
  ・「支えあいの輪〜スター混声合唱団in大阪医療センター」を開催
 ・看 護 の こ こ ろ
  ・研 修 医 日 記
 
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         院 長 楠岡 英雄 で す 
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 今年の1月29日に厚生労働省から「内服薬処方せんの記載方法の在り方に関
する検討会」の報告書が公表されました。

 病院や診療所にかかり、院外の薬局で薬をもらう場合には「院外処方せん」
を医師からもらわれると思います。この処方せんの記載を標準化しようという
のがこの検討会の目的でした。

処方せんは明治時代からすでにあり、いまさら記載方法を取り決める必要があ
るのかと疑問に思われる方も多いと思います。実際、処方せんに記載すべき事
項は法令によって決められていますが、実は、「薬名、分量、用法・用量」を
記載せよというだけで、具体的な記載方法は示されていませんでした。最も望
ましいのは、「薬名、1回量、1日量、1日の服用回数、服用のタイミング及び
服用日数」等、全ての事項を記載することですが、限られた時間で全て記載す
ることは現実的に困難でした。

また、最近では院外で処方せんに基づき薬をもらうのが当たり前のようになっ
ていますが、10年前まではほとんど院内の薬局で薬を出していたので、院内の
関係者間で判れば多くを省略してもあまり問題にはならなかったということも
あります。

ところが、医師、医療機関の間で標準化された記載がないため、処方せんの解
釈の違いから、投与量や投与時期を間違え、それが原因で重大な医療事故につ
ながる事例が増えてきました。このような実情を踏まえ、平成17年には厚生労
働省に設置された医療安全対策検討会議から、処方せんの記載方法等の標準化
を早急に検討するよう、指摘もなされました。

その後、数年をかけて種々の検討がなされ、その結果を受けて、昨年、「内服
薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会」が設けられ、標準化案が作ら
れました。

これまでの記載法ではどのような問題があったのか、一例を示します。「○○
錠 3錠 3回毎食後」と書かれた場合、多くの場合は「1日に3錠を服用す
る、すなわち、1回1錠を1日3回」と解釈されるのですが、これを「1回3
錠、1日で9錠」と誤解し、3倍の量を投与するという事例がありました。
「○○錠 1回1錠 1日3錠 1日3回毎食後」と記載すれば間違いの余地
はないのですが、最初に示したような記載が通常であり、時に、間違いを引き
起こしてきたわけです。

今回示された標準案では、「1回に服用する量」で記載することと定められま
した。すなわち、「○○錠 1錠 3回毎食後」と記載し、「1回1錠を1日
3回服用」と解釈することとなりました。このほか、この報告書では、これま
での問題点を整理し、標準的記載のあり方が定められています。

しかし、この標準的な記載が直ちに普及するかというと、幾つかの問題があり
ます。まず、医師・歯科医師をはじめとする関係者への周知です。処方せんの
記載法については、これまで、系統だって教育されたことがなく、研修した病
院のやり方を身につけるという方法で進められてきました。報告書では、医学
部等での教育や卒後の研修に標準記載の習得を入れていくよう、関係者に働き
かけることを求めています。

また、最近は処方せんを手書きすることは少なくなっており、コンピュータか
ら印刷するところが多くなっています。しかし、このようなコンピュータの改
修には相当のお金がかかるので、今すぐ改修することを求めることは困難です。
システムの大がかりな変更は、通常、コンピュータ・システムの入れ替えに合
わせて行われます。したがって、現在使われているコンピュータ・システムが
全て入れ替わるのに5年程度かかると考え、標準的記載への全面的な切り替え
に5年程度の猶予を設けています。

しかし、5年間、じっと待っているわけではありません。まず、できるところ
から手を付けるということで、可及的速やかに着手すべき方策も報告書の中で
示されています。

例えば、コンピュータ・システムでは、入力画面で、1回の量と1日の量の両方
を同時に確認できるようにすることです。これは大がかりな改修は必要ないの
で、できるところから行ってもらうこととしています。

また、標準化の進捗状況を2〜3年後に調査し、中間評価を行うことも決めてい
ます。

処方せんの記載方法にまつわる医療安全の問題が全面的に解消するにはまだま
だ時間がかかりますが、対応可能なところから少しずつ手を付けることにより、
少しでも安全性が高まるものと期待されます。


内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会報告書
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/01/s0129-4.html


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           低侵襲心臓血管外科手術   
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                         心臓血管外科
                         高橋 俊樹

 今月号では、当科でも従来より積極的に行って来た低侵襲冠動脈バイパス術
について、3月号では導入後3年目に入ったステントグラフト治療などの大動
脈瘤に対する低侵襲治療戦略について、当科の現状をまじえながら述べたいと
思います。
 最近の冠動脈バイパス術(CABG)の特徴は、1)人工心肺を用いない心拍動
下冠動脈バイパス術CABG(Off-pump CABG;OPCAB)導入にともなう低侵襲化、
2)内胸動脈(ITA)を中心とした動脈グラフト多用によるグラフトの長期開
存性の向上、の二点にあります。一方、再狭窄率の低い薬剤溶出性ステント
(DES)の導入以降、冠動脈インターベンション(PCI)の適応はさらに拡大さ
れるところとなり、それに伴ってCABGの適応は、従来のガイドラインで推奨さ
れている三枝病変や左冠動脈主幹部病変という解剖学的基準から、1)PCIが
複数回に及びステントを多数要する場合、2)出血性消化管病変や薬剤性肝障
害の既往から抗血小板製剤の使いにくい場合、3)DES治療後の再狭窄例、4)
PCI困難な慢性完全閉塞性病変を有する症例、等とよりPCI関連にシフトした基
準となってきました。従ってCABG適応症例には高齢の方が多く(自験例での最
高齢は90歳の女性(+人工弁置換術))なり、その分、悪性腫瘍、脳梗塞、慢
性閉塞性肺疾患、腎不全、肝機能障害、等の人工心肺ハイリスクの合併症を有
する方が増加してきました。しかし、OPCABでは、人工心肺にともなう炎症反
応を回避できるために機能障害のある主要臓器に対する侵襲も低く、また、ヘ
パリン使用量も少ないために出血量も少なくなります。また、ITAなどの有茎
動脈グラフトを多用することにより、上行大動脈への手術操作を避けること
(Aortic no-touch OPCAB)ができ、上行大動脈に高度硬化性病変のある方で
も、脳梗塞等のアテローム塞栓症や大動脈急性解離などの重篤な合併症を生じ
る心配がなくなります。大伏在静脈や橈骨動脈、等のfree graftを使用する際
にも、自動吻合器やNew Deviceを用いれば大動脈遮断することなく中枢側吻合

できるようになり、当科でもその低侵襲性も実証してきました。手術症例の重
症化にもかかわらず、OPCAB導入効果もあって、全国集計における待機的CABG
の手術死亡率は1.5%と低率です。私共も2000年よりOPCABをCABGの第一選択術
式としていますが、幸いにも今までの待機手術の患者様全員が元気に独歩退院
されています。OPCABにおける心拍動下CABGの技術は、弁膜症や胸部大動脈瘤、
等の複合心臓大血管手術にも応用し、心停止時間の短縮を図っています。とく
に弁膜症とCABGの同時手術では、心機能不良例が多く、手術死亡率が10%に及
ぶ報告までありますが、当科の手術死亡例は薬剤アレルギーを併発された高度
低左心機能の方お一人(2%)だけでした。
CABGの低侵襲化や良好な治療成績を生み出してきた要因の一つとして、1)吻
合部周辺の心拍動を局所的に抑制するStabilizer、2)左室後壁の吻合用展開
をより容易にしたHeart Positioner、3)吻合部からの出血を制御するCO2 
blowerやIntracoronary shunt、4)自動吻合器、等の周辺器具の開発、導入
があげられます。
今後は、内視鏡手術やRobotic Surgeryの技術も一層発展するでしょうし、画
像鮮明なDSA、造影装置も備えたHybrid Operating Roomが設置されれば、PCI
+OPCABのhybrid治療も同時に容易に行えるようになります。当科も、従来か
らの循環器内科との緊密な連携の下、冠血行再建術のより一層の低侵襲化を図
って行きたいと考えています。


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「支えあいの輪〜スター混声合唱団in大阪医療センター」を開催
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                    ボランティアコーディネーター 
                       藤本 和彰

 1月11日、当大阪医療センター講堂にてリボンズハウス開設記念イベント、
「支えあいの輪〜スター混声合唱団in大阪医療センター」を行いました。
この「リボンズハウス」は医療施設、ショッピングモールなどに開設され、
2008年6月23日に発足した「NPO法人キャンサーリボンズ」の目指す、がん
患者さんの「治療と生活」をつなぐ、サポート活動を行っています。患者さん
がより自分らしく少しでも快適な生活を送れるよう、サポートしています。
具体的には、がん治療に関する情報や医療相談のほか、医療用ウイッグ(かつ
ら)の紹介やメイクアドバイスなどです。
「NPO法人キャンサーリボンズ」は、がん医療やヘルスケアに携わる多くの
専門家によって設立された、がん患者さんやそのご家族、ご友人の皆さまを支
援する特定非営利活動法人です。がん患者さんの「自分らしく、少しでも心地
よい生活」の実現のために、「治療と生活をつなぐ」情報提供や具体的なサポ
ート活動を展開し、患者さんも、家族も、医療者も、すべての人が誰かを支え、
誰かに支えられる「社会全体で支えあうがんケアのネットワーク」づくりを推
進されています。
2009年12月14日、当院外来診療棟1階の患者情報室に、がん患者さんとそのご
家族の支援活動を行うスペースとして、キャンサーリボンズの情報の拠点(10
番目)として「リボンズハウス」を開設(併設)いたしました。
今回、このNPOのメンバーで広く活躍されている山田邦子さんが団長の「ス
ター混声合唱団」にお願いし、患者さん並びにご家族に「生きる喜び」「がん
とつきあえる精神」など、がんに伴う様々な不安や悩みの解消など、みんなが
楽しくなる場の提供を行うことを目的として開催したものです。
 当日は400名を超える参加者となり、車椅子や点滴をした入院患者さん、通
院患者さんをはじめ病院隣組の自治会の方、一般の方や医療従事者などで会場
一杯となりました。

 開会は楠岡院長のあいさつで始まりました。今、がん患者さんは非常に増え
ており、国民の2人に一人が生涯になんらかのがんに罹患する。そして増えて
いる理由として、
1)長寿化によって、がんになる確率が増えている。
2)がんに対する治療がどんどん進み、がんも治る病気になりつつある。人に
よっては3つ、4つものがんを一生の間に経験されるということもある。そう
いう時代になってまいりました。と述べられました。
また、がんの治療は医師や看護師だけでなく、栄養士さん、心理療法士さん、
MSWという職種の方々や、いろんな医療職が一体となる、チーム医療という
形で行っている。決して心配することなく、治療や生活支援など様々な受入れ
や相談体制が整っていることを伝えました。
 次に、当院において部門や診療科を越え、横断的活動を行っている「がんサ
ポートチーム」による当院のがん患者さんと、ご家族への支援のご紹介です。
消化器内科里見医師より説明されました。その後の質疑応答は、FAQ(F
requently Asked Questions)形式で行い、メンバーの生の声をお届けしま
した。
そして、団長山田邦子さんが率いる「スター混声合唱団」トークandコンサ
ートの時間です。「どうもやって参りました。大変長らくお待たせいたしまし
た。吉永小百合です。よろしくお願いいたします」のフレーズで、山田邦子さ
んのトークショウが始まりました。 
山田邦子さんは2007年、健康番組の出演がきっかけで、乳がんの罹患が判明し、
2回の摘出手術をされました。術後はホルモン治療など、今も薬を服用されて
います。「もうね、検査、検査、検査・・・大変ですよね。MRIは「30分動
かないで」といわれて、お尻がかゆくなったらどうするんだ・・・ってね」と、
自らの闘病体験を持ち前のキャラクターで、会場の患者さん達を笑わせました。
また、「摘出は成功しても、再発や転移の恐怖がずっと付きまとう、これがが
んの恐ろしさです・・・。愛と勇気、希望と笑顔を全国でがんばっている方々
に届けたい!」と自ら結成された「スター混声合唱団」団長 山田邦子として、
あいさつを寄せられています。
スター混声合唱団のメンバーは、♪「手のひらを太陽に」のリズムと会場の手
拍子に乗っての登場です。本日のコンサートで、会場の人たちが期待を旨に、
最高に緊張した一場面ではなかったでしょうか。皆さまの好きなスターが来て
おられたでしょうか?倍賞千恵子さん、鳥越俊太郎さん、そして片岡鶴太郎さ
んの登場を期待しておられた方があったのですが・・・。
最初の曲♪「雪」の合唱が終わり、原田大二郎さん(俳優)、大桃美代子さん
(タレント)、清水よし子さん(タレント)をはじめ、カルテット4名を含む
「スター混声合唱団」のメンバー、総勢25名が紹介されました。
スター混声合唱団は、「みんなで一緒に歌おう!」と言うのが会のコンセプト。
舞台と会場が一体となっての、♪「ドレミの歌」♪「おもちゃのチャチャチャ」
、山田邦子さん作詞・作曲(小六禮次郎さん編曲)のキャンサーリボンズのテ
ーマソング、♪「あなたが大切だから」などの大合唱がとても印象的でした。
また、トークコーナーでは、橋本志穂さん(タレント)、清水よし子さん、大
桃美代子さん、原田大二郎さんによるトークが行われました。清水よし子さん
の結婚秘話?や、大桃美代子さんの無農薬の米作りでの苦労話など、また、患
者さんを勇気づけられればという思いから、病気を背負いながらもメンバーで
活動している方など、スターの意外な一面が聞くことができました。
「きょうも、大阪で楽しい会ができました。 きょう見たこと、感じたこと、
わたし達は忘れません」お互いの思いが伝わりました。そして、混声合唱団最
後の曲、♪「星に願いを」が合唱され、もの静かにひと時が過ぎました。
コンサートも最高潮となり、お別れ前の時間、団員も会場のみんなも一緒に横
の人と手を繋ぎました。会場全体に大きな輪、支えあいの輪ができました。
家族のこと、友達のこと、病気になった人、自分がいま何か悩んでいることが
あれば、みんなでいろんな事を思いましょう。みんなで心を一つにしましょう・
・・「何かを思う時間」、わずか10秒くらいの時間でしたが、でも心を一つに
できた大切な時間でした。みなさん何を思ったのでしょう?願いごとなど、叶
うといいですね・・・。
そしてほんとに本当のお別れの時間です。「スター混声合唱団」がお別れに、
いつも歌われているという曲、♪「手のひらを太陽に」をみんなで歌いました。
踊りをまじえての大合唱でした。「手のひらを太陽に」のリズムと会場の手拍
子に乗って、「スター混声合唱団」のメンバーは退場されました。歌の数々を
披露し、盛会のうちにコンサートの幕を閉じました。
最後に、がんセンター 辻仲がん診療部長より、ご挨拶がありました。今日参
加された皆さまと、こういうイベントを持て、本当に楽しい時間を共有するこ
とができました。この貴重な時間をいただいた、スター混声合唱団の方々に対
しお礼を申し上げられました。そして、プロジェクト委員会スタッフの皆さん
にもお礼を申し上げられました。
 そして、きょうのイベントにおける一番大事なメッセージとして、「がんに
なったからと孤独ではない。決して一人ではない。 支えられることはできる
し、相手を支えることもできる。邦子さんに身をもって教えていただいたよう
に、がんになったからといって人の役に立たない訳でなくて、十分役に立つこ
とができる」・・・そのメッセージが、きっと皆さんの心の中に伝わったと思
います。「その思いをわたし達医療者と、患者のみなさん、家族の皆さんが共
にできた、時間が持てただけでも、この会の意義があったと思います」と締め
くくられました。
本当に楽しいコンサートでした。団長山田邦子さんをはじめ、「スター混声合
唱団」の皆さまから、元気と勇気をいただきました。きょう参加された皆さま
にとって、今日から明日からの、病気に立ち向かう糧になればと願います。
本当にありがとうございました。

・大阪医療センター 村田事務部長より感謝の言葉が届いています。ご紹介し
ます。
参加いただきました方々からは、勉強になった元気が出た、感激した、良かっ
たとのお言葉をいただき、計画・実行した者としては、逆に励まされた次第で
す。
今回の実行にあたっては、院内のプロジェクトチームを編成し、委員長の廣常
精神科科長、総合司会の山村医師、四方副看護師長、サポートチーム紹介の里
見医師など部門を越えたメンバーが一丸となって活躍していただきました。
また、キャンサーリボンズ事務局 岡山副理事、協賛いただきました「きんで
ん」の社員の皆さん、「(株)光洋」の皆さんをはじめ、多数のご理解とご協
力があって成功しましたことを深く感謝しています。加えて、このNPOキャ
ンサーリボンズの活動支援のためグッズ(アイリスピンバッジ、CD)ご購入
による寄付と、職員によるチャリティバザーなど皆さまの温かいご支援に重ね
て感謝申し上げます。患者さんのためにありがとうございました。
今後もこのような心あるイベントを継続して参りたいと考えています。
大阪医療センター 事務部長 村田 庄司


ボランティアホームページ→http://www.onh.go.jp/volunteer/
電話番号→06−6294−1331(代表) 
患者情報室ホームページ→http://www.onh.go.jp/jouho/jyohousitu.html
                       


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           看 護 の こ こ ろ
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                         救命救急センター
                        副看護師長 本田 千晴

 梅のつぼみが膨らみ始め、日ごと春のおとずれを感じ始めた今日このごろ皆
様はお元気でお過ごしでしょうか。 
 私は当院に就職して13年目の看護師です。心臓外科・循環器病棟や救命救急
センターを勤務してまいりました。これらの急性期の病棟で、私は多くの知識
や技術を学ぶとともに、患者様やそのご家族との出会いにより教科書や本では
学べない看護師に必要な心(思いやり・優しさ・厳しさなど・・)の成長をさ
せてもらったと感謝しています。
私の看護師生活の中でこころに残る出来事は、2005年のJR福知山線脱線事故・
2007年新潟県中越沖地震です。当院の職員も救護活動に参加しましたが、その
話の中で「避けえた災害死」についても考えるようになりました。私は「どん
な時でも」・「いざ」という時に手を差し出せる、患者様を助けるために動け
る看護師でありたいと思うようになりました。当院は西日本災害拠点病院であ
り、地震や多人数を巻き込む航空機・列車事故などの災害などが起こった場合
は、その患者様を受け入れる病院に指定されています。
そこで数年前から「急変時看護」について学ぶとともに、「災害看護」につい
ても取り組むようになりました。平成17年には厚生労働省が「災害現場でも迅
速に救命治療を行う専門的な訓練を受けた、機動性を有した災害派遣医療チー
ムの編成」を目指した隊員養成研修会(第1回)を実施しました。私はその研
修に参加し、晴れて試験に合格。「日本DMAT隊員」になることができました。
災害など起こらないにこしたことはないのですが、災害はいつ起こるのか・ど
んな災害がおこるのかもわかりません。想像を絶する場面が頭をよぎります。
まさに、備えあれば憂いなしです。当院では「日本DMAT隊員」「大阪DMAT隊員」
や「災害看護プロジェクトメンバー」が中心となり医師・放射線科・検査科・
薬剤師・事務職員なども含めた病院全体での災害訓練や定期的な講習会を行っ
ています。また、各地の訓練にもふるって参加するようにしています。混乱す
ることは予想済みですが、このような日々の積み重ねが災害時のイメージ化に
繋がり、かつこれらの訓練が自分たちの迷わない動きにつながるのだと信じて
おります。
今回は、日々の病棟では見えない看護(備えの看護)について述べさせてもら
いました。皆様は災害の備えは出来ていますか?水・食糧・懐中電灯・携帯電
話など・・個人で必要となるものは様々です。今からでも遅くはないのです。
物品だけでなく、はぐれた時の家族との合流場所やその地域指定の避難場所は
どこなのかなどを事前に確認しておく方が良いと思います。地震はこの35年以
内に必ず起こると予測されています。災害が起こったその時は、当院職員とし
てまた日本DMAT隊員として患者様や被災にあわれた方の出来る限りの医療サー
ビスを提供できるよう今後も切磋琢磨していきたいと考えています。


看護部ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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							研修医2年目
							菊川 久美子
 2年間の初期研修も早いもので残り1か月半となりました。
振り返ってみると反省ばかりと自分の情けなさばかりを痛感した日々でした。
初めは毎日の病棟業務をこなすことが精一杯で心身共に余裕がなかったと感じ
ますが、2年間で少しは落ち着いて働くことができるようになったのではない
かと感じる今日この頃です。
現在研修先で悩んでいらっしゃる学生さん、私も6回生の頃は、大学が九州だ
ということもあり関西の病院に関しての情報をなかなか得ることができずにい
ましたが、「百聞は一見に如かず」というように、まずは実際に病院見学をし
ていただき、自分に合うかどうかを肌で感じていただくことが一番かと思いま
す。この病院には研修医室があり、気楽に話を聞くこともできると思うので是
非いらしてください。
研修内容に関しては、1年目は、内科(循環器、総合内科、消化器内科の内2つ)
外科を主に研修を行います。Common diseaseを中心にさほど偏りなく症例を経
験でき、豊富な知識をもった優秀なスタッフやレジデントの先生方のもと患者
さんを診ることができます。
2年目からは1年目の先生とともに夜間・休日の時間外当直をまかされます。基
本的には当院かかりつけの患者さんに限定されているため、本格的な初期診療
とは異なりますが、内科当直・外科当直・心当直・脳当直の指導医へのコンサ
ルトによるバックアップの基、「問診→診察→検査→診断→治療」の流れを自
身で行うことができます。日頃の診療とは異なり、自分がメインで診察を進め
ていくため緊張感がありますが、一番勉強になり知識が身についたのではない
かと感じます。
また、この病院の魅力のひとつとして女性医師が多く勤務していることではな
いかと思います。病院敷地内には保育所があるなど、結婚・出産後の女性医師
に対する環境作りに積極的に取り組んでおり、多くの科で女性医師が活躍され
ています。結婚・出産を経験された先輩医師からのお話を聞かせていただくこ
とは今後の自分自身の医師像を考える上で非常に参考になるし、ロールモデル
となるような先生を見つけることがきっとできるのではないでしょうか。
 最後になりましたが、この場を借りて2年間の研修でご指導いただいた先生
方、コメディカルの方々、事務の方々に深く御礼申し上げます。


							研修医2年目
							菅原 政貴

 今回の研修医日記を担当することになりました菅原政貴です。
同期やこれまでの先輩ドクターの執筆された研修医日記と内容は似通ったもの
となりますが、私なりの視点でこれまでの研修を振り返り、また本院・大阪医
療センターの研修医生活がいかほどであるか、またその特徴を皆様に配信した
く思います。
ついこの間国家試験を受けたと思っていたら、もう2年が経とうとして独り立
ち(シニアレジデント)までもうすぐだということに気付き非常に驚いておりま
す。研修医になりたての頃、2年目研修医の背中がとても大きく見えました。
二年目研修医になろうとしているときにあの頃の先輩のように成長しているか
とても不安を抱き、シニアレジデントの背中がもっと大きく見えました。その
時に気付いたのは、一年目のときには目の当たりにするものほとんど分からず、
先輩ドクターの背中がとりあえず大きいのはわかっていましたが、どこまで大
きいのかはわかりませんでした。二年目になってそれが少し見えてきて、そし
て現在自身がシニアレジデントなろうとしています。自分がこれまで見ていた
先輩ドクターの様になれるか不安を持っていますが堂々とありたいと思います。
この日記をお読みの方の中には就職先を考えている医学部の学生さんも多いの
ではないでしょうか。各々が研修病院を選ぶポイントは千差万別ですが、私が
臨床研修病院として本院を選んだ理由としては、1)市中の大規模病院である
こと(大学病院ではないこと)私の場合は母校の大学病院にそのまま研修医とし
て就職する同期が多く、中だるみになりそうであったという点が大きいです。
もちろん、大学病院では先端医療の一端に触れながらまた教育的な面も充実し
ているという利点もあります。

本院の場合は市中病院でありながら、研究もさかんで大学病院に近いというこ
とが言えます。同僚は16名おり、全国各地の大学から集まってきます。各々育
ってきた環境が違うため、考え方が多様であったり、トリビアに触れることが
多く非常に刺激的です。先輩ドクターの数も多く、特にシニアレジデントの数
が多いく学年が近いということで困った時の相談が気軽に出来ます。また他科
との垣根が低いといことも気軽に相談ができるポイントでしょうか。
2)研修システム
私の場合、オリエンテーション(1カ月)→総合内科(3カ月)→循環器内科(3カ月)
→外科(3カ月)→総合救急部(3カ月)→麻酔科(2カ月)→産婦人科(1カ月)→小児
科(1カ月)→地域医療・開業医コース(1カ月)→精神科・舞鶴医療センター(1カ
月)→選択科・循環器内科(3カ月)とまわってきて、現在は選択科・心臓血管外
科(2カ月)研修中です。総合救急部の研修が3カ月あり、他の市中病院ではなか
なか学べない3次救急・集中治療を学ぶことが出来るという点、地域医療の開
業医コースでは後に述べますが研修医当直で初療に困った時の潜り抜け方や、
患者さまの接する姿勢を開業医の先生方がモデルドクターとして見て学べる点、
精神科で舞鶴医療センターに出向し精神科救急が学べる点が挙げられます。
先程少し述べましたが研修医当直は夜間・休日の産科以外の一次救急、二次救
急の初療を研修医一年目と二年目のコンビで担当することになります。また、
患者さまからの電話相談を受けるといったことも行います。場数はそれなりに
踏めるのではないでしょうか。もし困った時は、内科当直、外科当直、循環器
当直、脳当直などにコンサルトを立てることも出来ます。しかし、ER専属のド
クターはいないため救急初療をその場で指導いただけることがないというのが
欠点です。
3)立地条件
私は現在本院の寮に住んでおりますが、大阪の中心部に低価格で住めるのはと
ても大きいのではないでしょうか。オフに梅田や心斎橋、難波まではすぐに遊
びに出られるということは、仕事と遊びのメリハリがつけやすくするメジャー
ファクターです。
 以上、拙い文章で私見が入った内容ではありますが述べさせていただきまし
た。これが本院の特徴でしょうか。これをお読みの一般の方は本院の研修医が
実際にどのように過ごしているかが垣間見えればと思っております。また、研
修病院を探している医学部の学生さんは以上の内容ではまだ伝えたいことの半
分にも満たないので、ぜひとも見学・実習に来ていただき雰囲気を味わってい
ただきたく思います。この記事をきっかけに本院を志願する学生さんが増える
と幸いですが、一番大事なことは自らの意思・意欲があっての環境であります
それは本院で研修しても、研修しなくてもファンダメンタルなところです。そ
れを忘れないでいただきたく思います。


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


**********************************************************************
総編集長:病院長 楠岡英雄
編 集 長:副院長 恵谷秀紀、山崎麻美、徳永尚美 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
**********************************************************************
 大雪のニュースの数日後に春のような暖かい日があったり、日々の温度差に
健康な我々でも、戸惑ってしまいます。梅や桜のつぼみもいつ咲けばいいのか、
おそらく戸惑っていることでしょう。変化に翻弄されないよう、大地に足をつ
け、世の中の動きを見てみたいものです。
 
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