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メールマガジン「法円坂」No.151(2013/12/16)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 金剛山が真っ白に雪をかぶり、今年の漢字に「輪」が決定されたと聞くと、師走
になっていたんだなあという気持ちになります。
街の灯りも今年はひときわ華やかに感じます。
今年最後のメルマガをお届けします。
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   メールマガジン「法円坂」No.151(2013/12/16)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 楠岡 英雄 です
 ・冬季感染症対策について 〜感染防止対策の基本は手洗いです!〜 
 ・診療科紹介 産科婦人科(3)
 ・2013年度 日本病院ボランティア協会「総会・病院ボランティアの集い」に
  参加して
 ・看 護 の こ こ ろ
  ・研 修 医 日 記
 
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         院 長 楠岡 英雄 で す 
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 毎年、この時期のメルマガでは、その年のアメリカ心臓学会(American Heart 
Association;AHA)の年次学術集会における学会長講演を紹介してきました。今年
もAHAの年次学術集会が11月17日から4日間、テキサス州ダラスで開催されました。

 この学会にはよほどのことがない限り、毎年、出席しています。それは、循環器
病研究の最先端の情報が得られるからです。特に、今年からは、従来、基礎医学/
臨床医学/社会医学の3分野に分けられていたセッション構成に、新たに「トラン
スレーショナル・リサーチ」という分野が加わり、基礎と臨床の橋渡しになる研究
をまとめて取り上げるセッションができました。この点からも世界の動向をよく反
映していると感心させられます。

 また、学会初日の開会式で行われる学会長講演では、その時の循環器病学、循環
器医療が直面している問題が取り上げられており、これを聞くのも楽しみの一つで
す。

 ところが、今年は当院の附属看護学校の社会人入学試験の日程と重なり、AHAへ
の出席がかないませんでした。しかし、開会式の翌日に、その模様がAHAのホーム
ページに動画で公開され、その中に学会長講演も含まれていました。そこで、今年
の学会長Dr. Mariell Jessupの講演のトピックスを紹介する次第です。

 今年のテーマは「心不全」でした。虚血性心疾患や弁膜症など、それぞれの疾患
に対しての治療は進歩しましたが、その治療によっても救えない心筋の量が徐々に
増加していき、心臓の収縮に寄与する心筋の量が減っていくことで心不全という病
態になっていきます。心不全の結果、全身の臓器に十分な血流を供給できなくなる
と、多臓器の機能不全となり、遂には致命的になります。例えば、急性心筋梗塞は
カテーテル治療などにより急性期の死亡率は下がってきましたが、それを繰り返す
ことにより心不全となり、心不全で死亡する方が増えています。心臓病領域の最大
の問題は心不全であることは1990年代から指摘されていましたが、今、それが現実
となっています。

 学会長講演では、心不全の治療の歴史が示されました。強心薬、血管拡張療法、
レニン・アンギオテンシン系に作用する薬、ベータ遮断薬などの薬物療法、植え込
み型除細動器、両心室を同期して収縮させるペースメーカー、人工心臓などの医療
機器の進歩により、心不全患者の予後は改善されつつあります。

 講演で強調されたことの1つは、それぞれの薬物療法や医療機器の有用性は臨床
試験によって確かめられ、定着してきた点です。プラセボを用いる、あるいは既存
の療法と比較することで新しい治療の有効性と安全性が証明されて、はじめて受け
入れられるようになります。しかし、臨床試験の実施には患者さんの協力が不可欠
です。臨床試験に参加していただいた患者さんへ感謝すべきことも強調されていま
した。

 臨床試験の結果があって、治療ガイドラインが書き換えられ、標準的な治療とし
て広まっていくわけですが、臨床試験そのものの持つ問題も指摘されています。

 臨床試験は一定の条件に当てはまった患者さんだけを対象に実施されているので、
現実世界(Real World)ではそのままには当てはまらないという点です。実際に治
療を受ける患者さんには様々な背景があり、一般に、臨床試験の結果よりは悪い結
果になる傾向が指摘されています。また、臨床試験の参加者は男性が多い傾向にあ
り、治療効果に性差がある場合、女性での信頼度が低くなる傾向があります。さら
に、治療効果に人種差がある場合も同様です。

 また、個々の治療法以外にも、心不全では再入院率が高いことも問題点として指
摘されていました。再入院を減らすための方策が求められています。これは予防に?
がる問題です。

 今後の問題として、やや専門的になりますが、拡張型心不全が指摘されました。
従来型の心不全、すなわち、心臓の収縮機能の低下による心不全への治療は進歩が
認められていますが、収縮機能の低下を伴わない心不全(拡張型心不全、heart 
failure with preserved ejection fraction; HFpef)については、認識されたこと
が新しいこともあって、まだ有効な治療法が確立していません。今後の課題です。

 毎年の学会長講演を見ていると、その方が関心を持つ研究の方向性とともに、そ
の方の個性を感じさせられます。今回の講演では、最後に、ご自身の患者さんの例
を2つ上げられ、それぞれ、心不全が悪化しては新しい治療法に助けられ、今も、
日常生活に支障なく、人生をエンジョイされている姿が紹介されました。そのお二
人の登場がフィナーレでしたが、感動深いものがありました。日本の学会長講演で
は見られない風景でした。


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         冬季感染症対策について
      〜感染防止対策の基本は手洗いです!〜 
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                    感染管理認定看護師
                    谷口 美由紀

 寒さもひとしお身にしみる頃、みなさん体調を崩されていないでしょうか。冬の
時期、流行する感染症に感染性胃腸炎とインフルエンザがあります。そこで今回は、
感染性胃腸炎とインフルエンザの感染予防策についてお話しします。

 感染性胃腸炎の原因となるウイルスには、ノロウイルス、サポウイルスや乳幼児
に多くみられるロタウイルス、アデノウイルスがあります。中でもノロウイルスは
集団生活の場で大流行することもあるため、今回はノロウイルスを中心にお話しし
ます。
 ノロウイルスは1〜2日間の潜伏期間を経て発症します。通常1〜3日程度で改善し
ますが、乳幼児や高齢者の場合、脱水症状や誤嚥による肺炎を起こす場合もありま
す。主な症状は腹痛・下痢、嘔吐、発熱です。
 感染経路の1つはヒトからヒトへの感染です。これは、感染したヒトの便や嘔吐
物に触れた手指を介してノロウイルスが口に入ることや、便や嘔吐物が乾燥して塵
と舞い上がり、ウイルスを体内に取り込んだ場合に起こります。もう一つの感染経
路は汚染した食品を介して起こる食中毒です。カキやシジミ等の二枚貝は、内臓に
ノロウイルスを取り込んでいる場合があり、これを、生や不十分に加熱処理した状
態で食べると発症します。
 感染予防で、最も大切なのは手洗いです。ノロウイルスはアルコールに抵抗性が
あるので、石鹸と流水による手洗いが必要です。排便後、調理や食事の前、便や嘔
吐物に触れた後は、手袋の有無に関わらず手洗いをしましょう。また、便や嘔吐物
の処理をする際は、使い捨て手袋、不織布製のマスク、使い捨てエプロンを着用し、
次亜塩素酸ナトリウムを用いて消毒してください。食中毒の予防方法は、調理の際
よく加熱すること(85度1分)です。
 
 次にインフルエンザです。インフルエンザは12月から3月頃に流行します。症状
は38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛等全身の症状です。小児ではまれに急性
脳症を、高齢者や免疫力の低下している方では肺炎を伴う等、重症になることがあ
ります。潜伏期間は1〜7日で、発症前日から発症後3〜7日間はウイルスを排出する
と言われています。
 感染経路は、咳やくしゃみの際に口から発生する小さな水滴(飛沫)による飛沫
感染です。したがって、感染予防策は不織布製のマスクの着用です。発症前から感
染力があり、ウイルス排出期間は個人により異なるため、普段から咳エチケットを
実施することも周囲へ感染を拡げないために大切です。また、インフルエンザは接
触感染もあるため、手指衛生(流水と石鹸による手洗いまたはアルコールによる手
指消毒)の徹底も重要です。外出後等には、手指衛生を実施しましょう。予防策に
は、適度な湿度の保持や十分な栄養とバランス、人ごみや繁華街への外出を控える
方法もあります。ワクチン接種は感染を抑えるものではなく、重症化の予防です。
したがって、ワクチンを接種していても、予防行動は必要です。

 様々な感染症がありますが、感染予防策の基本は手洗いです。日ごろから手洗い
を実施することが感染予防につながります。自身の健康を守るためにもまずは手洗
いの徹底から取り組みましょう!


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    診療科紹介 産科婦人科(3)
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                   産科婦人科 科長 
                   巽 啓司

 今回は、産科に関するお話しです。
 昨年1年間に当院で446人の赤ちゃんが産声をあげました。当院にはNICU(新生
児集中治療室)がありませんので、重症の赤ちゃんを診ることはできませんが、早
産でも妊娠34週以降でしたら小児科医師がきちんと診てくれています。当院で管理
することが困難と予想される場合は、NICUを持つ医療施設へ転院又は搬送の手配を
いたします。大阪にはOGCS(産婦人科診療相互援助システム)という優れた周産期
搬送システムが整っており、万一の場合もすみやかに搬送先が見つかります。当院
もOGCSの加盟施設として、児のリスクが低い症例や母体救急に対して搬送受け入れ
を行っています。
 
 さて、今年、産科領域で大きな話題となったことの一つに、「母体血を用いた新
しい出生前遺伝学的検査」があります。これは妊娠初期の母体血液を用いて、胎児
の21トリソミー(ダウン症)等いくつかのの染色体異常について比較的高い確率で
診断できる技術です。昨年のメディア報道を契機に国民から大きな関心が寄せられ、
開始から半年間ですでに3,500人以上が検査を受けられたそうです。そして1.9%に
染色体異常が確定し、その9割以上が妊娠中絶を選択されたと報道されました。

 医療技術の進歩は目覚ましいものがあります。産婦人科分野でも、それらは数々
の福音をもたらしました。たとえば、体外授精胚移植法(IVF-ET)や顕微授精(ICSI)
によって多くの不妊に悩む夫婦が子どもを授かることができました。今や日本で年
間2万人を越える子どもがこれらの技術によって誕生しています。また最近のトピ
ックとしては、卵子の凍結保存技術の進歩でしょうか。生殖医療の進歩は留まると
ころを知りません。しかし倫理的に考慮すべき点が多分にあるにもかかわらず、残
念ながら、医療技術の進歩に法律も世論も全くついていけておらず、学会が指針を
作り、懸命に声明を発することしかできていないのが現状です。

 「新しい出生前検査」に関して、日本産科婦人科学会では、産婦人科医や小児科
医だけでなく、遺伝学、法学、倫理の専門家も委員とした検討委員会を設置し、有
識者や広く一般からの意見聴取も行ったうえで、本検査の指針を作成しました。指
針では、検査の適応や実施する施設認定を厳密にし、「十分な遺伝カウンセリング
が行われる体制の整備が必要であること」が明記されています。非常に有用な技術
であると同時に、その簡便さ故に、十分なカウンセリングが行われない状況で安易
に検査が行われれば、検査結果が一人歩きしかねないからです。現在20万円余りか
かる検査費用も、いずれ安価になり、技術的には検査できる疾患対象も増えていく
ことでしょう。でも単に「心配だから」とか「検査できるから」検査を受ける、と
いうことでよいのでしょうか。染色体異常を理由とした妊娠中絶は原則として引受
けられません。優れた技術は諸刃の剣であることをわれわれ医療従事者は肝に銘じ
る必要があると同時に、妊婦さんにもご理解いただきたいと思っております。

 産婦人科外来で行っている妊婦健診では、母体の健康状態のチェックとともに、
超音波検査を用いて胎児に異常がないかスクリーニングしています。「妊娠は病気
ではない」という方もおられますが、正常な経過をたどる大多数の方たちの中に、
何らかの医療介入を必要とする方が必ずおられます。それを早くに見つけ、母児の
安全のために必要な医療に導くことが妊婦健診の目的なのです。また、分娩時には
医師が立ち会い、分娩監視装置で胎児を見守り、危険と判断すればすみやかに娩出
を助けたり、緊急帝王切開をできる体制を整えています。これらの結果として、今
やわが国は妊婦・胎児にとって世界でもっとも安全な国のひとつとなりました。し
かし、それでも母体や胎児の死亡や後遺症をゼロにすることはできません。妊娠・
出産が女性にとって生命をかけた人生の一大イベントであることに変わりはないの
です。私たち産科医は、ご家族の喜びに満ちあふれるはずのイベントを支え、悲し
みの涙に濡れることがないことを願いつつ日夜仕事をしています。

 昨年、当院の分娩数は前年に較べ1割ほど増加しました。産科の助産師、看護師
は、正常分娩を導くだけでなく、マザークラスや乳房外来等を通じて、健診・分娩
される方をサポートしています。また定期的に子育てサークルを開催し、出産後の
多くの方にご参加いただき好評を得ております。妊産婦さんには、当院を選んでい
ただきありがとうございました。また、当院へご紹介いただきました産婦人科クリ
ニック・病院の先生方に厚く御礼申し上げます。
今後ともよろしくお願いいたします。


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     2013年度 日本病院ボランティア協会
  「総会・病院ボランティアの集い」に参加して
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                    ボランティアコーディネーター
                    藤本 和彰

 去る10月29日、ホテルアウィーナ大阪にて、日本病院ボランティア協会 2013年
度「総会・病院ボランティアの集い」が開催されました。
「病院ボランティアの集い」は、例年通り協会理事長の挨拶で始まり、来賓挨拶の
後、1000時間達成者 感謝状贈呈式が執り行われ、2013年度の達成者194名に、協会
理事長より感謝状と記念バッジが贈られました。
当院では、患者情報室ボランティア2名が受賞され、累計達成者は31名となりまし
た。「1000時間達成“おめでとうございます”」日頃の活動に感謝いたします。
きょうは、その日本病院ボランティア協会1000時間活動表彰を受けられた、患者情
報室ボランティア 前田 加南子さんより、受賞の喜びや今後のボランティア活動へ
の熱き想いを届けていただきましたので、ご紹介します。

「ボランティア1000時間達成表彰の喜び」
 今年一番うれしく思うことは、「病院ボランティア1000時間達成感謝状」をいた
だいたことです。早いもので、病院ボランティアをはじめて10年になりました。
 箕面の田舎から大阪の街まで、月二回のペースで参加しています。1000時間達成
など、毎週熱心に活動されている方の話だと思っていましたら、いつの間にか自分
の番が来てみると、感慨深いものがありました。
 私は「患者情報室」という所でボランティアをしています。患者情報室は利用者
さんご自身で、ご自分あるいはご家族などの病気や治療方法、生活の工夫などを調
べることのできる自立支援の場です。
普段パートで歯科の仕事をしている私には、医療のいろんな疑問について専門書や
インターネット等利用して調べることが出来る場所になっています。また、来所者
の方から私が知らないことを尋ねられることもあり、一緒に資料を探しながら、勉
強することが出来るありがたい場所でもあります。
どこに居ても人間関係に悩まされますが、いまから10年前の患者情報室開所の折、
唯一専任スタッフだった故山本ゆかりさんが、来所者の対応を大変親切にされ、私
たちボランティアの道筋を引いて下さったので、この場所に来られる方たちには何
か心の通じる方が多く居られる様な気がします。
 先日開催された「患者情報室設立10周年記念」にも、活動を辞められたボランテ
ィアの方たちも出席され、楽しい時間を共有することが出来ました。
これからも、創設者・故井上平三氏の「患者情報室を思う心」を継承し、いつも笑
顔のゆかりさんの写真に見守られながら、新しいボランティアの方たちと共に、少
しずつ良い「患者情報室」を作っていけたら幸いです。            
−前田 加南子−

 平成25年11月現在、当院では、110余名(但し、単発活動の音楽ボランティアを
除く)のボランティアの方たちが活動しており、日本病院ボランティア協会「1000
時間活動達成者」も31名(累計)となりました。
達成された理由として、使命感であったり、やりがいが支えとなって、それぞれが
いろいろと精進され達成された1000時間だと思います。本当に感謝申し上げます。
特にご高齢の方は、一つ年を重ねるごとに、回復が遅くなるように感じます。しみ
じみと健康あってのボランティアであり、家族の援護があってのボランティアであ
ることも痛感します。
 今後も、日々活動された少しの時間が蓄積され大きな目標に一歩一歩近づく努力
に感謝を示し、常にボランティアの方たちが生き生きと活動できるように、ボラン
ティアのステップアップを心得、支え合いながら末永く活動していただけるように
努めたいと考えています。

【患者情報室からのお願い】
患者情報室ではボランティアを募集しています。資格は問いません。来室された患
者さんやご家族の方と一緒に、病気について本やインターネットを使って調べたり、
患者さんのお話しを聞いていただくだけでも構いません。少し空いた時間でお手伝
いをしていただけるなら大歓迎します。
故井上平三さんの“患者情報室への熱き思い”に共感された方は是非お申込みくだ
さい。スタッフ一同、お待ちしています。

電話番号→06−6294−1331(代表) 
ボランティアホームページ→http://www.onh.go.jp/volunteer/
患者情報室ホームページ→http://www.onh.go.jp/jouho/jyohousitu.html


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      看 護 の こ こ ろ 
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                  ICU副看護師長 中津 春美

 看護師として当院に就職し、9年目となりました。今回、皆様にご紹介するエピ
ソードは、私がICU3年目のスタッフとして働いていた時のことです。
 初めて心臓血管外科の患者の担当をすることとなりました。患者は、Mさんとい
う70代の男性で、冠動脈バイパス手術を受けるために入院されていました。手術前
訪問では、「不安はあるけど、もう一回頑張ってみようと思って、手術を受けよう
と決めました。手術では、腕の血管を取るって言われたけど、それはお断りしまし
た。腕の血管を取るとしびれが出るって聞いてね。これでも若い頃から楽団でバイ
オリンを弾いていて、今は施設なんかでボランティアで演奏してるんですよ。手が
しびれたらバイオリンが弾けなくなるから、足の血管を2本使ってくださいと先生
にお願いしました。」とおっしゃられました。私は、患者様がどの血管を使うなど
という選択を行っていらっしゃることに驚きました。そして、Mさんは最後に「も
う一度命をつないで、いろんな人に私のバイオリンを聞いてほしいんです。だから、
手術、頑張ります。」と力強い言葉を口にされ、私としっかり握手をして下さいま
した。そして、私も「では、もう一度、手術が無事に終わって意識が戻った時に握
手をしましょうね。」と言って手術前訪問を終了しました。
翌日、Mさんの手術は無事に終了しました。手術直後は、挿入されているルートや
ドレーン類がとても多く、安全に管理することが重要となります。また、心電図の
変化・循環動態・呼吸状態の変動をいち早くアセスメントして異常の早期発見に努
めなければなりません。
私の判断ひとつでMさんの命を脅かすことになるという緊張感と大きな責任感の中
で看護を行っていました。何もかも初めてという中、私自身が生きた心地がしない
という状況でした。
しかし、Mさんは心臓リハビリテーションも進み、順調に回復されICUを退室されま
した。退院の時には、わざわざICUに来て下さり、私に向かって「私はICUで天使に
出会いました。その天使のおかげで、こうしてまたバイオリンを弾くという楽しみ
を与えてもらいました。命を大事にし、これからも人のためにバイオリンを弾き続
けます。」といわれ、その言葉を聞いて私はとても心が温かくなりました。
そして、Mさんはその年、当院で行われたクリスマスコンサートにボランティアで
参加されました。初めてMさんが演奏される姿を見た時には涙が止まらず、「Mさん
の生きがいを守ることができて本当に良かった。」と心から感動しました。
3年目という、まだ看護師として一人前でない私を「天使」だとおっしゃって自信
を与えて下さったMさんには、本当に感謝しています。
 そのMさんと最近再会しました。わざわざICUまで、いるかいないかわからない私
を尋ねてきて下さいました。6年ぶりの再会は少し恥ずかしい気持ちと「今も忘れ
ずにいて下さる。」という嬉しさでいっぱいでした。数分間の再会でしたが、元気
な姿を拝見できたことと今もいろんな施設でバイオリン演奏を行っていると聞き、
本当に嬉しくなりました。
 これからは、患者さんのことを中心に考えられるスタッフを育成し、ICU看護の
質の向上を目指していきたいと思います。また、私自身の経験を後輩たちに伝え、
看護観を語り、自己の看護実践を見せて役割モデルとなっていきたいです。そして、
患者さんや家族の言葉を、自分自身の事のように考えられるスタッフ育成にも取り
組みたいと思っています。

ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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                 研修医2年目 中川 健太郎

 研修医2年目の中川健太郎です。研修開始当初は慣れないことの連続で、毎日毎
日を必死で乗り越えてきましたが、気づけば、研修医としての生活も残りわずかと
なってきました。ここで当院での研修の最初の半年程度について簡単にまとめてみ
たいと思います。

<4月>
 まず一か月弱の期間、オリエンテーションがあり、医療人としての心構えや、カ
ルテの使い方、基本的な手技、各診療科の特色などを学びます。月末からローテー
ターとして、各科に配属されます。4月は当直はなく、勤務時間も短いため、同期
の仲間と親交を深めるために、飲み会や、フットサルなどをしていました。
<5〜7月>
 ようやく本格的な研修が始まります。私は外科からのスタートでした。今までし
たことのない点滴やガーゼ交換などの病棟業務と、長時間の手術などで精神的・身
体的にとても大変でしたが、上級医のサポートがあり、なんとか楽しく研修できま
した。当院では外科は必修で、通常は3か月間消化器外科を研修をします。希望す
れば3か月目は他の外科系の科を研修することも可能です。最初に外科を研修する
ことはとても大変ですが、3か月という短い期間で基本的な手技を身につけ、精神
的にも大きく成長できると思います。
 また5月からは当直も始まります。2年目の研修医と2人1組で、時間外の救急外来
を担当します。月に2回〜4回程度あります。まだ右も左もわからない時期ですので、
初めのころは、2年目の研修医の指示通りに動くことだけで精いっぱいでした。し
かし慣れてくると、どんどん自分から動けるようになっていきます。
<8月〜>
ようやく仕事にも慣れてくる頃ですが、つらいことに、研修医は1〜3か月で診療科
が変わります。科が変われば、仕事の内容も大きく変わり、また仕事に慣れるのに
必死に頑張らなければなりません。私は8月は総合診療部で研修を行いました。初
診の外来を行うなど、いろいろな経験を積むことができました。総合診療部は1か
月だけの研修のため、1か月後にはまた別の科での研修が待っています。

 以上簡単に最初の半年間の研修についてまとめてみました。当院は大きな病院で
すので、あらゆる診療科が充実しており、まだ将来の専門にする科が決まってない
人にも、決まっている人にも両方お勧めできます。また研修医の数も多く、たくさ
んの同期や先輩、後輩とともに楽しく研修医生活を送れます。どうぞ一度見学に来
て、当院の雰囲気を味わってみてください。


                  研修医2年目 本行 秀成

2年目研修医本行秀成と申します。
簡単ではありますが当院での初期研修について書かせていただこうと思います。
<長所>
・中〜大規模病院にあたりますので診療科が充実しています。3次救命も研修でき
ます。
この規模の病院としては科と科の垣根が低いのではないかと思います。
・立地がとてもよく難波、梅田どちらにも近いです。
 息抜きできる場所が近いのは本当に助かります。
・同期が16人と多いことも長所になると思います。
 大人数での楽しいイベントが企画できます。
・研修医ルームがあること!!研修医専用の部屋ですので、院内で最も気を使わな
くて良い部屋です。仕事で疲れたり辛いときでもこの部屋があるおかげでなんとか
乗り切れたと思います。

<短所>
・2次救急が純粋なER形式でないこと(かかりつけ患者の時間外外来が主です)
・比較的手技の経験回数が少ないこと
・選択期間が4カ月と短いこと

 さてこのページを読まれている方は初期研修病院をどこにしようかと迷われてい
ると思います(実際迷いました)。
どうしても病院の長所短所はありますし、<雰囲気>が自分に合うかどうかで比べ
てみてはいかがでしょうか?いい加減な話のようですが意外と大事な気がします。
雰囲気をつかむためには病院見学が一番です。
病院見学も何となく遠慮してしまう人もいるかと思いますが(実際遠慮しました)、
見学に来ていただいて嫌な顔をする先生は全くいませんので安心して是非気軽にお
越しください。


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 楠岡英雄
編 集 長:副院長 恵谷秀紀、多和昭雄
     副院長・看護部長 渡津千代子 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 和食が世界無形文化遺産に登録され、和食の良さをあらためて認識し直していま
す。食材にこだわりながら旬を大事にしていきたいものです。おせち料理も楽しみ
ですね。では、皆様
佳い年をお迎えくださいませ。


http://m-maga.onh.go.jp
メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。

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