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メールマガジン「法円坂」No.120(2011/5/16)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



風薫る5月のはずですが、何かどんよりした重さを感じています。でも東北の
方の粘り強さ、逞しさに学んで、日本の復興のために少しでも力になれるよう
に前に進めればと思います。
今月のメルマガお届けします。

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   メールマガジン「法円坂」No.120(2011/5/16)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 楠岡 英雄 で す     
  ・東日本大震災で発生した放射線災害への支援活動
  ・狭心症が疑われたら、心臓カテーテル検査を受ける前に
 ・大阪医療センター ボランティア
 ・看 護 の こ こ ろ
  ・研 修 医 日 記
 
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         院 長 楠岡 英雄 で す 
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 東日本大震災の発生から2ヶ月が経ちますが、被災地の復興にはまだまだ時
間がかかりそうです。また、福島原発も徐々に解決の方向性が見えては来まし
たが、今後もどのような課題があるかもしれず、心配されている方々も多いと
存じます。あらためて、被災された方々とそのご家族に心からお見舞い申し上
げます。

 さて、今回は、アメリカにおける臨床研究責任医師の負う責任の厳しさにつ
いてお伝えしたいと思います。以下の話は、5月にシアトルで開催された
Association for Clinical Research Professionals(ACRP)の年次大会での講
演からの紹介です。(1)

 日本では新薬や新医療機器を市場に出すには厚生労働省の承認が必要です。
承認申請には新薬等の有効性と安全性を示すデータを提出しなければならず、
そのデータ収集のための臨床試験が治験と呼ばれています。治験はヒトを対象
とした研究ですので、その科学性・倫理性が厳しく求められ、治験に参加する
被験者を守るため、GCP(2)と呼ばれる法令によってその手順等が厳しく定め
られています。また、治験を実施する際には厚生労働省の下で承認審査を行っ
ている医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験届を提出しなければなりません。

 一方、アメリカでも日本と同様、新薬等の販売には規制当局であるFDA
(Food and Drug Administration)の承認が必要で、そのための治験の仕組み
も日本とほぼ同様で、GCPの下で行われます。しかし、日本と違うところは、
未承認の薬品や医療機器を用いた治験でない臨床研究も取り締まり当局である
FDAに届を出し、GCPの下で行う必要があります。(日本では厚生労働省等への
届け出の必要はなく、また、GCPではなく、強制力のない倫理指針の下で行わ
れます。)また、日本では治験や臨床試験を行う際の責任は実施する医療機関
の長(病院長など)が負いますが、アメリカでは治験等を実施する研究責任医
師が直接、責任を負います。

 さて、ここからが本題です。PMDAとFDAの大きな違いは、FDAが捜査権を持つ
ことです。日本でも新薬等の申請がなされると、治験が適切に実施されていた
か、PMDAが医療機関に「実地調査」に赴きます。そこで問題となる事項がある
と、後日、病院長等に送られてくる「実地調査結果通知書」で、「GCPに不適
合である事項」や「改善すべき事項」が指摘されます。しかし、このような指
摘を受けたからといって、その医療機関や治験担当医師が、の後の治験や臨床
試験ができなくなるというものではありません。また、実地調査は治験が終了
後に行われます。

 一方、アメリカでは、臨床試験の実施の途中でFDAが「査察」(捜査?)に
来ることがあります。これは、何らかの情報に基づき、臨床試験が適切に行わ
れていないという疑いをFDAが持つと、治験等の進捗状況とは関係なく、直ち
に、それを確かめに来るということです。また、査察の対象は医療機関ではな
く、臨床試験を実施している責任医師です。このFDAによる査察を研究責任医
師は拒否できるかという裁判が過去にあったそうですが、責任医師は拒否でき
ないという判決になったそうです。また、FDAは事前に予告なく訪問すること
もあるようです。(まさに、抜き打ち捜査です。)

 FDAは来訪すると、責任医師に「FDA Form482」という書類(捜査令状?)を
示し、記録を調べたり、患者さんを含め、関係者にインタビューをするようで
す。また、この査察は1日のこともあれば、数日に及ぶこともあるようです。

 FDAの担当官は査察が終了し、問題点がなければそのまま帰って行きますが、
もし問題点を見いだすと「Form483」という書類にその問題点を指摘し、それ
を責任医師に渡して帰って行きます。

 もしForm483を受け取った場合は、15日以内にその返事をFDAに返さなければ
なりません。この返事には、なぜ問題が発生したかという分析(言い訳?)だ
けではなく、今後の再発を防止するために取った(あるいは、取ろうとする)
改善策についても記載する必要があります。この回答にFDAが納得すれば、査
察の終了を告げる手紙が届いて、全ては終わります。また、FDAを完全に満足
させられなくても、十分な対応が取られていると判断されれば、残りの問題を
指摘した「表題のない手紙」が届きます。しかし、これに対してはさらに回答
する必要はなく、これも一件落着になります。

 しかし、FDAがまだ重大な問題があると判断すると「Warning Letter」とい
う表題のついた手紙が責任医師に届き、回答を求められます。また、この
「Warning Letter」はFDAのホームページに掲載されるので、真摯に対応しな
いと社会的に大きなダメージを受けることになります。

 さらに、Warning Letterへの回答にも問題が残ると、「Notice of 
Initiation of Disqualification Proceedings and Opportunity to Explain」
(NIDPOE)という通知が届きます。これは、「あなたは治験/臨床試験を行うに
は不的確であると判断しますよ」という最後通告で、これに対してFDAを納得
させる説明ができなければ、以後、その医師は未承認薬等を扱う臨床試験をで
きなくなります。医師免許が剥奪されるのではないので通常の診療には影響し
ませんが、臨床試験には関与できないということになります。また、GCP違反
と認められた行為の内容によっては刑事訴追される可能性もあるようです。

 日本のPMDAにはFDAのような査察の権限(捜査権?)はなく、また、医師が
持つ臨床研究等を実施する権利を制限することもできません。FDAのこの機能
は、研究の科学性・倫理性を担保し、透明性を保ち、それを政府が保障するた
めにあると考えられ、また、研究責任医師にその責任を負わせています。責任
を果たしていなければ、臨床試験の世界から強制的に追い出されることになり
ます。一方、日本では、この機能と責任は、GCPや倫理指針により、治験等の
実施医療機関の長に求められ、医療機関の長が研究責任医師を指導・監督する
ことになっています。

 国が関与する強制力のある制度がよいのか、研究の関係者による自律的な規
制がよいのか、議論のあるところと思います。アメリカでも、基本は医療機関・
研究責任医師の自律ですが、最後の砦は築いているとも解釈できます。今後、
日本の治験/臨床試験に対する規制のあり方について検討する際の参考になる
かと思います。


1.Gary L. Tingling. An FDA clinical inspection. Are you prepared? 
2.GCP:Good Clinical Practiceの略。法令としては、厚生労働省「医薬品の
臨床試験の基準に関する省令」が相当します。



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      東日本大震災で発生した放射線災害への支援活動 
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 					   救命救急センター
                                              定光 大海

                     
 平成23年3月11日(金)に発生した東北地方太平洋沖地震により多くの方々
の尊い命が失われたことに哀悼の意を捧げます。
 また、被災された方々やご家族、ご関係者の皆様に対し、心からお見舞い申
し上げます。

 東日本大震災は地震・津波に原子力発電所の被災に伴う放射線災害が加わり
未曽有の被害をもたらしました。しかも、放射線災害はこれまで経験のない深
刻な事態となっています。大阪医療センターは災害拠点病院として被ばく医療
にも対応できる施設を有しており、大阪府の二次被ばく医療機関にも指定され
ています。ひとたび放射線災害が発生すれば迅速な対応を求められます。ここ
では東日本大災害への医療支援のうち、放射線災害への対応に焦点を絞って、
その内容を紹介します。
 
 今回の放射線災害に対する支援内容を要約すると以下の3つです。

1.福島県の避難住民への放射線検査と医療支援
2.福島県から帰阪された方々の放射線サーベイ(放射性物質の付着の有無を
チェックする検査)と必要に応じた除染
3.事故現場の作業担当者の前線基地であるJヴィレッジでの医療支援

 1の福島県での放射線検査支援には3月14日から4日間、福島県へ放射線科医
師一人が派遣されました。多数の住民の方の放射線サーベイを避難所で行い、
実際に身体に影響を及ぼす被ばくを受けた方はなかったようです。

 2は、放射性被ばくを危惧されて病院に問い合わせや直接外来に来られた方
などですが、3月中に数名の方に対応しました。実際にサーベイメータで放射
線のチェックをしたのは2人で、1人に微量の放射線が検出され、念のためシ
ャワーによる除染と、ホールボディーカウンター(体内から発生する放射線を
計測する装置)で体内被ばくの無いことの確認をしましたが、それ以後はサー
ベイの必要もないことを説明するだけでした。

 3の医療支援ですが、国の要請で4月13日から4日間、Jヴィレッジに医療チ
ームの統括医師として医師1名が派遣されました。Jヴィレッジはサッカーのた
めに作られた施設で、いわき市の北、事故現場からは約19km南のところにあり
ます。11面あるサッカーグランドはヘリポートや除染施設、駐車場などに利用
され、現場復旧作業を行う人々が防護服とマスクを装着してここから出発し、
作業を終えて帰ってくる、いわば前線基地です。ここでは新たな事故発生に対
応するための待機をしながら、実際に体調不良をきたした人の放射線チェック
や除染、さらに簡単な治療を行っています。多数の傷病者が発生すれば直ちに
広域搬送の拠点になります。医療チームの待機は今後も続きそうです。
 
 放射線災害は現実には起こらないと思っていましたが、起こってしまいまし
た。一方で今年1月に当センターで初めて行った地震と放射線災害を組み合わ
せた災害訓練は今回とても役立ちました。想定外の事態でも訓練のおかげで迅
速に対応できたという経験は得難いものです。現場に派遣される人も病院に残
ってマネージメントをする人も災害支援という点では同じで、改めてコミュニ
ケーションの大事さを痛感しました。



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      狭心症が疑われたら、心臓カテーテル検査を受ける前に 
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 					   循環器内科
                                              安村 良男


 この度、当院では64列高分解能マルチスライスCTスキャナ(冠動脈CT)を
導入いたしました。

 従来は、症状や心電図で狭心症が疑われた場合には、まず運動負荷検査やラ
ジオアイソトープ検査などを行い、狭心症かどうかを判断し、必要な場合のみ
入院していただいて心臓カテーテル検査(冠状動脈が細いか否かの最終検査)
を行ってまいりました。しかし、これらの検査には限界があり、疑わしい場合
は心臓カテーテル検査が必要な場合もありました。冠動脈CTは外来で簡便かつ
非侵襲的に冠状動脈を描出でき、心臓カテーテル検査および治療のための入院
が必要か否かを、前もって精度よく判断することが可能です。そこで、冠動脈
CTによって、不必要な心臓カテーテル検査を避けることができるようになりま
した。

 冠動脈CTは時とともに進化してきています。この装置は従来機と比較し、放
射線の被曝が概ね1/2以下に低減する事が可能となるだけでなく、ステント挿
入部位の狭窄の有無の診断も可能です。

 これまでも冠動脈疾患に対して。各種ステント治療のみならず、ロータブレ
ーターを用いて重症冠動脈疾患の治療を行ってまいりました。また、適応を十
分検討し、心室再同期療法や植え込み型除細動器の植え込みを行い、心不全を
伴う重症冠動脈疾患の最先端の治療を行っています。冠動脈CTは心室再同期療
法に必要な冠静脈の情報も得ることができます。今後も、患者様の負担を減少
し、虚血性心疾患の最先端の診断と治療を行ってまいります。



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      〜大阪医療センター ボランティア〜  
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                    ボランティアコーディネーター
                    藤本 和彰


 メルマガご愛読の皆さま「患者情報室」をご存知でしたか?
 では「リボンズハウス」をご存知ですか?

 「リボンズハウス」とは
 平成21年(2009年)12月14日、当院外来診療棟1階の患者情報室に、「NPO法
人キャンサーリボンズ」の情報拠点となる「リボンズハウス」を開設(患者情
報室に併設)しました。
 この「NPO法人キャンサーリボンズ」は、がん医療やヘルスケアに携わる
多くの専門家によって設立された、がん患者さんやそのご家族、ご友人の皆さ
まを支援する特定非営利活動法人です。がん患者さんの「自分らしく、少しで
も心地よい生活」の実現のために、「治療と生活をつなぐ」情報提供や具体的
なサポート活動を展開し、患者さんも、家族も、医療者も、すべての人が誰か
を支え、誰かに支えられる「社会全体で支えあうがんケアのネットワーク」づ
くりを推進されています。
 
 「リボンズハウス」でできること
 患者情報室は、訪ねてくださった患者さんやそのご家族が病気について詳し
く調べたり、検査・治療方法に関する情報が得られる部屋として利用していた
だいています。この「リボンズハウス」の開設は、従来からがんにも取り組ん
でいますが、更に「リボンズハウス」という機能を加えて、より一層いろんな
方々にがんの情報を提供しようということで開設しています。
 
 具体的には、がん治療に関する情報や医療相談のほか、医療用ヘアウィッグ
(かつら)の紹介やメイクアドバイスなどです。

 (1)ビューティコーナー設置

 1)医療用ヘアウィッグ(かつら)展示・試着コーナー : ウィッグ展示・
試着コーナーを設置しています。ご試着時はカーテンを引くことで、外部から
の目線など気にすることなく試着できるよう、配慮しています。

 2)リカバリーメイク教室 : 来室される女性患者さんがビューティケア
で自分らしさをサポートできるように、コスメなどのセットを用意しています。
化学療法の副作用により眉毛が抜けたり、顔色がくすんで見えたりする悩みに
答えるための情報・キットとなっています。DVDを用いながら、テスターと
してお使いください。
 
 <情報>
 ・山崎多賀子さん(美容ジャーナリスト)によるリボンズハウスオリジナル
ビューティ通信
 ・山崎多賀子さんがチョイスしたメイクアップ製品の使い方
 ・がん治療中の悩みに答える美容のノウハウ(キレイを味方にいつでも自分
らしく)を紹介するDVD。

(2)「リボンズハウス勉強会」への参加 : リボンズハウスでは、どなた
でも自由に参加(参加費無料)できる、勉強会(毎月4回)を行っています。
 
当院「がんサポートチーム」のメンバーが、がん患者さんやご家族の方が、生
活するうえで困っている治療の副作用や、がんの痛み、腕のむくみ、リラック
ス方法などをテーマに行っています。
 一方、医療用ウィッグについては「スヴェンソン」の専門カウンセラーが、
ウィッグの使用方法や、お手入れ方法から治療期間中の髪と頭皮のケアまで、
丁寧にアドバイスしてくれます。みなさんぜひ、ご来室ください。そして、ご
参加ください。

(3)DVDの視聴 : 「キレイの力」プロジェクトの制作された、がん治
療中の悩みに答える美容のノウハウ(キレイを味方にいつでも自分らしく)を
紹介するDVDもご視聴ください。

 DVDは「ウィッグや帽子の活用術」「山崎多賀子さんによる悩み別メイク
のポイントレッスン」「治療中のシャンプーのしかた」「よくある疑問Q&A」
に分け、具体的に紹介しています。ぜひ、ご活用ください。

(4)サロンの参加 : 患者情報室・リボンズハウスでは、二つのサロンを
開いています。乳がん患者会「COCORO(こころ)」と、「女性のがん体
験者のつどい」です。

 開催日程は、乳がん患者会「COCORO(こころ)」が、毎月不特定日
(午後1時〜3時)で開催しています。そして一方の「女性のがん体験者のつど
い」は、毎月第3水曜日(午後1時〜3時)に開催しています。「副作用がつら
い」「手術が不安」「孤独を感じる」「再発が心配」「うつ症状かも」「脱毛
がショック」など、同じ体験をした女性同士、語り合うだけですが、心が、少
しでも楽になることを願っています。患者さん、ご家族の方、お気軽にご参加
ください。ご案内は、患者情報室・リボンズハウスのボランティアが行います。
お待ちしています。

(5)がん支え合い応援グッズコーナー : がん支えあいシンボルソングの
CDやシンボルマークのアイリス・ピンバッジ、動物の写真ポストカードセッ
トなど、NPO関連グッズの取り扱いや皆様からのご寄付の受付を行うコーナ
ーです。
がん支えあい応援グッズを通して皆さまからいただいたご寄付は、リボンズハ
ウスの企画、テーマ別プロジェクトの推進等に役立てさせていただきます。ご
賛同、ご支援をお待ちしています。

(6)「がん支えあいの日」記念イベントへの参加
 
 1)平成22年1月11日:リボンズハウス開設記念イベント
「支えあいの輪〜スター混声合唱団in大阪医療センター」
  
 2)平成22年7月4日:第2回支えあいの輪
「Beauty & Laugh〜美と笑いの効用」キャンサーリボンズin大阪
を開催しました。

 来たる、平成23年7月10日(日曜日)、第3回支えあいの輪リボンズハウスイ
ベントを開催予定です。皆さまのご参加をお待ちしています。
 病気の先輩の体験談のファイル、病気に関する本・資料、インターネット検
索、勉強会の開催、特に病気の先輩の体験談は心強い味方です。
 病気について「生きた情報」を知る、読む、見る、学ぶ広場「患者情報室・
リボンズハウス」。ここでは、自分の病気について詳しく調べたり、治療に関
する情報も得ることができます。 

 お気軽にぜひ一度来てください! 
 お待ちしています。

 「患者情報室・リボンズハウス」では、人と情報をつなぐボランティアを募
集しています!

 ボランティアには、利用者お一人おひとりに必要な情報を得ていただくお手
伝いを、お願いしています。資格は問いません。来室された患者さんやご家族
の方と一緒に、病気について本やインターネットを使って調べたり、患者さん
のお話しを聞いていただくだけでもかまいません。
 来室者の方が利用しやすく、「ホッとできる空間」を一緒に作ってくださる
方、少し空いた時間でお手伝いをしていただけるなら大歓迎します。
ボランティアを希望される方、お待ちしています

 お問合せは、独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 
・管理課ボランティア担当    TEL:06−6942−1331(代表)
・ボランティアホームページ →http://www.onh.go.jp/volunteer/
・患者情報室ホームページ →http://www.onh.go.jp/jouho/jyohousitu.html



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      看護のこころ 
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 					   外来
                                              梶原 絹代


 若葉青葉をわたる風も快く感じられますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 
 私は、婦人科病棟で5年、泌尿器、頭頸部病棟で1年の経験を経て、がん化学
療法看護認定看護師を修得し、外来で勤務しています。がん化学療法看護認定
看護師は、がんに対する化学療法を受ける患者さんに対して、意思決定のサポ
ートや治療による症状マネジメント、セルフケア支援を行うことや、がん化学
療法に携わる看護師の曝露対策を行うことなどを目標に活動をしています。
 
 私が、がん化学療法看護認定看護師を目指すきっかけとなったのは、看護師
となって6年目のことでした。がんの患者さんの化学療法看護を行い、長期に
わたる闘病期間の中で、治療と共存していく患者さんの姿をみて、看護師とし
て、何ができるのだろうかと模索していた時に、病棟を配置換えになり、疾患
によって、がん化学療法の治療目的や経過が異なることを目の当たりにしまし
た。患者さんの背景や治療内容によって支援できることが異なること、患者さ
ん自身が自立できるよう、がんという病気やその治療と共に共存しながら生活
できるよう支援をすることの難しさとやりがいを感じました。そんな中で、が
ん化学療法看護認定看護師の教育課程の研修について知り、がん看護を深めて
いきたいと感じ、研修参加をきめました。がん化学療法看護を行っていく中で、
さまざまな局面に達した時に戸惑い、悩む場面もありました。そんな時に、上
司や看護師仲間と対話することで、がんばろうという気持ちがもて、看護師を
続けてくることができました。また、看護師のみならず、医師や薬剤師などの
医療チームの方の支えもあり、何とか5年目の認定看護師の更新を迎えること
もできました。
 
 日々発展するがん化学療法薬や支持療法薬の中で、自分自身で自己研鑽する
楽しみや知識の習得をしていくことでの、患者さんへの看護への還元できるこ
との喜びは、認定看護師を修得し、自身の看護師の継続へのモチベーションの
向上につながっています。
 
 自分自身のライフイベントを経験しながら、今後もがん看護を継続していき
たいと考えています。また、自分自身ががん看護をしたいと思うきっかけとな
ったのが、患者さんの看護だけでなく、先輩や上司など周囲の看護師や医療チ
ームの方々との対話によって、がん看護の楽しさや難しさを共有できた経験で
した。これからも看護を継続していく中で、周りの仲間との出会いや対話を大
事にし、自身の生活も大事にしながら看護を継続していきたいと思います。


看護部ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html



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          研 修 医 日 記
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                    研修医2年目
                                        植野 吾郎	

 ある日の日記より

 5月5日
 
 今日は祝日だというのに朝から手術があった。チームのスタッフの先生方総
出で、外科というのは大変なものだなぁと思ったのがたぶん4月から1000回目
くらいだと思う。人手が足りていたため、自分は外回りで見学していた。手術
はスムースに進行したため、昼前には終わった。それからは、看護師さんから
の「明日からのオーダー(1)がでていません」の言葉に尻を叩かれながら、
病棟の雑務を(抜かりなく)終わらせた(と思っている)。ちなみに勤めだし
て1年間、自分は看護師さんの薬剤管理によって80パーセントくらい動かされ
ている気がする。情けないが、感謝。

 16時ころ寮に帰った。帰っても普段のようには落ち着かない。なぜなら寮の
建て直しのため、9日には立ち退かねばならないからだ。ちなみに自分は最後
の住人。引越しの準備を何一つ始めていないのでこれから。明日締切りのこの
日記もまだ。溜まりまくった退サマ(2)、勉強・・・。なんもしてねぇなお
れ。結局このゴールデンウィーク、薄くなった毛髪すら散らしにいくことがで
きなかった。土日に行こう。とりあえずは引越しの準備。というか引越し。冷
蔵庫重そうだなぁと思って90パーセントのパワーで抱えてみたが、なんとかな
りそう。まぁ普段まったく運動してないし、いい機械、否、いい機会だ。

 で、18時半からは病院の上層部のN先生、オーベン(3)のA先生、同期のYち
ゃん、Nちゃんと串かつを食べに一同新世界へ。ここでもNちゃんは(当直明け
→オペ(4)のコンボ(5)後だというのに!)タクシーの手配を抜かりなく行
っていた。「できる子やー」と中年男性諸氏を喜ばせていた。Yちゃんはアイ
ドルなみの可愛がられよう。自分の存在は、はっきり言って邪魔でしかないの
だが、子分として空気を読みまくることに徹することにした。串かつを大量に
食した後(ごちそうさまでした)、疲労により気を失いかけているNちゃんを
帰して(おつかれ!)、N先生行きつけのPへとハシゴ。他愛のない話をし、ま
ったりしたところで解散となった。ちなみにエールというのはなかなか飲みや
すいビールである。
 
寮に帰ってからも引越し。なんやかんや言って、1年住むとちょっと感慨深い
ものがある。窓からの風景は看護学校のみ、隣の住人の鼻歌は丸聞こえだが、
風通しがよくて気持ちいいのだ。そしてなにより病院までのこの至近距離。あ
ー、なんだかめんどくさいなぁと思った瞬間、眠くなったので寝た。明日は9
時からカンファ(6)。

−単語説明−
(1) オーダー:指示
(2) 退サマ:退院時診療録要約
(3) オベーン:指導医
(4) オペ:手術
(5) コンボ:連続
(6) カンファ:検討会




                     研修医2年目     
                     西井 遼子
 
 大阪医療センターに来て早くも1年が過ぎました。日々、失敗と反省を繰り
返しながら充実した研修医生活を送っています。

 この日記を読まれている医学生の皆さんは、きっとこれから始まる研修に期
待と不安を抱えていることと思います。実際、私も研修先のことで大変悩んだ
ことを思い出します。ただ、何事もそうかもしれませんが案ずるより産むが易
しで、研修が始まってみると毎日一つ一つ目の前のことをこなして積み重ねて
いくことが研修であって、どこでそれをしようとも変わらないように思います。
実際に、私も含めてどの病院で研修している人も満足しており、皆行くべきと
ころに行くようになっているようです。

 さて、研修の具体的なカリキュラム等は実際に見学に来られた時にお話しす
るとして今回は、私の個人的な研修について書こうと思います。

 現在までで5科での研修を終えましたが、特に思い出深いのは三次救命セン
ターでの研修です。三次救命センターでの3カ月の研修は当院での研修の特徴
といえますが、外傷とCPA(心肺停止状態)ばかりを見続ける3カ月間は一
生の思い出になりました。真夏に汗まみれになりながら心臓マッサージをした
こと、初めてACLSのリーダーをさせてもらい挿管をしたこと、3日に1回の
当直を先生方や病棟のスタッフの方々に励まされながら何とか乗り切ったこと
全てが大きな自信になったように思います。また、一緒に研修した同期とは口
には出しませんが、あの時頑張ったよねという絆があります。

 現在は、消化器外科の研修中ですが1年間の自分の成長を感じて嬉しくなっ
たり、やっぱり何も出来ない自分にすごく悔しかったりと忙しく過ごしていま
す。

 また、当院の特徴として女性医師の数が多いことがあります。どの先生もそ
れぞれのスタイルを持って生き生きと働いておられます。医師という職業は女
性がlife workにするのはなかなか難しい職業かもしれませんが、こんな先生
になりたいなと自分のrole modelとなるような先生に出会えると思います。

 長々と書きましたが、結局自分が何を求めるかによって研修は変わります。
これを読まれている皆さんも充実した楽しい研修生活を送られることを願いま
す。


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html



**********************************************************************
総編集長:病院長 楠岡英雄
編 集 長:副院長 恵谷秀紀、山崎麻美
     看護部長 渡津千代子 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
**********************************************************************
  病院はまた多くの新人、転任の職員を迎えて、また新しい風が吹いています。
私たちもまた新しい気持ちになって、皆様の居心地の良い病院を目指していき
ます。
では来月まで。

 

http://m-maga.onh.go.jp
メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp 

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