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メールマガジン「法円坂」No.146(2013/7/16)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 大阪では例年よりかなり早く梅雨があけました。暑い日が続きます。
今月のメルマガをお届けします。
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   メールマガジン「法円坂」No.146(2013/7/16)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 楠岡 英雄 です
 ・第4回「アドベンチャー Hospital in 大阪医療センター」
 ・診療科紹介 口腔外科(1)
 ・ボランティア「絵本サークル・ぶくぶく」のご紹介とボランティア活動へ
  のお誘い
 ・看 護 の こ こ ろ
  ・研 修 医 日 記
 
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         院 長 楠岡 英雄 で す 
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 6月30日の朝日新聞朝刊に「肥満薬の治験でデータ改ざんか」という記事が
掲載されました。小林製薬がメタボリック症候群などの肥満症への適用を目的
として開発した薬品の治験において、大阪市内の病院での得られたデータの一
部が改ざんされた疑いがあるとの報道でした。また、小林製薬は2011 年11月
に治験データを添えて製造販売承認を申請していたが、本年2月に申請を取り
下げたとも報じられています。

 改ざんの具体的な内容は、被験者の一部の身長が実際より低く記録され、肥
満となるように操作されたというものです。朝日新聞はこれらの被験者に直接
取材し、治験の記録である症例報告書に記載された身長が実際より数cm低いこ
とを確かめたとのことです。ここまで調査されているので、改ざんの事実は明
らかなようです。

この治験には、治験施設支援機関(SMO)である「サイトサポート・インステ
ィテュート」社が関与しています。SMOとは、治験を円滑に進めるため、治験
担当医師や被験者の支援を行う「臨床試験コーディネーター(CRC)」を病院に
派遣したり、治験に関わる事務局作業を代行したりする、治験の実務の一部を
病院から委託されて実施する会社です。

どういう経緯でこのようなことが起こったかは、まだ、明らかになっていませ
ん。治験を担当した医師は、取材に対し、「CRCがカルテに記載したデータを
信用して、そのまま記載した。」と述べたとのことです。一方、担当したCRC
はすでにこのSMOを退社しており、インタビューできていないようですし、当
該SMOは取材の申し入れに、「守秘義務があり、回答できない立場だ」と書面
を寄せているとのことです。

現在、治験は薬事法に基づく厚生労働省令の下で実施されています。その中で
は、治験の「科学性」、「倫理性」、「信頼性」を確保することが、治験に関
わる全ての関係者に求められています。わが国では、20年以上前の治験の状況
は、けっして褒められたものではありませんでした。今回、報道されたような
データの改ざんが明るみになったこともあります。このような状況を踏まえ、
平成9年に治験の実施に関する厚生省令が定められ、現在に至っています。ま
た、その間、治験の質や効率性を高めるべく、関係者が努力し、CRCの導入や
SMOの関与などが進められてきました。

その結果、わが国の治験は、国際的にも質が高く、スピードも欧米諸国並みと
評価されるところまで来ました。今回の事件は、これまでの関係者が努力して
築きあげてきた治験のよい評価を一気に貶めるものです。たいへん残念な事件
といわざるを得ません。

また、小林製薬が承認申請を断念したことで、この治験に協力した被験者の善
意がすべて無駄になったことになります。治験に参加することは、参加したご
本人に常に利益があるとは限りません。もちろん、これまでに治療薬がなかっ
た病気で、新薬を服用でき、メリットを享受される方もおられます。しかし、
治験によっては、プラセボと呼ばれる効果のない偽薬を服薬するグループに入
る被験者も存在します。また、治験の種類によっては、参加者全員に直接的な
利益がない場合もあります。それでも被験者の方々に治験に参加いただけてい
るのは、この薬が承認を得て市場に出ることにより、将来の患者さんに利益が
及ぶことを期待されてのことだと思います。今回の事件は、このような希望を
断ち切ってしまいました。

今後、小林製薬、SMO、病院のそれぞれで事実の究明に向けて調査が行われる
ものと思います。その結果を公表し、どこに問題点があったかを明らかにする
と共に、今後、二度とこのようなことが起こらないよう、再発防止策を考える
必要があると思います。


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  第4回「アドベンチャー Hospital in 大阪医療センター」
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                     がんセンター診療部長
                     関本 貢嗣

 「アドベンチャー Hospital in 大阪医療センター」を、6月23日に開催しま
した。この企画は、中学生や高校生を対象に、病院の様々な職種を紹介したり
各部門の業務を模擬体験する機会を提供したりすることで、職業としての医療
に関心を持ってもらうことが目的です。2009年に第1回が開催され今年が第4回
となります。これまでは200名前後だった来場者が今回は352名と一気に増え、
賑やかな一日となりました。

 今回も、看護部、放射線科、臨床検査科、薬剤科、理学療法士、臨床心理士、
臨床工学士、栄養管理士、事務部、手術室、救命救急センター、麻酔科、循環
器内科、外科など多くの部門が工夫を凝らした力の入った企画を用意しました。
また今年は看護学校も公開授業やオープンキャンバスを開催しました。部門ご
との企画だけでなく、パネル展示や質問コーナーを設け、またできるだけ多く
の部門を知ってもらうためにクイズラリーを行うなどの新しい試みも加えまし
た。
来場者にアンケート調査を行いましたので、その結果を紹介します。回答者の
59%が高校生、24%が中学生で17%はその他でした。小さな子供を連れた家族な
どもかなり多かったです。アドベンチャーHospitalを知ったきっかけは、7割
は学校からの紹介でしたが、3割はホームページや口コミなどが情報源でした。
参加した動機として多かったのは、職業選択の参考にしたいから、医療職に興
味があるから、将来医療職に就きたいと思うから、でした。参加した印象につ
いての質問に、8割の回答が「期待以上の内容だった」との評価で、非常にう
れしかったです。アドベンチャー Hospitalに協力して頂いた皆さんの努力が
この結果に結びついたのだと思います。

 アドベンチャーHospitalをきっかけに医療職を目指す若者が増え、できれば
大阪医療センターの仲間に加わってくれればと期待しています。また、この企
画は大阪医療センターの存在と姿勢を多くの人に知ってもらうという意味でも
有意義と感じました。来場者や職員皆さんの意見を参考に、次のアドベンチャ
ーHospitalはさらに充実したものにしたいと思います。


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    診療科紹介 口腔外科(1)
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                   口腔外科 科長
                   有家 巧

 大阪医療センター口腔外科の紹介をさせて頂きますが、その前に診療科名の
口腔外科の読み方についてご説明いたします。よく患者さんから「口腔」は
「こうこう」と読むんじゃないですか。と質問あるいはご指摘をされます。確
かに国語辞典では「こうこう」となっていますが、医学の分野では「口孔」と
区別するためか、または誤読からか慣用的に「こうくう」と読んでおり、当院
でも診療科名は「こうくうげか」としています。一般に口腔外科とは口の中を
構成し、また口に関連する器官や臓器に発生した疾患に対して診断および治療
をおこなう診療科です。口腔は舌、口底、歯肉、頬粘膜、口蓋といった軟組織
に囲まれており、これらは上下の顎骨である硬組織で支持されています。また
顎骨には歯が植立しています。関連する器官としては顎関節や所属リンパ節、
唾液腺があります。これらに生じた先天異常、発育異常、損傷、炎症、系統的
骨疾患、嚢胞、良性や悪性腫瘍、神経疾患などを治療対象とするのが口腔外科
です。守備範囲が広く様々な疾患に対応する必要がありますが、施設によって
得手不得手があります。唇顎口蓋裂や顎変形症に対する外科的矯正治療などの
形成外科的アプローチを行う施設、人工歯根による歯科インプラント治療など
歯科外科を専門にしている施設、また顎口腔領域に生じた腫瘍の治療を行って
いる施設など様々です。当科では腫瘍外科を得意とし、口腔がんに対しては関
連科の協力を得て集学的な治療を積極的に行っています。診療内容の質の向上
を目指して、頭頸部カンファランスや病理カンファランスを行い病院全体の
cancer boardにも参加しています。基本的には手術療法を基軸としております
が、超選択動注による化学放射線療法やRALSによる組織内照射も治療の選択肢
の1つとしています。なかでも超選択動注による化学放射線療法は近年発達し
て参りました。当科では脳外科の協力を得て、口腔がんの栄養動脈である顎動
脈、舌動脈あるいは顔面動脈に浅側頭動脈や後頭動脈からの逆行性カテーテル
留置を行い、化学放射線療法を施行しています。口腔がんの初期病変に対し肉
眼視診型があり、白斑型、乳頭腫型、肉芽型、潰瘍型、膨隆型等の型に分類さ
れます。すなわち口腔内に白い偽膜様粘膜、治りにくい傷(潰瘍)、腫瘤やシ
コリなどの所見があれば口腔がんの可能性があります。これらの症状あるいは
症例があれば口腔外科で精査、加療させて頂きます。


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   ボランティア「綿の花 えほんの会」のご紹介と
   ボランティア活動へのお誘い
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                    ボランティアコーディネーター
                    藤本 和彰

 大阪医療センターボランティアは、1997年(平成9年)1月に導入され、今年
で17年目を迎えました。導入後「法円坂」「患者情報室」「園芸」を初めとす
る多くのボランティアグループに参加していただきました。いまも8グループ、
多種多様の活動が100人を超えるボランティアの皆さまのご支援ご協力により、
継承されています。

現在、小児科病棟には、「絵本の読み聞かせ」を主軸に活動されている、二つ
のグループがあります。ひとつは前回(メールマガジン「法円坂」No.145
(2013/6/17))ご紹介しました、「絵本サークル・ぶくぶく」です。そして、
もう一つのグループが、今回ご紹介します「綿の花 えほんの会」です。
「綿の花 えほんの会」は、2003年(平成15年)5月1日に発足しました。大阪
医療センター小児科に入院中の子ども達へのボランティア活動は、2005年(平
成17年)6月から開始され、今年9年目を迎えました。代表・小西 萬知子さん
からのお便りをご紹介します。

「綿の花 えほんの会」 
                       代表 小西 萬知子
 綿の花は、施設に入所していたり、病院などに入院している子ども達に、絵
本を通して楽しいひとときを持っていただこうと活動しているグループです。
大阪医療センターには、2005年6月から、小児病棟で絵本を届ける活動を開始
しました。毎週月曜日に、えほんの会と貸し出しをしています。クリスマス会
には、大きな絵本や、パネルシアター、人形劇なども組み込んだ楽しいプログ
ラムで参加いたします。どの子も、絵本を読んでもらうのが大好きです。入院
中のひと時を、楽しんでもらえたらと、その子に合ったふさわしい絵本に出会
っていただけるように努めています。
 子ども達の笑顔や、付添いのご家族の「ほっ」としたお顔に、喜びと元気を
いただいています。絵本のボランティア希望される方は、どうぞお仲間になっ
てください。絵本の読み方・絵本の選び方などの研修も致します。

「綿の花 えほんの会」の活動は、
(1)活動日 :毎週月曜日
(2)活動時間:10時30分〜11時30分
(3)活動内容:

1.プレイルーム:絵本の会(約30分)
2.ベッドサイド:一人ひとりに絵本の読み聞かせや手遊び等(約15分)。
3.絵本貸し出し:絵本を載せたブックトラックを各病室に運び、1人2冊づつ
  貸し出しを行います。
  (絵本の返却は、プレイルームの返却箱に入れます。)

「綿の花」の活動は、絵本の読み聞かせの勉強をしていただいてから参加して
もらっています。よく、だれにでもすぐできると考えられがちですが、子ども
と絵本の出会いはとても大切なものです。その子に会った、楽しめる絵本に出
会わせてあげるためには、読み方の技術も重要ですが、絵本をたくさん知って
いることが必要です。特に体調の優れない時に、見知らぬ人と話すだけでも子
どもにとっては負担になると思います。子どもさんと楽しく話しながら絵本を
通して、ぬくもりのある、楽しいひと時を演出していただかなくてはなりませ
ん。「綿の花」では、毎年絵本の読み聞かせ講座を開いております。4月から8
月ごろまでです。子どものこと、絵本のこと、読み聞かせの技術などを勉強し
ていただいております。活動に興味のある方は、是非ご参加ください。詳しく
は下記ホームページをご覧ください。

「さわる絵本の会つみき」→http://www9.plala.or.jp/sawaruehon 

 また、大阪医療センターでは病院ボランティアを募集しています。
現在100余名のボランティアの方々が活動されています。一緒に活動してみま
せんか。ボランティアを希望されます方、お待ちしています。
管理課ボランティア担当までご連絡ください。

・ボランティアホームページ→http://www.onh.go.jp/volunteer/
・電話番号→06−6294−1331(代表) 


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      看 護 の こ こ ろ 
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                  東8階病棟 近藤 美由紀 

 今年は予想に反して空梅雨でした。あっという間に梅雨明け、皆さまいかが
お過ごしでしょうか。これから暑さが増してきますので水分をこまめに摂り、
熱中症などにお気を付けください。
 さて、今回看護のこころを書くことになり、私の看護を振り返るきっかけに
しようと思います。私は看護師になり広島の病院で3年間循環器・心臓血管外
科病棟で働き、その後大阪に来て当院の消化器外科病棟で5年、この4月から副
看護師長となり血液・呼吸器・消化器内科・総合診療科の混合病棟に異動とな
りました。気付けば看護師9年目を迎えあっという間だったなと感じています。
それは、さまざまな患者さんと出会い、患者さんからたくさん勉強させて頂き、
看護の楽しさや難しさを日々感じ充実していたからだと思います。

 私が看護師5年目のときの患者さんとのエピソードを紹介します。大腸がん
でターミナルの女性の患者さんで日常の生活動作が低下してきており、今回の
入院で自宅退院は難しいかもしれないという状態になっていました。その患者
さんのご主人は自宅でもヘルパーを導入しながらもほとんど1人でストーマ交
換、食事介助、家事などされていました。入院後も毎日面会に来られ、身の回
りのことを懸命にされていました。ある担当の日、ご主人より「月曜日自分は
来られないんだけど、散髪をさせたいからリハビリの時間にかぶらないように
予約しておいてほしい」と言われました。私は「月曜の担当に申し送りして散
髪予約しておきますね」と伝えました。後日師長さんから「Aさんの旦那さん
から、近藤さんに頼んだらいつも完璧にしてもらえるから安心します、と言っ
ていたよ。」と伝えられました。
私は、頼まれたことを実施しただけと思っていましたが、家族にとっては1つ
の依頼が確実に実施されることが、安心に繋がるのだと感じました。とくに、
自宅でご主人は懸命に援助されており、病院での生活は心配なことも沢山あっ
たと思います。ご主人との会話の時は、そのようなことまで考慮して依頼を受
けることができていませんでした。患者さんの家族の思いをくみ取り、そこに
寄り添うことができる看護が必要なのだと考えさせられました。また、ご主人
は私なら頼んだことを確実してもらえるという信頼を寄せて頂いていたのかも
しれないと感じました。患者さんや家族との信頼関係は看護にとって必要不可
欠なものであり、信頼関係のなかによい看護ができると考えます。
看護師5年目の私は、患者さんの家族に対して看護実践ができていたかは不確
かでした。こうして自分の看護を振り返ることで、信頼関係の重要性、家族看
護の大切さを学び、私は看護師として成長したと感じることが出来た出会いで
した。日々患者さんから学び、悩みながら私の看護観が広がり、またその広が
った看護観を活かして患者さんに提供できることが看護の魅力だと感じていま
す。
 医療は日進月歩ですので私の看護も日進月歩させ、今度は副看護師長として、
スタッフともに患者様と家族と信頼関係を大切にし、患者さんと家族に寄り添
った看護とは何かを考え実践できるよう励みたいと思います。 


ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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 今月はお休みです。
 
臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html

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総編集長:病院長 楠岡英雄
編 集 長:副院長 恵谷秀紀、多和昭雄
     副院長・看護部長 渡津千代子 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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水分補給や温度管理に気をつけて、熱中症にならないよう、注意してください。
では来月まで。


http://m-maga.onh.go.jp
メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp 

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