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メールマガジン「法円坂」No.159(2014/8/15)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 8月9日(土)から10日(日)にかけて、台風11号が接近、久しぶりに大阪の西側
をとおりました。結構な雨風(あめかぜ)でしたが、被害はございませんでしたか?
今回の台風11号、名前をHALONG(ハーロン)というのだそうです。気象庁のHPをみ
ると14か国が集まった台風委員会で140個の名前を決めて平成12年から順番に使っ
ているとのこと、ハーロンは56番目にありました。メルマガ8月号をお届けします。
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   メールマガジン「法円坂」No.159(2014/8/15)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 楠岡 英雄 です
 ・ご挨拶 脳卒中内科科長 橋川 一雄
 ・診療科紹介 心臓血管外科(2)
 ・「第17回・大阪医療センターボランティア総会」を終えて
 ・看 護 の こ こ ろ
  ・研 修 医 日 記
 
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         院 長 楠岡 英雄 で す 
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「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(案)に関するパブリックコメン
トの募集が始まっています。

 臨床研究の実施にあたっては「臨床研究に関する倫理指針」を遵守するように求
められています。人を対象とした研究についての倫理的規範としては「ヘルシンキ
宣言」が有名ですが、「臨床研究に関する倫理指針」もヘルシンキ宣言に基づいて
います。

 しかし、我が国には、「疫学研究に関する倫理指針」と「臨床研究に関する倫理
指針」の2つの倫理指針があり、両者には共通点も多いが異なる部分もあり、また、
実際に研究を行うにあたってどちらの倫理指針に従って行うべきか、迷うこともあ
りました。そこで、両指針の一本化をも視野に入れて、倫理指針の見直しに係る専
門委員会が平成24年10月に設置され、1年半以上にわたる検討を行ってきました。

 また、この検討を行っている間に、高血圧症治療薬バルサルタンを用いた大規模
臨床研究にまつわる不祥事が次々と明らかとなり、研究の信頼性を担保するための
方策に関する検討も必要になりました。

 いずれの指針も5年ごとに見直されてきていますが、今回も、最近の研究事情を
考慮した対応がなされています。例えば、遺伝子や診療情報を収集し、他の研究機
関に提供することを目的とする「バンク」や「アーカイブ」事業に対する規定など
です。

 臨床研究でも1つの集団を長期にフォローする研究がありますが、臨床研究で最
も多い、薬品等の有効性と安全性を確認する、いわゆる「臨床試験」では、長くて
も5−6年で終了します。一方、疫学研究には「生まれてから成人するまで」、あ
るいは、「壮年から死亡まで」のように、きわめて長期間かかる研究もあります。
すると、インフォームド・コンセントの受け方も臨床試験と長期の疫学研究では当
然異なってくるので、指針の統合においては、それを整理しておく必要がありまし
た。

 また、これまでは、倫理指針は、研究の科学性と倫理性を担保することに重点を
置いていましたが、バルサルタン事件を受け、研究の信頼性nの保証も求めるもの
となっています。ただ、全ての「人を対象とする医学系研究」に求めるのではなく、
その内の「侵襲(軽微な侵襲を除く。)かつ介入を伴う研究」、すなわち「臨床試験」
に、「研究に関する試料・情報等の保管」と「モニタリング・監査」が求められる
ことになりました。

 「研究に関する試料・情報等の保管」については、「研究終了後5年又は結果の
最終公表後3年のいずれか遅い日までの期間、保管」することが義務付けられます。
また、研究責任者に対して、「モニタリングや第三者的な立場の者による監査の実
施」が義務付けられます。

 さらに、全ての研究において、「利益相反の管理」をしっかりと行うことが求め
られます。

 これらの改正は、信頼性の保証された研究を実施するためには是非とも必要なも
のです。しかし、モニタリングや監査の実施には、人手や費用がかかります。今、
新薬開発のために行われる臨床試験(治験)のコストが問題になっていますが、そ
の原因の1つに、モニタリング等に関わる費用が高額であることが指摘されていま
す。治験と同様のモニタリング・監査を行おうとすると、多くの研究では、とても
現状の研究費でまかないきれません。

 モニタリングの実施の義務化については検討会でも議論がなされました。「モニ
タリング等の経費が負担できないから研究をあきらめる」ということになっては、
倫理指針が研究振興の阻害因子になってしまうと心配する意見もありました。

 しかし、研究そのものへの信頼性を確保することは、今、最も取り組まねばなら
ないことであり、欧米諸国では実施されていることですので、我が国でも遅ればせ
ながら、同じ水準を設ける必要があるとの意見に集約されました。

 「研究に関する試料・情報等の保管」と「モニタリング・監査の実施」について、
是非、現場で研究を行っている臨床家の意見を寄せていただきたいと思います。特
に、「モニタリング・監査の実施」については、全ての臨床試験で必要なのか、合
理的基準に基づき一部を省略することができないのか等、いろいろご意見があると
思います。

 パブリックコメントの提出期限は、平成26 年9月7日(日)必着(電子メー
ルで送付)です。詳しくは、下記のURLをご覧ください。

 なお、私は、「疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直
しに係る合同会議」の委員長代理であることを申し添えます。

 http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=
185000707&Mode=0
 パブリックコメント:意見募集中案件詳細
 その他:「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(案)に関するパブリ
ックコメント(意見公募手続)の実施について


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      ご 挨 拶 (脳卒中内科 科長)      
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                      脳卒中内科 橋川一雄

 5月1日に脳卒中内科科長として赴任しました橋川一雄です。当科は主に急性期脳
梗塞の治療を担当しています。最近、脳梗塞治療の話題となっているのが、急性期
に詰まった血管を再開通させるt-PA静注療法であり、また、カテーテルによって詰
まった血管を再開通させる血管内治療です。実はもう一つ近年著しい進歩を遂げて
いる脳卒中治療分野があります。それは、リハビリテーションを中心とする後遺症
の機能回復の治療です。以前からリハビリテーションには6ヶ月の壁があると言わ
れてきました。脳卒中では手足の麻痺や言葉がしゃべれないなどの症状が突然出現
します。これらの機能の回復には出来るだけ早期にリハビリテーションを開始する
ことが重要であることが示され、実践されてきました。リハビリテーションを始め
たころには日ごとの改善が実感されることが多いのですが、次第にその変化は小さ
くなります。6ヶ月を過ぎると症状がほぼ固定し、以降の改善は望めないとされ6ヶ
月の壁と呼ばれたのです。ところが、科学的に神経伝達の疎通を良くする試みが研
究実践され6ヶ月を過ぎた症例にもおいても明らかな改善を認めることがあること
が示されてきました。これらの技術の背景は神経そのものの再生は難しくても神経
のつながりは回復できることを前提としています。昨今では神経細胞そのものを移
植することも試みられつつあります。
 このようなリハビリテーションの発達があっても、やはり最初の脳障害の程度が
機能予後を決めるもっとも大きな要因であることには変わりありません。当科の役
割は早期の治療によって急性期の脳障害を小さくすることと考えております。
今後ともよろしくお願いいたします。


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      診療科紹介 心臓血管外科 (2)       
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                   心臓血管外科科長 榊 雅之

 最近特に心臓血管外科で話題となっているのが、大動脈弁狭窄症(左心室の出口
にある弁が硬く開かなくなる病気で、重症例では心不全や突然死を引き起こす)に
対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)です。従来は、胸を開いた後に人工心
肺を装着し、心臓を止めてから硬くなった大動脈弁を切除し、その代わりに人工弁
を縫着していました。これに対してTAVIは、ソケイ部(大腿の付け根)の動脈より、
細く折りたたんだ人工弁を装着した直径約1cm弱のカテーテルを挿入し、心臓まで
運んだのち、硬い大動脈弁をバルーンで押し広げて新しい人工弁を留置する低侵襲
手術なのです。
2002年にフランスで初めて患者さんに応用され、ヨーロッパを中心に現在まで世界
中で約7万人以上の患者さんに使用されています。日本でも昨年10月から保険診療
として認められるようになり、全国33の認定施設において8か月間で約500例(従来
の手術の約10%)もの患者さんに施行されています。
*当院でも適応と考えられる患者さんは、提携先の認定施設である大阪大学へ紹介
しております。

 私も先月行われた第1回目の日本TAVI研究会に参加してきました。従来の手術で
はリスクが高すぎて無理と言われていた90歳前後のお年寄りに対してTAVIが施行さ
れ、翌日には笑顔で歩いている様子(まるでテレビドラマの1シーンのような)が
報告される一方で、手術中に重篤な合併症を発症し、その後亡くなられたという残
念な報告もありました。現在のところはまだ低侵襲化イコール安全とはいかないよ
うです。また、人工弁の長期間の耐久性は確認されておらず、いつ破損するかもし
れないという心配も併せ持っています。したがって、今のところTAVIの適応となる
患者さんは、従来の大動脈弁置換術に耐えられないような重症の持病を持っておら
れる方や超高齢者に限定されています。
 ただ、この分野の医療器具の進歩は目を見張るものがあり、世界中で日々新しい
ものが開発されています。きっと10年後、20年後には、安全で長期間の耐久性を持
つものが登場し適応が拡大されていることでしょう。

 心臓血管外科はリスクの高い手術が多いのですが、昔と違って最近は数多くの新
しい治療法を選択できるような時代になって来ました。私たちは、ひとりひとりの
患者さんの背景、体力および心臓病の種類や程度によって、どういった手術が一番
ふさわしいのだろうか?ということをご本人、ご家族とともに相談していきたいと
考えています。
これからもよろしくお願いします。


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   「第17回・大阪医療センターボランティア総会」を終えて
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                    ボランティアコーディネーター
                    藤本 和彰

 7月29日、当院視聴覚室において「第17回・大阪医療センターボランティア
総会」を開催しました。例年ボランティア総会は、第一部・記念講演会、第二部・
総会(表彰式)、第三部・懇親会の3部構成で行います。
今年の総会の出席者はおよそ60名。たくさんの方々がおいでいただき、ありがと
うございました。お陰様でボランティアの皆さまと病院職員の皆さまとで、お互い
の懇親を深めることができました。また、ボランティア総会が事故もなく無事に終
わりましたことに感謝いたします。

*記念講演会

 記念講演は、「院内感染対策について」。当院感染症内科・上平 朝子(うえひ
ら ともこ)先生に、「感染症とは?」「院内感染対策について」「メタロβラク
タマーゼ(MBL)産生腸内細菌科細菌の集積について」を内容にご講演いただき
ました。
当院での院内感染事例は、「メタロβラクタマーゼ産生腸内細菌科細菌の集積」が
報告されています。3月にはホームページ等で公表され、患者さん・ご家族等にも
情報提供されました。そのため、当院に勤務する医療従事者には感染対策の実践が
これまで以上に強く求められていることを感じると共に、変化も感じています。

今回の講演では、
(1)感染症のことを正しく理解することが大切である。
(2)院内の感染防止対策は、院内のすべての職員(ボランティアも含め)がその
役割を果たしていることを認識し、医療施設全体として対策に取り組むことが重要
である。
(3)感染症予防の基本中の基本である、正しい方法での手指衛生を徹底する。
ことが、院内感染対策として大切な要素であることを学びました。

 患者さんに触れることのある私たちが、今回学んだ事を実践し微力ながら院内感
染の予防に努めたいと思っています。少し内容のむずかしい講演ではありましたが、
大変有益なお話しを拝聴することができました。ありがとうございました。

*総会(表彰式)

 総会は楠岡 英雄院長の挨拶で始まりました。ボランティア皆さまへ感謝と労い
の言葉をいただきました。また、新築された臨床研究センターや新病院建築の構想、
今話題のIPS細胞を使った再生医療への取り組みなど、病院の近況・将来の展望
についてお話し下さいました。

 表彰式では、単年度表彰者(平成25年度、年間を通じ積極的に活動に取り組ま
れ、医療サービスの向上にご功労いただいた方を表彰)35名と、活動累計時間
(ボランティア活動表彰細則に基づき選出)での表彰者31名の方々に感謝状と副
賞が贈られました。
また、「絵本サークルぶくぶく」「綿の花えほんの会」の2グループにグループ賞
を、そして、今回6000時間を達成され当院医療サービスの向上に大きく貢献さ
れた、法円坂グループ・細野 亘さんにその功績を讃えられ、特別賞が贈られまし
た。
平成25年度、大阪医療センターボランティアグループ全体の活動状況は、活動延
べ人員:1346人、活動延べ日数:2528日、活動延べ時間:7515時間。
平成25年度活動報告と平成26年度活動計画の報告を行い終了しました。
 ボランティアの皆さま、本当にいつも当院のボランティア活動にご協力いただき、
ありがとうございます。今後も引き続き当院患者さん、職員へのご支援・ご協力を
お願いいたします。

*懇親会

 「お久しぶり、元気だった?」と会場のあちらこちらで交わされる会話と笑顔。
懇親会には、普段院内でもほとんど顔を会わす機会の少ない院長先生をはじめ、幹
部職員の皆さま、副看護部長、看護師長等多くの職員が参加してくださいました。
また、活動時間と場所が違うと中々会うことの出来ない多くのボランティア仲間に
会うことが出来たのではないでしょうか。
幹部職員皆さまから感謝と労いの言葉をいただき、また、職員皆さまの心温まるお
持て成しを受けることが出来ました。ほんの僅かな時間の中、ヘルシー(?)なご
馳走をいただきながら、お互いの懇親を深めることができ、嬉しく思っています。
今年も猛暑日が続く、本当に暑い夏を迎えました。熱中症に罹る患者さんが後を絶
ちません。一つ年を重ねるごとに、回復が遅くなるように感じます。しみじみと健
康あってのボランティアであり、家族の援護があってのボランティアであることも
痛感しています。
今年も参加くださった皆さま、本当にありがとうございました。
「お久しぶり、元気だった?」と交わされる会話と笑顔。総会が終了した後の運営
委員の皆さんの達成感と充実感にあふれた笑顔。こんな笑顔がいっぱいのボランテ
ィア総会が今後も毎年行えればいいな・・・と思います。
 どうぞ、皆さまも十分な体調管理を心がけ、また来年も元気で再会出来ることを
望んでいます。最後に、今回のボランティア総会にご尽力いただいた方々に御礼申
し上げます。ありがとうございました。

 大阪医療センターでは病院ボランティアを募集しています。
病院で自ら進んで労力、時間、技術などを提供して、患者さんに優しさと潤いを提
供すると共に、活動を通じてボランティア自身の成長にもつながる活動です。資格
は特に要りません。自分自身が健康であり、優しさと何事にも積極的に取り組む気
持ちがあれば活動できます。
また、活動方法は、個々のライフスタイルに応じて決めていただいています。服装
は活動しやすい服装で構いませんが、エプロン・胸章など用意しています。
「一緒に活動してみませんか!」ボランティアを希望されます方、管理課ボランテ
ィア担当までご連絡ください。お待ちしています!

・管理課ボランティア担当    TEL:06−6942−1331(代表)
・ボランティアホームページ→ http://www.onh.go.jp/volunteer/


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      看 護 の こ こ ろ        
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                 東11階 副看護師長 嶋津享子

 本格的な夏を迎える時期になりました。私は脳神経科病棟に副看護師長として異
動し、今年で3年目となります。異動の当初は環境になれることに精一杯でしたが、
師長や先輩副看護師長、スタッフに支えられ現在は楽しく仕事をしています。また
患者さんが会いに来てくださったり、感謝のお手紙をいただくこと、患者さんが日
々元気になっていく姿や笑顔からパワーをもらい充実した日々を送ることが出来て
います。

 私が勤務する脳神経科病棟の多くの患者さんは、脳出血や脳梗塞で突然発症し入
院されます。発症後、意識障害や麻痺、失語症などの身体症状の変化が起こり、ト
イレに行けない、食事が食べられないといった今まで出来ていた日常生活行動が行
えず、また意識障害や失語症で自分の意志をきちんと伝えることが出来ません。そ
のため、患者さんはもちろん家族にとっても動揺が大きいです。そこで、患者さん、
家族にどのような看護を提供したらよいのか日々他職種を交えて話し合いの場を持
っています。その中でも、印象に残っている患者さん、家族についてお話ししたい
と思います。
 ある患者さんは脳梗塞で緊急入院されました。脳梗塞から右片麻痺と失語症とな
り、1日のほとんどをベット上で過ごし、コミュニケーションはYES、NOで行い、
食事は看護師介助の下で美味しそうに食べていました。リハビリ病院への転院の話
が進む中、既往の心疾患から心・腎機能が低下し、透析・点滴による薬物・酸素療
法が始まりました。患者さんの呼吸は努力様でしたが、食事のニードが強く、医師・
看護師ともに本人に食べる意欲のある間は、食べてもらいたいという思いを持って
いました。看護師は患者さんの食事のニードを満たすことが出来るように、STと協
力し、誤嚥に注意しながらゼリーの摂取介助を行い、亡くなる4日前まで食べるこ
とが出来ました。病態はさらに悪化し、病状説明を受けた家族からは呼吸を楽にし
てほしいとの思いが聞かれました。その後、家族の元に行き、呼吸を楽にしてほし
いという強い思いが確認できました。医師に再度、家族の思いを伝え、翌日緩和ケ
アチームに相談することになりました。翌日から麻薬の開始となり、家族からはし
んどい呼吸をしている患者さんに何も出来ない無力感から少し開放されたという発
言が聞かれました。看護師同士では、今何が出来るのか話し合い、本人が少しでも
安楽な呼吸となる体位保持、好きなジュースで口を湿らせる、患者さんと家族が落
ち着いた部屋で過ごせる環境作りなどを考えました。その3日後に家族に見守られ
永眠されました。

 日々看護する中で、まず患者さん・家族の思いを受け止め、看護師として何が出
来るのか考えること、他職種と目標、思いを共有することが大切です。これからも
患者さん・家族の思いに寄り添い、スタッフや他職種と話し合いの機会を持ち、当
病棟で入院してよかったと思ってもらえるような看護を提供していけるように頑張
っていきたいです。


ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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                     研修医2年目 清川 博貴

 研修医としてめまぐるしい日々を過ごし、漸く1年少し。初期研修プログラムと
してはやや短い4ヶ月という選択科の期間を、今顕微鏡の前で過ごす日々を送って
います。同期には外科や消化器内科、循環器内科といったメジャー科を志望する人
もいれば、小児科や眼科を考えている人も。そして16人中、自分を含めて2人の病
理志望がいるという、少し珍しい学年です。たとえ病理志望であっても患者さんを
診察し、手術に入り、そして当直をこなす現在の初期研修プログラムは、確かに専
門分野の鍛錬が遅れるデメリットはありますが、様々な病気の時間的経過を見るこ
とができたり、病理検体が採取される過程を見る事ができたりする点では、悪くな
いんじゃないかな、とも思っています。それに、病気が良くなって帰って行く患者
さんの姿をみるのは、やっぱり良いものです。
 おそらくこの研修医日記を見ている人の大半は、初期研修先を悩んでいる医学部
生でしょう。少なくとも僕は、初期研修先として大阪医療センターを選択したこと
は間違っていなかったと思っています。ただ、初期研修に何を望むかによって、そ
れは大きく変わってくるはずです。僕の場合は、「腫瘍を数多く見られる病院であ
る」、「多くの科を回る事ができる」、「初期研修医の間にできる手技の多寡は問
わない」、「自学自習の時間を適度に取れる」などの基準でこの病院を選択し、実
際に満足できる研修を今のところ受けられていると感じています。しかし逆に言え
ば、「(当院ではあまり多くない)良性呼吸器疾患、膠原病、糖尿病以外の内分泌疾
患、神経変性疾患などを診たい」、「既に決まっている志望科を長期間ローテート
したい」、「自分で手技を数多くこなしたい」、「休む間もないくらいバリバリ働
きたい」、「逆に17時には家に帰りたい」などの希望のある方には、むかないかな
とも思います。
自分の中で絶対に譲れない点を考えた上で、見学に来られると良いかも知れません。
 当院で研修医が病理診断科をローテートするのは珍しいことのようです。けれど
切り出しの仕方から、「これって…癌…なんですか…?」みたいな質問まで、指導
医の先生方は丁寧に教えて下さいます。研修期間中は診断室にどんと立派なデスク
まで用意していただき、じっくり診断していると言った感じです。他科でも指導に
積極的な先生方が多く、学べる機会はそこら中に転がっている病院だと思っていま
す。建物はちょっと古いですが、「ソフト面」困ることは無いはずです。
 医学部生から初期研修医にかけての時間は、将来の進路を決めるべく何かと悩む
ことの多い時期なんだと思います。みなさんの目の前にあるたくさんの選択肢の幅
を狭めることなく、思う存分、自由に悩むことのできる研修環境が得られる事を祈
っています。もし当院がその候補となると感じたなら、ぜひ一度見学に来てみて下
さい。

                 
                     研修医2年目 堅田 奈月

 研修医2年目の堅田奈月と申します。当院の魅力や特徴はこれまでの先生方がと
ても詳しく説明して頂いていますので、私なりに「どんな初期研修を心がけている
か」について書き加えさせて頂きたいと思います。
 野球でもゴルフでもテニスでも、何かを習得しようとする際、基本が大事です。
基本フォームが土台となって上達していきます。臨床医学も例外ではなく、基本を
習得する事を意識して研修に臨んでみてはと考えます。初期研修の時期は医師とし
ての可塑性が高く、診療の基本を修めるのに最適な時期であると感じます。
 もちろん、心がけや目標は個人によって違ってくると思います。その手助けとな
るのが、医師の人生は長くて40年程ですが、自分が自立してくるであろう15年後を
イメージしてみることではないかと思います。2030年頃、日本は超高齢化社会の真
っただ中、多くの方が多彩な慢性疾患を持ち、複数の専門医にかかり、
polypharmacyが行われている社会を私はイメージしました。そこで、私は自分の専
門外の分野であっても、症状や所見に気づき他科に適切なタイミングでコンサルト
できたり、薬剤の相互作用に気づける医師になりたいと考えています。そのために
研修の心がけとして、医師同士が共有すべき考え方やルールとなるものは何かを意
識して研修しています。
 当院は高度に特化されたspecialistから成る総合病院で、日々研鑽されている尊
敬するスタッフやレジデントの先生方がたくさんいらっしゃいます。また、総合診
療科もあり、プライマリ・ケアを学べる環境もあることから、大変恵まれていると
感じます。当院は自由度が高い分、あとは本人のやる気次第で研修の充実度は違っ
てくると思います。
 私は、当院を選んで良かったと日々感じています。多くの科の先生方やコメディ
カルの方に指導して頂ける環境はもちろんですが、何より、医療チームのコミュニ
ケーションがとれており、活気のある職場です。
 まだまだ未熟な私が書かせて頂くのは大変恐縮ですが、これを通して、学生の皆
さんが自分にあった病院を見つけられる手助けになれば嬉しいです。


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 楠岡英雄
編 集 長:副院長 多和昭雄、中森正二、関本貢嗣
     副院長・看護部長 渡津千代子 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 8月と言えば、高校野球、ついつい見てしまいます。最近、タイムリーヒットを
打った時など選手が片手を大きく上げるしぐさがとても気になります。相手チーム
に対していささか礼を失しているのでは・・・・。プロ野球の阪神がホームランの
後にベンチ前でする決めポーズ(Gratiiiと言います)を挑発的?とか言う理由で
やめたのに・・・・。次号をお楽しみに。

メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp 

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