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メールマガジン「法円坂」No.115(2010/12/15)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 NHKの大河ドラマ「龍馬伝」を1年間楽しませてもらいました。学生時代、
「1867年大政奉還」と、勉強することを記憶することの様に思っていたこ
とをとても残念に思います。どんな時代も「夢」をもつって素晴らしいことで
すね。今年最後のメルマガをお楽しみ下さい。
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   メールマガジン「法円坂」No.115(2010/12/15)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 楠岡 英雄 で す     
 ・がんシリーズ:放射線治療1 
 ・『第6回オータムコンサート』開催される
 ・看 護 の こ こ ろ
  ・研 修 医 日 記
 
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         院 長 楠岡 英雄 で す 
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 国立病院機構が事業仕分け第3弾の対象になり、11月18日に仕分けが行われ
ました。インターネットで中継されたのでご覧になった方もおられると思いま
すが、国立病院機構・厚生労働省と仕分け人との議論がかみ合わず、結果は
「判定不能」ということになりました。

 今回の仕分けの論点は国立病院機構への国からの運営交付金についてでした。
財務省の言い分は「国立病院機構は6期連続の黒字決算で、平成21年度は388
億円の黒字となっている。にもかかわらず、毎年度400億円を越える運営交付
金を国から受け取っている。」ということで、運営交付金の大幅な減額を主張
しました。この文章だけを見ると、ほとんどの方が財務省の言う通りだと考え
られると思います。しかし、この運営交付金の中身が問題です。

 たとえば平成22年度ですと、国立病院機構には437億円の運営交付金が予算
化されています。しかし、その内訳は、診療事業分49億円、研究・教育分41億
円、「整理資源」と呼ばれる国時代の退職者の恩給(年金)の費用負担分179
億円、「公経済負担金」と呼ばれる国民基礎年金の国庫負担分の国の肩代わり
分115億円、職員の退職金の国期間分52億円です。

 診療事業分とは、救急医療や周産期医療等の診療に対する補助で、他の一般
病院も同様に受けている補助金に相当するものです。研究・教育分とは、臨床
研修や臨床研究、あるいは看護学校の運営に対するもので、これも他の一般病
院も同様に受けている補助金です。すなわち、この合計90億円のお金は国立病
院だけが国からもらっているという性格のお金ではなく、救急医療等、同様の
診療や研究・教育を行っている病院にも等しく支給されている補助金に相当す
るものです。

 残りの整理資源、公経済負担金などは、国立病院機構に留まるお金ではあり
ません。退職金は当然退職者に支払われますし、整理資源などは年金を支給し
ている共済組合に支払われます。つまり、これらのお金は国立病院機構が代理
で受け取り、そのまま他に流れていってしまうお金です。実際、他の独立行政
法人では整理資源等に相当するお金は国から共済組合に直接支払われているの
ですが、なぜか、国立病院機構はこれらを仲介することになっています。

 今回問題となった整理資源や公経済負担金は、基礎年金の国負担分等、国が
支払う義務を負っている経費です。国立病院機構が仲介しているが為に運営費
交付金に上乗せされ、あたかも国立病院機構が多額の税金を使っているように
見えているものです。「純粋の」運営費交付金は上記の90億円のみであり、そ
れも来年度の予算では60億円に縮減しています。今年度との差額30億円は国立
病院機構の各病院がお金を出し合って補うことになっています。一方、整理資
源等に必要な額は平成23年度も約320億円になります。

 国立病院機構は平成16年4月に独立行政法人化したときに、約7500億円とい
う多額の長期債務を国から引き継いでいます。独立行政法人化後、努力を重ね、
平成21年度にはこの債務を5400億円程度にまで減らしました。また、建物や医
療機器には老朽化しているものも多く、これらを建て替えたり買い換えたりす
るのに、今後数年間で4000億円近い資金が必要です。

 もし国が負うべき義務的経費を国立病院機構が肩代わりすることになれば、
長期債務の償還はできても、建物や機器の更新ができず、患者さんに提供する
医療の質が悪くなることは容易に想像が付きます。地域医療の担い手となって
いる国立病院にとってはたいへんな問題です。

 医療は本質的に営利を目的とはしてはいません。利益が生まれれば、ごく一
部は働き手に、そして残りは全て患者さんに還元すべきものです。今回の事業
仕分けの目指すところは、国が本来負うべき義務的経費の支払い義務を放棄し、
結果として、国立病院機構を営利企業と化し、病院の利益で義務的経費の支払
いをまかなおうとする内容でした。

 事業仕分けの結果は「判定不能」となり、今後、最終的にどのような結末に
なるのか、未だはっきりしません。結果がどうであろうと国立病院機構として
はそれに従わざるを得ませんが、144病院から構成される国立病院機構という
大きな医療資源を誤った方向に使わないよう、適切な判断が下されることを切
に望む次第です。


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    	がんシリーズ:放射線治療1	
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					放射線治療科 田中 英一

 放射線治療は、手術、化学療法(抗がん剤治療)とともにがん治療の三本柱
です。がん治療は、これらのいずれかを単独であるいは組み合わせておこない
ます。

 放射線治療は、様々な目的で、がん治療に用います。たとえば、がんを完全
に治すことを目的とした「根治照射」、延命を目的とした「姑息照射」、痛み
などの症状をやわらげるために用いる「対症照射」、手術後に再発を予防する
目的でおこなわれる「術後照射」などがあります。
 また、放射線治療は、様々な種類のがん治療に用います。脳腫瘍、頭頚部癌
(喉頭癌や咽頭癌など)、肺癌、食道癌、乳癌、前立腺癌、子宮頚癌、悪性リ
ンパ腫などが対象疾患になります。このなかには、放射線治療によって、手術
と同等の治療効果を得られる疾患も多く含まれています。ただし、放射線があ
まり効かないがんもありますので、がんの発生部位や進行度に応じた適切な治
療が必要です。

 大阪医療センターでは、年間約400名の患者さんに対して放射線治療をおこ
なっています。また、国内全体では、年間約20万人の患者さんが放射線治療を
受けています。これは、新たに発生したがん患者数の約25%にあたる数字です。
欧米ではこの数字が50%を超える国が多く、日本では本来放射線治療をすすめ
るべき患者さんが治療を受けていない可能性があります。国内には、約650名
しか専門医がおらず、欧米と比べ非常に少ないということも関係しているのか
もしれません。2007年に「がん対策基本法」という法律が施行されました。そ
れに基づいた計画の一つとして、放射線療法の推進ならびにそれを専門的にお
こなう医師等の育成が示されていますので、専門医の増加が期待されます。

 放射線治療は、最近の10-20年の間に、劇的な進歩をとげました。コンピュ
ータの進歩などにより、精度の高い治療が可能になったのです。この精度をた
もつためには、医師・医学物理士・診療放射線技師とのチームワークが大切で
す。「医学物理士」という職種は聞いたことがない方も多いと思いますが、理
工系の知識をもとに放射線治療の精度管理などを担当し、高精度放射線治療の
現場では欠かせない存在です。当院では、各種資格を持った物理士・技師が多
数在籍しておりますので、患者さんは安心して放射線治療を受けて下さい。

 放射線を腫瘍に照射する方法として、体外から照射する「外部照射」と、体
内(腫瘍内)から照射する「小線源治療」があります。当院では、外部照射装
置2台、小線源治療装置1台で治療をおこなっています。放射線治療はリニア
ックという装置を用いた「外部照射」が主流ですが、一部の疾患では「小線源
治療」が非常に有効であり、当院ではこの「小線源治療」にも力を入れていま
す。この「小線源治療」については次回詳しく述べます。


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   『第6回オータムコンサート』開催される
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                    ボランティアコーディネーター
                    藤本 和彰

  11月13日(土曜日)午後3時から当大阪医療センター講堂にて、大阪府医師
会フィルハーモニーの皆さまによる「オータムコンサート」を開催しました。

 大阪府医師会フィルハーモニーは、その名前が示すとおり、元々は大阪府医
師会のメンバーが中心となってできたオーケストラでありました。しかし今で
は、例えるならば総合病院のようなオーケストラとなっております。医師だけ
でなく、看護師さん、臨床検査技師さん、薬剤師さん、そして元気になられた
患者さんまで多くの人たちが、みんなで一つの音楽を作り上げるという、とて
も素敵な活動をしておられます。

 フィルハーモニーの活動は大きく2つの柱があります。1つは年に一度の定
期演奏会で、7月に「いずみホール」で本格的なクラッシックコンサートが行
われます。今回で定期演奏会も回を重ねられ40回を迎えられました。そしても
う1つの柱が「病院コンサート」です。大きなホールの舞台の上でなく、病院
のロビーなどお借りして、皆さんと同じ目線で、より親しみやすい形で音楽を
お届けしようと頑張っておられます。この病院コンサートは、入院患者さんや
外来通院患者さんでもコンサート会場に足を運ぶことが出来ない方々に、フル
オーケストラの演奏をお届けするために行われています。きょうも、素敵な音
楽、楽しい時間を届けていただくことができました。
プログラムを紹介しましょう。

♪行進曲『威風堂々』第1番・・・エルガー作曲
♪歌劇『椿姫』より「ああ、そは彼の人か」「乾杯の歌」・・・ヴェルディ作
曲
♪歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』より「間奏曲」・・・マスカーニ作
曲
♪歌劇『仮面舞踏会』より「ワルツ」・・・ハチャトリアン作曲
♪指揮者体験コーナー:『ハンガリー舞曲』より「第5番」・・・ブラームス
作曲
♪『ハンガリー舞曲』より「第5番」・・・ブラームス作曲
♪『崖の上のポニョ』(歌なし)
♪日本の歌曲メドレー
「♪花」「♪椰子の実」「♪赤とんぼ」「♪ペチカ」「♪故郷」
   ☆ソプラノ歌手:大淵 夕季氏
   ☆指揮:岩佐 厚氏
   ☆演奏:大阪府医師会フィルハーモニー
   ☆司会:徳野 吉智氏

これまで、いつも素敵な歌声を聴かせてくださったソプラノ歌手・奥 眞里子
氏。きょうは歌声をお聴きすることが叶わず残念でなりません。しかしながら、
新たなる歌声が会場いっぱいに吹きそそぎました。歌声を届けてくださったの
は、大淵 夕季氏。リサイタルやオペラなどでご活躍中のソプラノ歌手です。
ヴェルディ作曲『♪椿姫』より「ああ、そは彼の人か」「乾杯の歌」の2曲を
熱唱してくださいました。ソプラノの清澄感に富んだ歌声は、会場一杯に響き
渡り、会場の皆さまの心の響きとなったことでしょう。

 今回のコンサートは、フィギュアスケートの浅田 真央さんの曲や、お子さ
んたちに人気の曲が演奏されるなど、馴染み深い曲が数多く演奏され、楽しく
聴いていただけたと思っています。ハチャトリアン作曲『♪仮面舞踏会』の
「ワルツ」。最近よく聴かれたことと思います。この2〜3年、フィギュアスケ
ートの浅田 真央さんの曲として、有名になっています。仮面舞踏会、チョッ
ト危ない大人の雰囲気を表現しながら、氷の上を華麗に舞う、そのような浅田
 真央さんの姿を思い浮かべて聴いていただけたのではないでしょうか。
 「♪崖の上のポニョ」は2008年、宮崎 駿監督のアニメーション映画の主題
歌として、会場のお子さんたちには映画の場面を思い浮かべながら聴いていた
だけたと思っています。

 また、このコンサートでお馴染みのプログラムの一つに、「指揮者体験コー
ナー」があります。このコーナーは、フィルハーモニーの指揮者・岩佐 厚氏
に代わり、会場の皆さまのどなたかに、このオーケストラを指揮していただこ
うというコーナーです。「では、どんな曲を指揮させてくれるのかな?」って、
興味を覚える瞬間でもあります。今回の演奏曲は、ブラームス作曲「♪ハンガ
リー舞曲」第5番でした。
 今回、このコーナーに、あらかじめ名乗りを上げていただいた小児科病棟の
患者N・FちゃんとT・T君は、初めての体験にしばし緊張しながらも、見事
な指揮者振りを発揮されました。また、会場から3名の方が同時に名乗りを上
げられましたが、持ち前の気合い(?)でジャンケンを勝ち抜き、権利を確保
された男性Sさん58歳。中学校以来、40年ぶりという指揮者体験を、それもマ
イ指揮棒を準備されての挑戦に、ただただ脱帽するばかりでした。その容姿は、
会場の期待を裏切ることなく、見事な指揮者ぶりを発揮されました。体験者の
みなさん、緊張しながらも大役を果たされ、満足気でした。ことしの指揮者体
験コーナーは、会場が大いに盛り上がり、楽しく過ごすことができました。ご
参加いただき、ありがとうございました。
 そして、コンサートも最後のプログラム「日本の歌曲メドレー」へと進みま
した。「♪花」「♪椰子の実」「♪赤とんぼ」「♪ペチカ」、そしてみんなで
一緒に歌った「♪故郷」へと・・・。歌手は、もちろんソプラノ歌手・大淵 
夕季氏、『♪椿姫』(♪ああ、そは彼の人か、♪乾杯の歌)2曲の熱唱とは一
際違った、心安らぐ静かな歌声が、時の経つのを忘れさせるような心地よい気
分にさせてくれました。

 大阪府医師会フィルハーモニーの皆さんによる、「オータムコンサート」も
回を重ねまして今回で6回を迎えることになりました。司会・徳野 吉智氏の巧
みな話術に進められながら、フィルハーモニーの皆さんのすばらしい演奏と、
ソプラノ歌手・大淵 夕季氏の清澄感に富んだ歌声を聴かせてくださいました。
きょうも多くの患者さんたちと素敵な時間を共有していただくことができまし
た。「楽しい時間をいただきありがとうございました。」
そして今日お手伝いしてくださった、ボランティア「法円坂」の皆さま、そし
て職員の皆さま、ありがとうございました。音楽を通じて心を和らげ、少しで
も療養にお役に立てれば幸いに思います。また来年も秋色の風と共に、また皆
さまとお目にかかることを心から楽しみにしております。ありがとうございま
した。

 今回、参加していただいた138名の内、30代〜50代・60代以上の男女47名の
方々から、アンケートを届けていただくことができました。「全体的にいかが
でしたか?」について、「よい」:46名、「ふつう」:1名と、47名全員の方
から“よかった”と言える結果をいただきました。また、全体を通じても多く
の貴重なご意見・ご感想もいただくことができました。その一部をご紹介しま
す。

1.司会の方の軽妙な語り、曲構成ともにとても良かったです。きれいなソプ
ラノは清澄感に富んでいて、本当に楽しいひとときを過ごさせていただきまし
た。フィルハーモニーによる、クラッシックの醍醐味も味わえて元気をいただ
きました。(50代女性)
2.何十年振りに聴かせていただいて、感動しました。若い頃の事、昔の労音
によく行きましたが、その時分はクラッシックばかりでした。今日のコンサー
トを聴かせていただき、心まで病気にならないように生活をしようと思います。
本日は有難う御座居ました。(60代以上女性)
3.こんな豪華なコンサートだと知らないで行かせていただいて、とても良く
って感動しました。入院中も忘れて元気をもらいました。司会の方もお上手で、
楽しませていただきました。この折に入院させてもらっていた事がラッキーだ
と思いました。(60代以上女性)
4.馴染みのある曲で、聴きやすかったです。父が入院しており、偶然コンサ
ートを知りました。母(84歳)と同行して聴きました。父にも聴かせたいが今
はベッドに寝ています。美しい曲でした。演奏者のみなさんありがとうござい
ました。(50代男性)
5.予想をはるかに上まわる規模と内容に圧倒されました。久しぶりに生の音
に接して、体が震えました。生きていて良かった。病に打ち勝とうとした自分
にも拍手を送りたい日となりました。胸が震えて、字がおどっています。みな
さまに感謝!多謝!激謝!(60代以上男性)

 皆さまからいただきました貴重なご意見・ご感想は、今後の企画の参考にさ
せていただきます。ご協力ありがとうございました。

 大阪医療センターでは病院ボランティアを募集しています。
病院で自ら進んで労力、時間、技術などを提供して、患者様にやさしさとうる
おいを提供すると共に活動を通じてボランティア自身の成長にも役立つことが
できる活動です。
資格は特に要りません。自分自身が健康であり、優しさと何事にも積極的に取
り組む気持ちがあれば活動できます。また、活動回数は、個々のライフスタイ
ルに応じて決めていただいています。服装は活動しやすい服装でいいですが、
ピンクのエプロン・胸章など用意しています。
現在110余名のボランティアの方々が活動されています。一緒に活動してみま
せんか。
ボランティアを希望されます方、お待ちしています。
管理課ボランティア担当までご連絡ください。


・管理課ボランティア担当    TEL:06−6942−1331(代表)
・ボランティアホームページ →http://www.onh.go.jp/volunteer/
・患者情報室ホームページ →http://www.onh.go.jp/jouho/jyohousitu.html


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           看 護 の こ こ ろ
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                           東8階病棟
                           野口 涼子

 1年の経つのは本当に早く、今年も残り僅かとなりました。12月とは思えな
い程暖かい日もある中で、少しずつ寒さも厳しくなってきました。皆様、風邪
など引かずに過ごされていますか?
 
 私は看護師9年目で、外科、循環器科を経験したのち、現在は内科病棟で働
いています。多くの患者さんとの出会いの中で、患者さんに教えられ、励まさ
れながら仕事を続けてこられたということを実感しています。その中で6年ほ
ど前に出会ったある患者さんとの関わりについて書いてみたいと思います。

 その患者Aさんは、乳がんで手術を何度かされた後に再発され、骨転移や皮
膚転移、肝転移など様々な場所に病気が広がり、オピオイドによる疼痛コント
ロールや、皮膚転移に対する処置を行っていました。皮膚転移に関しては、か
なり広範囲な転移が見られ、皮膚に浸潤していた腫瘍から浸出液が多くあり、
毎日3回以上のガーゼ交換を行わなければならないという状態でした。年齢も
30代半ばと若く、夫と幼い子供もいました。もともと大阪の岸和田の出身だっ
たAさんは、少しずつ悪くなっていく自分の予後を知ってから、今本当にやり
たい事は何かと考えられ、岸和田だんじり祭りを自宅から見たいという目標を
立てられました。その為には、皮膚のガーゼ交換を自宅で行う必要がありまし
たが、看護師でも時間がかかり、また技術が必要な処置のため、当初は大変困
難を伴いました。そこで、看護師間で、本人の負担を減らし、できるだけ家で
も行いやすいようなガーゼ交換方法について相談したり、様々な創傷被覆材を
試したりと工夫を行いました。また、夫の協力を得られるように指導を行った
り、症状コントロールの為にオピオイドの調整を行い、数回の外泊訓練を経て、
だんじりに間に合う時期に何とか退院することができました。退院するまでに、
少しずつ疼痛や倦怠感などの症状が悪化した時もあったのですが、Aさんのだ
んじりへの思いが強く、気力によって少しずつ身体面も改善が見られるといっ
た場面を実感しました。
 患者さんは、死に直面するという非常に大きな危機的状況でも、それを乗り
越えようとする過程で、現状とすり合わせを行いながら、その中で自分にでき
ることは何か、やりたい事は何かと考え、それに向かって生きるという力を持
っておられると思います。Aさんもだんじりという目標を持たれてからは、そ
れまで積極的ではなかった外泊にも挑戦され、体はしんどい時もありましたが、
目標に向かって頑張るという意思や強さのようなものを感じました。その強さ
に私は感動し、どんな場面でも患者さんにとって目標があるということが生き
る上で、そして死にゆく過程においても大切なんだと思いました。
 様々な状況の中で、患者さんは自分の現状に打ちのめされ、自分の目標を見
つけることができない人も多くおられます。私は、そのような患者さんにも、
関わりの過程で共に目標を考え、一緒に頑張っていけるそんな看護師でありた
いと思います。

 最後になりましたが、今回のこの看護のこころを書くなかで、自分の考えや
これまでの患者さんとの出会いを振り返る機会を持ち、改めて、私の「看護の
こころ」について考えることができました。今回感じた思いを胸に今後も頑張
っていきたいと思います。                       



看護部ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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						研修医2年目
                        伊井 千里

 研修医2年目の伊井と申します。他の研修医日記に当院のセールスポイント
は多々紹介されておりますので、まずはそちらをご覧ください。
 私はこの病院に最初から脳神経外科の後期研修医に残りたいという気持ちで、
初期研修医採用試験を受けました。というのは、私は「初期と後期は同じ病院
でひとつながりに研修したい」という研修病院選択の条件を明確にしていたか
らです。

初期と後期を同一病院で研修するメリットは多くあります。
1.新しい環境に慣れるストレスが軽減される
 初期研修中のローテーションだけでも、人間関係だけでなく電子カルテや病
棟のルールなどシステム上でも新しい環境に慣れるというのはなかなかエネル
ギーを要します。その点、初期研修でよく知っている病院であればそのストレ
スは随分軽減されると思います。

2.初期研修中でも、志望科に何らかの形で携わることができる
 私は最初から脳神経外科を希望する、と公言しておりましたので、ICUやエ
レベーターなど、先生方に会う度に声を掛けていただくことが多く、とても励
みになりました。また、夜間など時間が空いたときに手術を見学させていただ
いたり、麻酔科のローテーション中には指導医の先生方が脳外科症例を選んで
あててくださったりと、本当に恵まれた環境と感じております。私の他にも、
志望科の勉強会に呼ばれたり、検査を見学させていただいたりと空いた時間に
志望科と関わる機会を持っている研修医は多くいます。

3.多くの先生方と交流を持てる
 初期研修の最大のメリットは多くの科をローテートすることです。その中に
は必修として内科一般と外科、麻酔科、救急科などが含まれるため、回った科
の先生とは必ず交流できます。学生時代はなかなか実感しないものですが、研
修医にとってこれは大きな武器でもあります。
 たとえば、今度脳動脈瘤の手術予定の方が糖尿病があり腎機能がよくない、
さらに過去に心筋梗塞を起こしている・・・さほど珍しくないシナリオです。
このように全身に問題を抱えているとき、自分一人で全てを完璧にアセスメン
トするのはやはり厳しく、他科の先生に相談してすすめていくことになります
が、相談した先生がお互いよく知った先生であれば直接伺ってお話を聞いたり
することで自分の勉強にもなり、患者さんにも充分メリットが生まれると考え
ています。

4.初期研修の仲間が多く後期研修医として残っている
初期研修は同期も多く、同じ研修医室で顔を合わすことも多いですが、後期の
場合多くはそれぞれの医局にデスクをもち、他科の先生方や同期と会話する機
会は少なくなります。後期研修は私もまだ未体験とはいえ、先輩方をみている
とやはりその忙しさと責任の重さは初期研修以上であり、ストレスも多いので
はないかと感じます。当院は後期研修医として残る研修医も多く、本年度は私
を含め16人中11人が後期も当院で継続することとなり、大変心強いと感じてい
ます。

こんなところでしょうか。

 まだ学生で志望科が決まっていないという方も多いと思いますが、もちろん
ローテートの途中に決まっても後期研修で残るという選択をすれば同じことで
すので、後期研修を見据えた初期研修病院の選択というのも、一つの提案とし
て良いのではないかと思います。

 以上長くなりましたが、一緒に働いてくださる初期研修医をお待ちしていま
す。脳外科志望の方はもちろん、それ以外の方も是非一度見学にいらしてくだ
さい。


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 楠岡英雄
編 集 長:副院長 恵谷秀紀、山崎麻美、徳永尚美 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 今年も早いもので本当に残りわずかとなりました。皆さんにとってどんな一
年だったでしょうか。来年は「兎」年です。皆様にとっていい年でありますよ
うお祈りしています。


http://m-maga.onh.go.jp
メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp 

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