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 メールマガジン「法円坂」No.154(2014/3/17)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 ソチでオリンピックに続きパラリンピックが開催されました。連日のように日本
選手の活躍がニュースで流れオリンピックとは違った感動を覚えます。寒いといっ
て閉じこもらず春に向かって運動不足を解消したいと思います。今年度最後のメル
マガをどうぞ。
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   メールマガジン「法円坂」No.154(2014/3/17)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 楠岡 英雄 です
 ・診療科紹介 脳神経外科(3)
 ・ボランティア「絵本サークル どんぐり」のご紹介と
  ボランティア活動へのお誘い   
 ・看 護 の こ こ ろ
  ・研 修 医 日 記
 
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         院 長 楠岡 英雄 で す 
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 先日、MTPro(Medical Tribune Pro)というサイトで興味ある記事を見つけまし
たので、今月はこの話を紹介させていただきます。

 記事のタイトルは「医療ドラマのおかげでコバルト中毒を診断 ドイツの医師ら
がLancetに症例報告」です。詳細は記事を読んでいただければよいのですが、要点
は、「ドイツの医師がコバルト中毒による心筋症と診断された55歳の男性に関する
症例報告をLancetに行った」というものです。コバルト中毒は50歳以上の男性にお
ける心筋症の原因としてよく知られているので、医学雑誌の中でも最も権威ある雑
誌の一つであるLancetになぜ掲載されたか、疑問に思われる方も多いと思います。
実は、ドイツの医師がこの診断をなしえたのは、男性の症状,治療歴が米国の医療
ドラマ「House」で放送されたエピソードと共通していることを思いだし、最終的
にコバルト中毒との診断に至ったので、掲載されたようです。

 コバルト中毒の原因は多くは職業上の曝露によるようですが、この男性には職業
上の危険因子はなかったそうです。しかし、上記のテレビドラマでの症状等からコ
バルト中毒に思い至り、精査したところ、人工股関節の破損によるコバルト中毒と
診断されたました。破損した人工関節を取り出したところ、患者さんの症候の進行
は止まり、やや改善しつつあるとのことです。

 「House」は、米国のFOXチャンネルで2004年から2012年まで放送された、1話完
結型のテレビドラマです。国内では、日本テレビやDlineで放映されていて(DVDも
発売されているようです。)、実は、私も一話だけ見たことがあります。かなり変
わり者の医師Dr.Houseが種々の検査データに基づき診断を進めていく過程を興味深
く見ました。部下の医師たちとのディスカッションや患者へのICなど、いろいろな
場面で「それはないだろー」と突っ込みたくなりましたが、その紆余曲折の診断過
程は実に緻密に組み立てられていて、感心させられました。

 今回の報告はドイツの大学病院の医師らによるものですが、この大学では
「House」を医学部の教育教材として取り入れているようです。日本の医学生には、
診断推論過程の勉強とともに医学英語の勉強にもなると思います。


MTPro(2014年2月12日) 
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/1402/1402034.html

Kirsten Dahms, Yulia Sharkova, Peter Heitland, Sabine Pankuweit, Juergen R
 Schaefer. Cobalt intoxication diagnosed with the help of Dr House. Lancet
 2014; 383: 574

Dr.House:ウィキペディア(http://ja.wikipedia.org/wiki/Dr.HOUSE)


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       診療科紹介 脳神経外科(3)
       脳血管障害の診療について
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                    脳神経外科 科長 
                    中島 伸

 今回のメルマガは当院における脳血管障害の診療についてです。当院では脳神経
外科医のほか脳卒中内科医、循環器内科医と連携しながら脳血管障害の治療を施行
しています。

 まず基本的知識として知っておくべきは、脳血管障害、いわゆる脳卒中にはクモ
膜下出血、脳出血、脳梗塞の3種類があるということです。これらのうち、通常当
初より外科的治療を要するのは、クモ膜下出血と脳出血で、これらに加えて超急性
期の脳梗塞については、我々、脳神経外科医と脳卒中内科医とが協力して診療にあ
たっています。また、慢性期になって内科的治療のみでは改善しない脳虚血状態も
脳外科的な治療の対象となることがあります。以下、これらの診療について順に述
べていきます。
 クモ膜下出血は元々患者さんがもっている脳動脈瘤が破裂して起こるもので、突
然の強い頭痛と嘔気を特徴とします。治療の目標は時系列に沿って3つあり、順に
脳動脈瘤の再破裂防止、脳血管攣縮の治療、水頭症の治療となります。このうち最
も大切なのが脳動脈瘤の再破裂防止で、開頭手術によって破裂脳動脈瘤にクリップ
をかけて閉塞するネッククリッピングと血管内治療によって破裂脳動脈瘤の中にコ
イルを詰めて閉塞する塞栓術の2種類に大別されます。実際の治療においては、動
脈瘤の位置やサイズ、形状によって、開頭手術か血管内治療のうちの、より適した
治療法を選択し治療にあたります。
 次に脳出血ですが、おおむね出血部位が大脳なら直径5センチ以上、小脳なら直
径3センチ以上で手術による治療を考慮します。以前は開頭血腫除去術が主流でし
たが、最近は内視鏡で血腫除去する方法が徐々に普及してきました。
 そして超急性期の脳梗塞です。突然の片麻痺や失語があった場合、発症から4.5
時間以内であればt-PA治療を考慮します。t-PAが無効であった場合であっても発症
から8時間以内であればメルシーレトリーバーやペナンブラシステムと呼ばれる血
管内血栓除去デバイスが用いられ、閉塞した血管の再開通率が大きく向上しました。
 最後に慢性的な脳虚血状態に対する脳外科的治療とは、すでに閉塞してしまった
り高度な狭窄をきたしている血管の灌流範囲に、新たに血行再建を行う治療です。
これには、開頭手術での血管吻合によって新たに血行を再建させるバイパス術とい
う方法と、閉塞あるいは狭窄している部位を、血管内治療により再開通させたり狭
窄を拡げたりする方法があります。治療法の選択は、それぞれの閉塞、狭窄してい
る部位や血流状態の程度により考慮しています。

 さて、上記のような形で急性期を乗り切ったり、慢性的な虚血状態から脱した後
の脳血管障害治療では、片麻痺や失語に対するリハビリとともに、原疾患の再発予
防が重要になってきます。脳血管障害のような生活習慣病は、長期にわたる医師患
者関係が発症予防のカギだといっても過言ではありません。当院は地域のリハビリ
施設やクリニックと協力しながら、個々の患者さんの幸福実現を目指したいと考え
ております。是非これからもよろしくお願いいたします。


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     ボランティア「絵本サークル どんぐり」のご紹介と
      ボランティア活動へのお誘い     
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                    ボランティアコーディネーター
                    藤本 和彰

 平成26年4月1日より、ボランティアグループ「絵本サークル ぶくぶく」のグル
ープ名が、「絵本サークル どんぐり」に変わります。
「絵本サークル ぶくぶく」は、平野青少年会館での読み聞かせ講座修了生により
立ち上げられた、奥田 良子(おくだ ながこ)さんを代表とするグループです。絵
本の読み聞かせ・紙芝居・パネルシアター・エプロンシアター・ペープサート・手
遊び等、絵本の素晴らしさ、楽しさをたくさんの子ども達に伝えるため、当病院の
他にも、養護施設・平野区内の図書館・子育て支援センター・幼稚園、小学校等々
いろいろの場所で幅広く活動されています。グループの活動は、11年目を迎えまし
た。また、大阪医療センターでのボランティア活動は、平成18年(2006年)7月に
開始され、8年目を迎えています。
「絵本サークル どんぐり」は、「絵本サークル ぶくぶく」の活動が11年目と成っ
たこの機会をもって独立、活動範囲も大阪医療センターを拠点とするグループとし
て誕生しました。

「絵本サークル どんぐり」の活動は、
・活動日   第1・第3・第5木曜日
・活動時間  10時30分〜12時00分
・活動内容  ・プレイルーム、ベッドサイドでの読み聞かせ・パネルシアター
・エプロンシアター・紙芝居・ペープサート・手遊び・貸し出し図書
 を行います。
 
 小児科病棟の病室での限られた空間で、入院生活を送っている子ども達に、絵本
の読み聞かせやパネルシアター・エプロンシアター・紙芝居・ペープサート・手遊
び等をして、楽しいひと時を過ごしてもらい、子ども達の元気に繋がればとの思い
を込めて活動しています。
 また、病院での読み聞かせがきっかけで、少しでも絵本が好きになってくれれば
と願って、プログラムを考えています。
ボランティア活動を通じて、社会の一員として人間的に成長出来ることを実感して、
活動に参加しています。活動内容やグループメンバーに変わり有りません。今後と
も宜しくお願いいたします。
               「絵本サークル どんぐり」代表 畑中 一美


 平成26年(2014年)4月、スタートラインでのボランティアメンバーは11名です。
「絵本の読み聞かせ」ボランティアに興味のある方は、是非参加してください。
一緒に活動してみませんか。
管理課ボランティア担当までご連絡ください。

・電話番号→06−6294−1331(代表) 
・ボランティアホームページ → http://www.onh.go.jp/volunteer/

お待ちしています。


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      看 護 の こ こ ろ        
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                 西9階病棟   松尾美春

 暖かい春の日差しが心地よく感じる季節となってきました。皆様いかがお過ごし
でしょうか。今年度もあと1ヶ月を切り、すぐに新年度がやってきます。この時期
は別れの季節でもあり、出会いの季節でもあります。4月にはまた、たくさんの人
たちと出会えることがとても楽しみです。
 私は今年で看護師9年目になります。整形外科病棟で8年、その後副師長として
外科病棟へ異動となり1年が経とうとしています。今回、「看護のこころ」という
テーマをいただきましたので、私が看護する上で大切にしている事をお話ししよう
と思います。
 私は看護学生時代の整形外科実習で、患者様が痛みのある中リハビリを頑張り、
少しずつ回復に向かっていく姿をそばでサポートできることに魅力を感じ、整形外
科病棟への配属を希望しました。
 私が3年目の頃に受け持たせていただいた患者様です。手術目的で入院されまし
たが、手術を決心するまでに長い間痛みに耐え自宅で療養されていました。痛みの
せいで自宅ではトイレ以外はほぼ寝たままで過ごされており、筋力低下も進行して
いました。術後早期にリハビリが開始となりましたが、患者様はリハビリに対して
消極的でなかなか日常生活動作の回復がみられませんでした。私は受け持ち看護師
として焦りを感じ、日々必死になって歩行練習を促した事を覚えています。しかし
患者様はリハビリを促す度に、「もういいから。歩けないよ。そっとしておいて。」
と言われるばかりでした。進まない計画に頭を抱えていた私に、ある時先輩看護師
が「患者さんには退院後どうなりたいか聴いてみた?患者さんがリハビリに消極的
な理由は何か考えたり聞いてみたりできてる?」と言われました。私はその時とて
もショックでしたが、同時に自分の考えを患者様に押しつけていることにも気づき
ました。患者様のベッドサイドへ行き、自分本意だった関わりを反省している事を
話してみました。すると患者様は「あなたが悪いんじゃないのよ。ただやっとの思
いで受けようと決めた手術だったし、無理をしてまた悪くなってしまわないかとて
も怖い。私でも出来るリハビリはある?」と言われました。また手術を受けようと
決めたのは、孫を抱きたい、一緒に遊びたいという目標があったからでした。それ
からは患者様としっかり話をしながら、退院時の最終目標に向かって、日々小さな
目標を設定しリハビリを進めていきました。患者様は、はじめ数メートルしか歩行
できなかったところから、病棟1周の歩行ができるまでに回復されました。小さい
目標でも日々達成していくことで患者様のさらなるやる気につながり、回復をそば
で感じる私は嬉しくて仕方がありませんでした。
 この経験から、自分がどのような状況でも患者様の思いや考えに耳を傾け、その
人の個性を大切に看護していきたいと感じました。患者様のことを知れば知るほど、
その人らしさが見えてきて関わるのが楽しくなってきます。これからもこの思いを
大切にして看護師として患者様に接していきたいと思います。


ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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                 研修医2年目 山田 修平

 始めまして。研修医2年目の山田修平です。
 この原稿を書いているのは3月の上旬で、2年間の初期臨床研修期間もあとわずか
となってしまいました。
この研修医日記を読んでいる方は、当院での臨床研修を考えている医学生から受診
している患者さんまで多様な方がいらっしゃると思いますが、ここでは当院での臨
床研修を考えてくれている後輩達へ向けて、深夜のテンションで、少しだけ書いて
みようと思います。僕なりの視点であるため、多くのご批判やご指摘があるかもし
れませんが、何卒ご容赦ください。
まず、僕は当院で臨床研修をすることができて非常に良かったです。
ただ、僕は当院でしか臨床研修をしていないため、偏見がありますが、どこの病院
へ行っても、研修内容としては大差ない、なかったのではないかと思っています。
臨床研修医を受け入れることができる病院であれば、数はどうであれ指導熱心な先
生はいらっしゃるでしょうし、勉強できる環境はあるかと思います。後は個人のや
る気次第、コミュニケーション能力次第ではないでしょうか。僕は当院で勉強させ
ていただくにあたり、尊敬できる先生に出会いましたし、刺激を受ける同期にも恵
まれたと思います。
見学に来てくれた学生には必ず言っていますが、同期はある程度の人数がいた方が
良いかもしれません。もちろん手技の数が減るというデメリットはあるかもしれま
せんが、当院ほどの規模の病院だと手技の絶対数が多いですし、なによりも同期数
人しかいない病院で気の合う同期がいないというのはつらい2年間になるリスクが
大です。当院は同期が16人もいるので、そういう点では問題ないですね。また当院
には研修医ルームがあるため、2学年32人が一つの部屋で机を並べ、時にカルテを
見ながらディスカッションしたり、時に机で突っ伏して寝ていたり、時に愚痴をこ
ぼしあったりと、ワイワイやっています。
やはり仕事、勉強をしていく上で、モチベーションを維持してくれるものがないと
継続することは困難でしょう。学生の頃にはそこまで実感しませんでしたが、モチ
ベーションを維持してくれる一つには、患者さんの笑顔がありますね。手術で夜遅
くなって、深夜に会いに行った病室の患者さんの笑顔でまた頑張ろうと思うことも
沢山あります。
ただ、上記のような同期、先輩、後輩との関係性がこの2年間の、そしてこれから
のモチベーションになっていることは間違いありません。
 結局ある程度同期の人数がいる病院で、臨床研修医を受け入れている病院であれ
ば、そこまで大差はないと思います。よってなにを基準に病院を決めるかですが、
やはり雰囲気、立地、お給料、衣食住などでしょうか。僕の場合は、3年目残りた
い科の雰囲気、立地が大きな決め手だったと思います。もちろん当直のシステムや
ローテートしなければならない必修科、選択期間の長さも大事だとは思っていたは
ずです。お給料は立地の割に意外に良くラッキーでした。
もう一度言いますが、僕自身は当院で臨床研修をしてとても満足しています。
しかし、どこの病院でもそうでしょうが、当院もWeak Pointが全くないわけでは決
してありません。研修内容もそうですし、それ以外でもあります。当直、選択期間、
国立病院機構、事務、駐車場など。ただ、詳細を書くとこの研修医日記がホームペ
ージに載らないので、箇条書きにしておきますwww
Strong PointもWeak Pointも詳しくは見学に来ていただいた時に話しましょう。4
月以降も当院脳神経外科で働く予定ですので、ぜひ脳神経外科志望ではない人も訪
ねてきてください。その上で当院での臨床研修を選んでいただければ幸いです。

            2014年3月9日   もうすぐ脳神経外科 山田修平


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 楠岡英雄
編 集 長:副院長 恵谷秀紀、多和昭雄
     副院長・看護部長 渡津千代子 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 人事異動の4月を前に何かと人の動きが慌ただしい3月です。東日本大震災から
3年経過しました。災害に対しての意識と取り組みはどの施設であっても強化して
いきたいものです。では26年度第1回の次号でお会いしましょう。

http://m-maga.onh.go.jp
メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp 

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