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メールマガジン「法円坂」No.163(2014/12/15)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



 12月と言えばクリスマスですが、先日、当院においても恒例のクリスマスコンサー
トが開催されました。いつも、ボランティアで演奏してくださるピアーチェという女
性ばかりのグループの方たちに指名されて会場の講堂の舞台で手話の「赤鼻のトナカ
イ」を一緒に演じさせられました。高校の文化祭以来の舞台で柄にもなく上がってし
まいました。
12月のメルマガをお届けします。
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   メールマガジン「法円坂」No.163(2014/12/15)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 楠岡 英雄 です
  ・ドクターG収録に参加して
 ・診療科紹介 救命救急センター(2)
 ・大阪府医師会フィルハーモニー「第10回オータムコンサート」を終えて
 ・看 護 の こ こ ろ
  ・研 修 医 日 記
 
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         院 長 楠岡 英雄 で す
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 毎年、この時期のメルマガでは、その年のアメリカ心臓学会(American Heart
Association;AHA)の年次学術集会における学会長講演を紹介しています。今年の
AHAの年次学術集会は11月16日から4日間、イリノイ州シカゴで開催されました。

 11月のシカゴはいつも寒いのですが、今年は異常な寒波が北米を覆い、日中でも氷
点下以下という強烈な寒さでした。ホテルや学会場は暖房が効いていましたが、学会
場への移動のバスを歩道で待つのはたいへんな苦痛でした。その後、ニューヨークな
どは大雪に見舞われたようです。

 この学会に出席する楽しみの1つは、初日に開催される開会式での学会長講演で
す。毎年、その時の循環器病学、循環器医療が直面している問題が取り上げられてい
ます。

 今年の学会長Dr. Elliot Antmanの講演のタイトルは「Saving and Improving
Lives in the Information Age」で、そのトピックスは、「最新技術」であり、
「ビッグ・データ」でした。その要約を以下に示します。

 技術進化の一例として、心電計が示されました。最初にできた心電計はたいへん大
きなものでしたが、その後、どんどん小型化し、現在では指先で心電図を採取し、そ
れをeメ−ルで送って、心房細動の診断ができるまでになっています。

 心房細動では心房内に血栓ができ、これが脳に飛ぶと脳梗塞(心原性脳塞栓)を起
こします。社会の高齢化と共に心房細動の患者数も増加しており、心房細動では脳梗
塞の予防がきわめて重要です。予防手段としては、血液を凝固しにくくすることが重
要であり、そのための薬としてはワルファリン(Warfarin)が有名です。

 ワルファリンは、1920年代に飼料として栽培されたスイート・クローバーという牧
草を食べた牛が出血で死亡することから、1933年、その原因物質としてウィスコンシ
ン大学で見つけられたジクマロールから作られました。ジクマロールはクマリンの誘
導体であり、ワルファリンはその経緯を反映してつけられた名前です。

W(isconsin) A(lumni) R(esearch) F(oundation) + (coum)ARIN

 最近、ワルファリンに代わる様々な抗凝固薬が開発され、その効果と副作用がワル
ファリンと比較されていますが、これらの新薬の開発には最新の技術が駆使されたと
いうことです。

 同じく最新の技術としては、iPS細胞を用いた心臓の再生医療が紹介されました。
iPS細胞を利用すると、皮膚の細胞からその人の心筋細胞を再現できるので、薬の効
果のスクリーニングなどに役立つことが示唆されました。これも個別化医療の一つで
す。

 その他、チップに心筋細胞でできたシートを載せ、種々の生理学的機能を計測する
Heart on a chipのようなミクロの応用から、大規模データを集積して、インター
ネット上で集団(コホート)を形成し、これを追跡する、ビッグ・データを利用した
解析まで、最近の革新的技術を用いた実用的研究が紹介されました。

 今年の学会長講演は、1つのトピックスに絞ったものではなく、現在、利用可能と
なっているICTを含めた様々な最新技術をどのように診療や研究に応用していくかと
いった、やや哲学的な内容でした。

 展示会場も見て回りましたが、大手製薬会社や機器メーカーの大々的な展示の片隅
に「iHealth」のコーナーがありました。血圧計や体重計がさりげなく置いてあるだ
けのたいへん質素な展示で、あまり人も集まっていませんでした。これからわが国で
もスマホと連携した測定機器や健康管理ソフトが出てくると思われますが、意外と静
かでした。アメリカでも、臨床医は、ICTを利用した健康管理や疾病管理に、まだ、
関心がないのかもしれません。


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     ドクターG収録に参加して          
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                      研修医2年目 清川 博貴

 去年の10月、総合診療科のローテートは自分にとって非常に充実したものでした。
診断のために自分で最初から診察し、検査の必要性を判断したうえで、自分で手を動
かす。この楽しみは総合診療でしか味わえないものなのだろうと感じていました。そ
んななか、松本謙太郎先生からの一言「来年ドクターGに出てもらうからね…!」そ
の時は「いやいや、僕なんかが…」と半信半疑でした。しかしあれよあれよという間
に先生は話を進めてくださり、いつの間にかテレビの制作会社の方からメールまで来
てしまいました。ここにきて初めて、「これは何だかオオゴトになってきてしまった
ぞ…」と感じ始めていたら、あっという間に今年の5月。東京行きの新幹線のチケッ
トを購入して、身震いしている自分に気が付きました。
 収録直前の2週間、診断学やら何やらいろんな本を買ってみてはななめ読みの連
続。頭に入るはずもありません。東京までもどっさり参考書を詰めていく様子はもは
や後のない大学受験生のようでした。国家試験の前日よりも眠れない夜を過ごして、
眼にクマを作りながらスタジオへ…。
 NHKで不定期に放送される『総合診療医 ドクターG』は、1人の指導医の先生=ド
クターGと、3人の初期研修医が出演し、指導医の先生の提示するケースプレゼンテー
ションおよびVTRから、病名を推理するというもの。我々の回のドクターGは、地域医
療機能推進機構本部 徳田安春先生だと楽屋で知らされ、ちょっと安心。これまでの
徳田先生の回は、比較的メジャーな疾患を答えとしたものだったのです。他の2人の
初期研修医の先生とあいさつもそこで済ませましたが、いかにも優秀なオーラに圧倒
されそうでした。
 簡単な打ち合わせとリハーサルがすみ、いよいよ収録本番。最初はガチガチに緊張
していて、後で放送を見てもまともに喋れていない自分が滑稽でした。しかしケース
プレゼンテーションが始まると、だんだん問題に集中していく自分がいました。それ
もそのはず、問題が難しくて緊張している場合ではなかったのです。テーマは「腹
痛」と一見わかりやすかったのですが、鑑別となる疾患が頭の中からすべて除外され
ていく始末…。答えを出すのに十分すぎる時間を使って、結局自分が出したボードは
「?」の一文字。お手上げでした…。結局他の2人の先生からも自信のある答えは出
ず、徳田先生の口から出た正解は「流行性筋痛症」。初めて聞く病名でした。まだま
だ勉強不足だな…そう痛感しながら、帰りの新幹線で悔しさを噛みしめることとなり
ました。

 最後になりますが、今回このような貴重な経験を得る機会を作ってくださいまし
た、松本謙太郎先生はじめ多くの方々に、厚く御礼申し上げます。また、来年以降出
演されることになる初期研修医の先生には、今度こそ正解を勝ち取って、名誉挽回を
果たしていただければと期待しております。


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      診療科紹介 救命救急センター (2)         
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                   救命救急センター診療部長
                   定光 大海

 前回に続いて、今回は救急科の紹介をさせていただきます。
 救急科が診療科として標榜できるようになったのは2008年からです。それまで救急
領域で働く多くの医師は各専門診療科に所属しているか、救急部あるいは救急・集中
治療部として病院の中央診療部門に所属した形をとっていました。個人的には、患者
さんから「何科の先生ですか」と聞かれると、救急科ですとは言えず、「救急です」
とか「救急部門で働いています」と言っていましたが、それは何科ですかと聞き直さ
れることが多く、困っていたのを覚えています。結局サブスペシャリティーの外科で
すとか、麻酔科ですと答えるのが理解されやすいので、そのように状況に応じて答え
ることが多かったと記憶しています。2008年度以降は正式に救急科が標榜できるよう
になりましたが、「救急科です」といって一般の人から問い直されることが少なく
なったのはごく最近のことです。社会的に救急医が認知されてきた結果だと思いま
す。救急科専門医とは、病気やけが、やけど、中毒などによる急病の方を診療科に関
係なく診療し、特に重症な場合に救命救急処置、集中治療を行い、病気やけがの種
類、治療の経過に応じて、適切な診療科と連携して診療に当たる医師、さらに救急医
療の知識と技能を生かし、病院前医療や災害医療に貢献できる医師と日本救急医学会
はホームページで説明しています。

 当院の救急科はこれまで総合救急部と称していましたが、総合とは、傷害が多臓器
に及んだり、診療科を特定できない病態の患者さんの初期治療と全身管理をするとい
う意味です。現在、救急科に所属する医師は専修医2名を含めた13名で、そのうち9名
が日本救急医学会の救急科専門医、3名が指導医です。救急科担当入院患者数は概ね
1年間で650名です。大半が院外心停止、外傷、熱傷、急性中毒、臓器不全といった
全身管理を要する傷病者です。一方で、救急搬送依頼をやむを得ずお断りする、いわ
ゆる不応需例も年間500件前後あります。社会のニーズにさらに答えるには、三次救
急という枠に縛られない新しい救急医療のシステムが求められているように思いま
す。超高齢化社会にともなう疾病構造の変化や診療報酬改定にも対応しなくてはなり
ません。それには総合診療部や他科との連携が欠かせません。救急領域の専門性を認
定する職域として救急認定看護師や救急認定薬剤師、救急撮影認定技師ができている
ことは前回すでに紹介しました。救命救急センターという場で薬剤師、放射線技師、
検査技師、医療ソーシャルワーカー等の専門家との連携も求められています。

 救命救急センターは地域医療の最後の砦としての役割も担っていますが、救急搬送
患者を入口で拒まない体制をとるには、同時に出口での円滑な流れを必要とします。
病院内だけでなく地域医療機関との連携も病床管理に不可欠です。慢性期医療機関と
の緊急連携ネットワークはすでに約5年間続けていて実績をあげています。病院前医
療を担う救急救命士に対するメディカルコントロール体制や災害医療にも救急科に所
属する救急医が主体的にかかわっているところです。


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     大阪府医師会フィルハーモニー
  「第10回オータムコンサート」を終えて
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                    ボランティアコーディネーター
                    藤本 和彰
                   
 2014年11月8日(土)午後3時、当院・講堂にて大阪府医師会フィルハーモ
ニーの皆さまによる「第10回オータムコンサート」を開催しました。
 大阪府医師会フィルハーモニーは、医療関係者を中心にそれ以外のメンバーも参加
しているアマチュアオーケストラです。年に1回の定期演奏会(平成26年6月29
日、第44回定期演奏会を開催)と、オータム、クリスマスシーズンにはいくつかの
病院のロビーをお借りしてコンサートを行っています。病院でのコンサートは、多く
の入院・外来患者様にお楽しみいただいております。
(以上、大阪府医師会フィルハーモニー ホームページより抜粋。)

プログラムは、
♪歌劇「セヴィリアの理髪師」より序曲、アリア「今の歌声は」(ロッシーニ)
♪「ハンガリー舞曲」第1番(ブラームス)
♪歌劇「魔笛」よりアリア「復讐の心は地獄のように胸に燃え」(モーツァルト)
♪指揮者体験コーナー:歌劇「カルメン」組曲より「前奏曲」(ビゼー)
♪「ジブリ・メドレー」:「♪君をのせて」「♪崖の上のポニョ」「♪いつも何度で
も」
♪「日本の四季・歌曲メドレー」:「♪故郷」「♪春の小川」「♪夏は来ぬ」「♪紅
葉」「♪雪」「♪故郷」

 ☆ソプラノ:関西二期会・大淵 夕季  ☆演奏:大阪府医師会フィルハーモニー
 ☆司会・指揮:高谷 光信

 オープニング曲は、ロッシーニ随一の人気作品である歌劇「セヴィリアの理髪師」
より序曲。続いて「ハンガリー舞曲」第1番を、フルオーケストラの迫力ある演奏を
聴かせていただきました。
そしてソプラノ歌手・大淵 夕季さんには、アリア「今の歌声は」「復讐の心は地獄
のように胸に燃え」の2曲を聴かせていただきました。その歌声は、昨年以上に力強
く、元気を与えてくれました。そして清澄感に富んだ歌声に心酔いを感じていまし
た。きっと、会場すべての人たちをも魅了したことでしょう。

 コンサート恒例、指揮者体験コーナー。今回の課題曲は、ビゼー作曲「カルメン」
組曲より「前奏曲」。会場の成人男性と女性、そして9歳女児の3名が挑戦されまし
た。オーケストラの指揮者体験という滅多にないチャンスに、緊張しながらも素晴ら
しい指揮者ぶりを発揮されました。「感想は?」の問いに、「感激で・・・ことばに
ならない!?」「うれしかった!」など、満足気にそれぞれに話されていました。

 司会者のウィットに富んだ楽しい会話と、リズムに合わせ会場一体となっての手拍
子に、楽しさと温もりを感じながら、とても幸せなひと時を過ごすことが出来まし
た。「ジブリ・メドレー」では、「♪君をのせて」「♪崖の上のポニョ」「♪いつも
何度でも」の3曲を聴かせて下さいました。世界中に、大きなセンセーションを巻き
起こしている宮崎アニメ。会場のお子さん達にも映画のそのシーンを思い浮かべなが
ら聴いていただけたのではないでしょうか。また、「千と千尋の神隠し」のメイン
テーマソング「いつも何度でも」では、ソプラノ歌手・大淵 夕季さんの、その歌声
に涙した患者さんもおられたのではないでしょうか。
 最後のプログラムは、「日本の四季・歌曲メドレー」です。「♪故郷」「♪春の小
川」「♪夏は来ぬ」「♪紅葉」「♪雪」そして「♪故郷」。日本の美しい唱歌を、オ
リジナルのメドレーで聴かせて下さいました。それぞれに唱歌を口ずさみながら、と
ても懐かしい気分に浸ることが出来ました。大淵 夕季さんの「アリア」の熱唱とは
一際違った、こころ和らぐ静かな歌声が、時の経つのを忘れさせるような心地よい気
分にさせてくれました。最後に全員で合唱した曲「故郷」。患者さんは日々それぞれ
に、色んな病気と闘っておられることを痛感しています。故郷は懐かしく、特別な居
場所として心に刻まれています。人それぞれの思い出や、人さまざまな想いが重なり
合って・・・、ホロッと涙された方がいらっしゃった様にも感じています。

 この「病院コンサート」は、入院患者さんや外来通院患者さんでもコンサート会場
に足を運ぶことが出来ない方々に、フルオーケストラの魅力をお届けするために行わ
れています。大きなホールの舞台の上でなく、病院のロビーなどで患者さん・ご家族
など、皆さんと同じ目線で、より親しみやすい形での音楽をお届けしようと、大阪府
医師会フィルハーモニー団員皆さまで取り組んでおられます。
今回も多くの患者さん達に、素敵な音楽と楽しい時間を届けて下さいました。そして
何よりも元気を下さいました。フィルハーモニー団員の皆さま、ボランティアの皆さ
ま、そして病院職員の皆さまの会場を見守る温かい眼差しがとても印象に残っていま
す。患者さんの一日も早いご回復と、ご退院を全員が願っております。音楽を通じ少
しでも心を和らげ、これからの療養のお役に立てれば幸いに思います。そして、この
病院コンサートが末永く続くことを願っております。
「楽しい時間をありがとうございました。」

 今回参加して下さった10代〜50代・60代以上の男女51名の方々から、「コ
ンサート感想アンケート」を届けていただきました。「全体的にいかがでしたか?」
について、51名全員の方から「よい」の評価をいただきました。
皆さまからいただきました貴重なご意見・ご感想は、今後開催するコンサートの企画
の参考にさせていただきます。ご協力有難うございました。

「大阪医療センターメールマガジン」ご愛読の皆さまへ・・・
音楽ボランティア募集のお知らせ:当院では「音楽ボランティア」のご協力で、年3
回(初夏・秋・冬の季節)コンサートを行っています。
初夏に“愛の夢”サマーコンサートを、冬12月に“愛の夢”クリスマスコンサート
を行います。
素敵なハーモニーやメロディを聴いたり、大きな声で歌ったりしながら楽しい時間を
過ごさせて下さいます。また、秋のコンサートは「大阪府医師会フィルハーモニー」
の皆さまが、フルオーケストラの魅力を届けて下さいます。“愛の夢コンサート”に
出演を希望される方、また、MC(master of Ceremonies)として楽しい時間をご一
緒しませんか。
出演ご希望の方は、管理課ボランティア担当までご連絡下さい。

・管理課ボランティア担当   →TEL:06-6942-1331(代表)
・ボランティアホームページ →http://www.onh.go.jp/volunteer/


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      看 護 の こ こ ろ        
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                 西7階病棟 松岡 幸枝

 街のイルミネーションや年末らしい空気感に心躍らせながら、皆様9連休という長
期のお正月休みに向け、師走という名にふさわしい忙しい毎日を送られている頃かと
思います。冬の寒さも日に日に厳しくなりインフルエンザも猛威をふるう中、皆様体
調には充分にお気をつけください。

 私は看護師10年目の今年4月から副看護師長に昇任し現在の腎、循環器、呼吸器、
感染症内科、総合診療科の混合病棟に異動となりました。2年目までは他院で内科・
外科の混合病棟で働き、3年目から大阪医療センターに異動し7年間消化器・呼吸器外
科病棟で働いていました。今回は、私が異動したことで再会したAさんについてお話
させていただきます。
 Aさんは消化器外科の手術の中で最も侵襲の大きい手術の一つである食道癌の手術
目的で入院されました。Aさんは糖尿病を患っておられました。手術を受ける患者さ
んにとって糖尿病を患っていることは、術後の合併症のリスクを格段に上げる一要因
となります。そのため、術前・術後の血糖管理は大変重要です。Aさんも厳密な血糖
コントロールを行い、手術となりました。糖尿病等の基礎疾患がなくても術後の合併
症が起こる可能性の高い大きな手術でしたが、術後の超急性期から回復期、退院指導
にいたるまでチームで一丸となって看護をし、Aさんは術後の合併症を発症すること
なく、血糖コントロールも良好で順調に回復され退院されました。その数年後、私は
現在の内科病棟でAさんに再会しました。食道癌は再発率の高い癌です。しかしAさん
は再発することなく数年を過ごされており、あの時看護させていただいた患者さんが
今も元気に過ごされているということに私は喜びを感じました。Aさんの今回の入院
目的は、糖尿病性腎不全の進行による透析導入目的でした。手術後も糖尿病に関して
は通院しながらコントロールされていましたが、徐々に悪化して今回の入院に至りま
した。
 私は現在の病棟に異動してから、腎不全で入院されるたくさんの患者さんと関わる
中で、その看護の難しさと大切さを痛感していました。外科病棟において糖尿病を患
いながら手術を受ける患者さんの血糖コントロールの第一の目的は、術後合併症を起
こさないためです。しかし患者さんは手術を受けたら終わりではなく、退院後のそれ
からの長い人生糖尿病と共存し続けていくのです。今回Aさんと再会し、私はあの時
「食道癌の手術を受けた患者さん」の看護ばかりに目を向けていたのではないか、目
の前のAさんの数ヵ月後、数年後を本当にAさんの立場に立って考えられていたのだろ
うかと振り返る機会となりました。
 生活習慣病の患者さんの中には、精一杯努力をしても徐々に悪化してしまい入退院
を繰り返される方もおられます。その中で入院期間中という限られた時間の中でも、
患者さんにとってより良い実行可能な生活指導、患者さんに前向きに取り組んでいた
だけるような関わり、今だけではなく、これからを考えた看護を提供していくことが
大切であり、実践していきたいと思っています。


ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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                     研修医2年目 中川 智義

 こんにちは。研修医2年目の中川智義です。私が大阪医療センターで研修医として
働き出してから既に1年と9ヶ月が経過し、研修生活も残すところわずか3ヶ月ばかり
となってしまいました。今頃この「研修医日記」のコーナーをご覧になっている皆さ
んは、きっと、マッチングで大阪医療センターに内定し、あとは国家試験合格のみと
勉強に励んでおられる6年生がほとんどか、あるいは意識の高い成績優秀な5年生か、
いずれにせよ、来るべき研修医生活に向けて期待に大きく胸を膨らませている方々で
あることに違いはないでしょう。私も医学部6年生だった頃、マッチング試験に先
立ってこの「研修医日記」を読み込み、医師として働く自分の姿を白昼夢に描いてい
たし、また、数多くの先輩方からのメッセージは、実際の面接試験でとても役に立っ
たことを覚えています。今回は、そのお返しとして、当院での研修の特徴について少
し書いてみようと思います。皆さんがご自身の将来像についてのイメージを膨らませ
る一助となれば幸いです。 
 大阪医療センターでの初期臨床研修の最大の特徴は「必修ローテート科・期間が非
常に多い」ということです。1ヶ月にわたるオリエンテーションののち、総合内科
(腎臓・脳卒中・呼吸器・糖尿病・血液)=3ヶ月、消化器内科=2ヶ月、循環器内科
=2ヶ月、総合診療部(救急内科の要素も含む)=1ヶ月、外科=3ヶ月、救命救急=
2ヶ月、麻酔科=2ヶ月、産婦人科=1ヶ月、小児科=1ヶ月、地域医療=1ヶ月、精神
科=1ヶ月、自由選択=4ヶ月というボリュームある研修が続きます。利点としては、
院内の内科系診療科のほぼ全てをじっくりローテートできること(ただしHIV感染症
診療に長けている感染症内科は必修科ではなく、選択希望科としてのみ選択でき
る)、また、3次救命(当院は3次指定救命救急センター)研修が単科で2ヶ月設定さ
れていること等が挙げられます。平成22年度の厚生労働省による医師臨床研修制度の
見直しにより、スーパーローテートのうちの必修期間は大きく短縮することが可能と
なり、内科6ヶ月、救急+麻酔3ヶ月、+αとして選択必修(精神科や産婦人科など)
を修了すれば、2年目の1年間はそのほぼ全てを将来自分の進む科での研修に費やすこ
とができることになり、多くの病院がその方向へと舵を切っています。しかしながら
当院では相変わらず、19ヶ月もの長い期間を必修科目に充てています。これは、学生
のうちから既に将来進む診療科を決めている方々にとっては少しネックになると考え
られます。「同じ○○科に進む他の病院の友人は選択で10ヶ月も○○科を回っている
のに、俺は2ヶ月しか選択せぇへん…!!大丈夫なんかな??」という不安を持つ人
も多いでしょう。実際私も、当院で研修をするに当たりこの点が唯一の不安材料でし
た。たとえ先輩たちに「これから将来何十年もずーっとひとつの診療科を専門にする
のに、最初の1年ぐらい誤差やで!」と言われても、不安はそうそう拭えません。
 しかし、この不安は杞憂に終わりました。なぜなら、19ヶ月にわたりいろいろな科
をローテートして得られた知識や経験は今後の医師生命にとって極めて有用な資産と
なり、その利益は、最初の1年間、専門研修の開始が遅れるデメリットを遙かに上回
ると思えたからです。正直、私は学生時代に講義や実習をそこまで真面目に受けてお
らず、内科での研修は、自分自身のわずかばかりの知識(というかほぼ無知!)と、
目の前で繰り広げられる患者さんの病態への医療の介入とのギャップのあまり、非常
にハードなものでした。自己弁護するわけではありませんが、たとえ学生時代にきち
んと勉強していたとしても、机の上で学んだ病態生理と、実際患者さんの身体で起き
ている問題に対してどのように評価し介入するかということとの間には大きな隔たり
があります。無学な自分がこのギャップに挫折せず、時間外外来もある程度こなせる
人並み程度の医師に成長できたのは、ひとえに、大阪医療センターの先輩先生方のお
かげだと感じています。当院の先生方は、部長からレジデントまでどの先生も大変教
育熱心かつフレンドリーです。どんな質問をしても一緒に考えて下さり、私達のレベ
ルにあわせた丁寧な指導をしてくれます。数多くの熱心な指導医とともに、内科系
8ヶ月に救命・麻酔4ヶ月、さらには外科3ヶ月もローテートすれば、大抵の疾患への
初期対応やICUでの全身管理もある程度可能となります。今では、初期研修で長期間
多くの必修科を回っておいて本当に良かったと思っています。たとえ将来進む科が決
まっていたとしても、それ以外の数多くの診療科をじっくりローテートすることで、
将来専門の科に行っても必ず役に立つ基本的な診療能力を得ることができます。もし
この日記を読んでいる学生さんの中に、当院での研修で選択期間が短いことを不安に
思っている方がいたら、心配は無用です。
 もちろん、将来の進路を決めていない人にもおすすめの病院です。当院にも弱い分
野があることは事実です(肺癌以外の呼吸器疾患、甲状腺、リウマチ、神経筋疾患、
…)。しかし、それ以外の分野ではマイナー科を含め各科とも高い水準の専門性の高
い医療を実践しており、当院初期研修中に将来の診療科を決めることも可能かと思い
ます。
 以上、「研修医日記」とは言い難い、片寄った内容(というか勧誘?笑)となって
しまいましたが、私の2年前の不安と同じ不安を持つ人へのアドバイスになればと思
い、必修期間のことについて書かせて頂きました。来年、あるいは再来年の4月、大
阪医療センターでお会いできることを心から楽しみにしています。


臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 楠岡英雄
編 集 長:副院長 多和昭雄、中森正二、関本貢嗣
     副院長・看護部長 渡津千代子 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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いよいよインフルエンザの季節です。12月5日に国立感染症研究所がインフルエンザ
流行入りを宣言しました。大阪も入っています。流行のピークは1月下旬から2月上旬
とのこと、インフルエンザの予防注射を受けましょう。手洗い・うがいもおわすれな
く。
メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。

www-adm@onh.go.jp

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