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メールマガジン「法円坂」No.172(2015/9/15)(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)



  この度の北関東と東北地方で水害の被害に遭われ方々にはお見舞い申しあげ
ます。例年になく暑い夏でしたが、9月に入り、秋雨前線の影響か一転朝夕は
過ごしやすくなりました。皆様の体調はお変わりありませんか?このメルマガ
が発行される頃には、秋晴れの日が続いていることを願います。
メルマガ9月号をお届けします。
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   メールマガジン「法円坂」No.172(2015/9/15)
          (独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター)
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今月号の目次
 ・院 長 楠岡 英雄 です
 ・診療科紹介 精神科 
 ・ボランティア活動へのお誘い
  ボランティアグループ「綿の花 えほんの会」のご紹介
 ・看 護 の こ こ ろ
  ・研 修 医 日 記
 
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         院 長 楠岡 英雄 で す
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8月中旬にある患者さんのご家族から院長宛にお手紙をいただきました。匿名
でのお手紙でしたので、お返事を直接お返しすることができません。そこで、
このメルマガでお返事させていただきます。このメルマガをご覧になっておら
れることを願っております。

 まず、いただいたお手紙の趣旨ですが、お母様が当院で大腸がんの治療を受
けられ、そのことへのお礼がありました。次いで、1つの疑問を呈されていま
した。それは、先発医薬品と後発医薬品(ジェネリック医薬品)の当院におけ
る使い分けについてでした。

 お母様の受けられた抗がん剤治療に関連し、抗がん剤でも後発品があるもの
は後発品へと切り替わっている中で、「カンプ卜」が、後発品があるにもかか
わらず、先発品である「カンプト」を使っていることへの疑問でした。お手紙
から直接引用させていただくと

「販売会社のヤクルトのホームページで、医療担当者への支払について拝見し
ました。国立大阪病院の先生も謝金をもらっているようです。何か関係がある
のではないかと正直想像してしまいました。」

ということでした。それに続けて、

「大腸癌の化学療法は、他の癌と違い長期間にわたる治療と伺っております。
少しでも負担の軽減になればと考えており、後発品への変更を希望します。」

ともお書きになっていました。

 たいへんもっともな疑問であり、昨今の製薬会社と研究者との利益相反に関
わる不適切な事案をみると、このような疑問を持たれる方がほかにも多数いら
っしゃると思います。

 ここから、お返事になります。

 先発品と後発品とは、そこの含まれている、有効性の根拠となる化学物質は
全く同じで、違いは薬剤として使いやすくするために加えられている増量剤な
どの成分です。したがって、先発品と後発品は治療の上で完全に互換性がある
と思われると思います。たしかに、多くの後発品はその通りですが、一部の後
発品は完全に先発品に置き代われない事情があります。

 それは、その薬の適応症として国から承認を受けている範囲です。「適応症」
とは、治療にその薬を使ってよいと国から承認を受けた病気のことです。

 ほとんどの後発品においては、その適応症は先発品と同じであり、したがっ
て、完全に互換性があります。しかし、一部の先発品には、まだ後発品が承認
を取得していない適応症を持つものがあります。先発品が市場に出た後、追加
の治験が行われ、適応症が追加されることがあります。この場合、後発品が認
可されるときには、先発品が最初に取得した適応症のみに承認が下り、追加で
取得された適応症への認可はしばしば遅れます。つまり、この追加された適応
症に対しては、後発品がありながら、先発品しか使えないという状況が存在す
ることになります。

 今回、疑問を呈された「カンプト」がまさにその一例です。「カンプト」の
適応症の一部が後発品では取得できていなかったため、当院では先発品である
「カンプト」を使用していました。しかし、後発品も適応症の拡大がなされた
ため、当院でも7月の会議で、「カンプト」の在庫がなくなり次第、後発品に
切り替えることとなっています。

 お手紙をいただいた方の場合、「カンプト」の後発品への切り替え直前に治
療を受けられたので、このような疑問を持たれたのだと思います。今後は「カ
ンプト」も後発品に切り替わりますので、ご希望に添えるものと思っておりま
す。

 いただいたお手紙の最後には、

「誠に勝手ではございますが、国立大阪病院とは今後も信頼関係を持ってお付
き合いをお願いしたいと思っておりますので、今回このような手紙を匿名にて
差し上げる失礼をお許しください。」

と書かれていました。

 私たちも、日頃、後発品使用の促進に邁進しているつもりでしたが、薬剤の
承認制度の狭間で今回のような疑問を持たれる方のことまでは配慮に欠けてい
た点があったと反省しております。また、余計なご心配をおかけし、申し訳な
く思っております。

これからも、患者さん、ご家族が当院で安心して治療を受けていただけるよう、
心配りをするつもりですが、もし、何か疑問に思われることがあれば、どうぞ、
遠慮なく、ご指摘いただきますよう、お願い申し上げます。


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     診療科紹介 精神科           
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                   精神科 科長
                   廣常 秀人

 当科は、常勤4名、非常勤2名(1名週1回外来、1名脳波判読専属)の精神
科医で運営していますが、現在院内のコンサルテーション−リエゾン精神医療
に特化しており、院外からの新患をお受けしておりません。それは、当センタ
ーですでに治療を受けておられる患者さんの精神医療を充実させるため、ひい
ては地域からご紹介頂いた患者さんの医療の質をより一層向上させることにつ
ながると考えているからです。
 当センターは、国立病院機構の病院として政策医療(国民の健康を守るため
国を上げて取り組まねばならない疾病を対象とする医療)、つまり癌、循環器
病、エイズ、ウィルス性肝炎への医療、救命救急医療、大災害に対する災害医
療などを掲げています。
 これらに限りませんが、傷病は人生の大きな危機となり、人のこころに重大
な影響を与える出来事となり得ます。これらを機に誰しもがうつ病を始めとす
る精神的な病に陥る可能性があります。精神的な病が、元の身体の傷病の予後
に大きな影響を与えることはよく知られていることです。
 また、救命救急センターに運ばれてくる患者さんのうち、自殺企図者が例年
2割から3割を占めています。日本の自殺既遂者数はここ数年ようやく年間3
万人を切り、減少傾向にありますが、その背景には自殺既遂者の40倍に及ぶ自
殺未遂者が存在していると言われ、さらに自殺未遂の既往者は自殺を完遂して
しまう可能性がとても高いと言われています。救命救急センターに運ばれた自
殺未遂者への精神科的介入も私たちは大きな力を注いでいます。このような介
入により、その後の自殺を予防できるかもしれないからです。
 緩和ケアへは、癌やHIV感染症患者さんに対して緩和ケアチームの一員とし
て日々参加しています。緩和ケアに限らず、精神障害をお持ちの患者さんが身
体疾患を伴ったとき、当センターには身体科病棟しかありませんが、その中で
可能な限り身体疾患の治療が円滑に受けることができるよう、全力でサポート
して参ります。
 地域医療連携室にお問い合わせください。


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   ボランティア活動へのお誘い
   ボランティアグループ「綿の花 えほんの会」のご紹介    
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                    ボランティアコーディネーター
                    藤本 和彰

 大阪医療センターボランティアは1997年(平成9年)1月に導入され、
今年19年目を迎えました。導入後「法円坂」「患者情報室」「園芸」「音楽
」を初めとする多くのボランティアグループに参加していただいております。
外来・入院患者さんの院内案内や、医療情報の提供、院内外の環境緑化、音楽
コンサートの開催など、いまも多種多様の活動が、8グループ・100人を超
えるボランティア皆さまのご支援ご協力により継承され、患者さん・ご家族が
病院で快適に過ごせるよう日々活動しております。
 現在、小児科病棟には「絵本の読み聞かせ」を中心に活動されている、二つ
のグループがあります。ひとつは「絵本サークル どんぐり」(メールマガジ
ン「法円坂」No.170でご紹介)、そして今回ご紹介します「綿の花 えほんの
会」のグループです。

「綿の花 えほんの会」                        
 綿の花 えほんの会は、施設に入所していたり病院などに入院している子ど
も達に、絵本を通して楽しいひとときを持っていただこうと活動しているグル
ープです。
 大阪医療センターには、2005年(平成17年)6月から活動しています。
毎週月曜日に、えほんの読み聞かせ会と絵本の貸し出しをしております。
 クリスマス会には、大きな絵本や、パネルシアター、人形劇なども組み込ん
だ楽しいプログラムで参加いたします。どの子も、絵本を読んでもらうのが大
好きです。入院中のひと時を楽しんでもらえたらと、その子に合ったふさわし
い絵本に出会っていただけるように努めています。
子ども達の笑顔や、付添いのご家族の“ほっ”としたお顔に、喜びと元気をい
ただいています。
絵本のボランティアを希望される方は、どうぞお仲間になってください。絵本
の読み方・絵本の選び方などの研修も致します。

活 動 内 容
(1)活動日:毎週月曜日(祝日はお休み)
(2)活動時間:午前10時30分〜11時30分
(3)活動:
1.絵本の読み聞かせや手遊びなど:ベッドサイドで一人ひとりに(約15分)
2.絵本の貸し出し:絵本を載せた「ブックトラック」を各病室に運び、1人
  2冊づつ貸し出しを行います。
3.絵本の返却:プレイルームの返却箱に入っている絵本を回収します。

代表 小西 萬知子

綿の花 えほんの会代表・小西 萬知子さんの、こころのお便りをご紹介しまし
た。
「綿の花 えほんの会」の皆さまより、当院・小児科病棟に入院中の子ども達に、
絵本を届けていただく活動は、2005年(平成17年)6月から始められ、
今年11年目を迎えました。登録ボランティアメンバーは16名(9月現在)
です。
「綿の花」の活動に参加していただくためには、絵本の読み聞かせの勉強は欠
かせません。よく、だれにでもすぐできると考えられがちですが、子どもと絵
本の出会いはとても大切なものです。その子に会った、楽しめる絵本に出会わ
せてあげるためには、読み方の技術も重要ですが、絵本をたくさん知っている
ことが必要です。
特に体調の優れない時に、見知らぬ人と話すだけでも子どもにとっては負担に
なると思います。子どもさんと楽しく話しながら絵本を通して、ぬくもりのあ
る、楽しいひと時を過ごしていただかなくてはなりません。

「綿の花」では、毎年絵本の読み聞かせ講座を開いております。子どものこと、
絵本のこと、読み聞かせの技術などを勉強していただいております。活動に興
味のある方は、是非ご参加ください。詳しくは下記ホームページをご覧くださ
い。
「さわる絵本の会つみき」→http://www9.plala.or.jp/sawaruehon

 また、大阪医療センターでは病院ボランティアを募集しています。
現在100余名のボランティアの方々が活動されています。一緒に活動してみ
ませんか。ボランティアを希望されます方、お待ちしています。
管理課ボランティア担当までご連絡ください。

・ボランティアホームページ→http://www.onh.go.jp/volunteer/
・電話番号→06−6294−1331(代表) 


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      看 護 の こ こ ろ        
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                    東6階病棟 副看護師長
                    倉本 敦史 

 さわやかな秋風が吹く季節になってまいりますが、今年は残暑が続くようで
すので、熱中症や夏風邪などに、お気をつけながら過ごしていただければ幸い
と思います。私は、今年度から整形外科病棟に副看護師長として昇任し勤務を
しています。以前も小児科と整形外科の混合病棟で勤務をしていましたが、ま
だまだ不慣れなことが多く日々慌ただしく過ごしています。そのような中でも
私が看護師経験2年目の頃に受け持ったある男の子とそのご家族の関わりから、
今後どのような状況でも意識しようと心に決めていることがあるので、その内
容を紹介させていただきます。
 その男の子は悪性の脳腫瘍で入院され、すぐに緊急手術となりました。ご家
族にはこの手術が終わっても化学療法・放射線治療が必要であることも説明さ
れました。根治的手術はできない状態でしたが、放射線治療も終え抗がん剤の
内服を行いながら一時は学校へも通うことができていました。しかし、徐々に
病状は進行し、意識レベルも下がり、刺激に対する反応も少なくなりました。
呼吸状態も悪化し酸素が必要となり以前のように外出することも困難な状態に
なりました。他職種とのカンファレンスを重ね男の子・ご家族への関わり方を
模索している中で、病棟恒例の花火大会の季節が巡ってきました。もう予後は
長くなく急変するリスクもありましたが、ご家族に花火大会の参加を提案しま
した。ご家族は不安を抱いていましたが、多くのリスクも承知し参加して頂け
ることになりました。花火大会の当日、他の子どもたちが楽しそうに歓声をあ
げるなか、男の子の声は聞くことができませんでしたが、ご家族に花火を持た
せてもらっている男の子の姿があり、ご家族も笑って過ごしていました。
その後、まもなくして男の子は亡くなりました。
 しばらくしてご家族より手紙を頂きました。「最後までいろいろなことがで
きて、とても幸せな日々を家族で過ごすことができました。ただ、息子の傍に
座っていることしかできず、何が出来るのか想像もつかなかったけれど、あの
とき声をかけてもらって、正直救われた気がしました」と書かれていました。
親よりも先に亡くなってしまう子に、何もできずにただ傍にいて無力感に襲わ
れるだけではなく、最後まで周りの子どもたちと同じように過ごすことができ
たということが、親として子どもに何かしてやれたという気持ちになり、その
ことが親の役割を果たしているという心の支えになったのではないかと感じま
した。入院して一番つらいのはご本人なのですが、そこに関わっているご家族
など周りの人たちとの関係にも看護があると感じることができた経験でした。

 ご家族との信頼関係は、ご本人への安心感・信頼関係にも繋がります。ご家
族の方へも安心・信頼していただき家族の役割を見いだせるようなサポートを
していくとともに、今後の超高齢社会を見据え、家族に必要な社会資源を提供
できるよう、ご家族の方が来られていたら積極的に声をかけるように心がけ、
スタッフ全員でサポートできるように日々取り組んでいきたいと思います。


ホームページ→http://www.onh.go.jp/kango/kokuritu.html


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          研 修 医 日 記
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                     研修医2年目 柴田 久美

 当院での研修医生活について、研修医日記という名で、先輩方が様々なこと
を書かれてきて、メリット、デメリット含めて、大体のことは書き尽くされて
きたのではないかと思います。研修制度、各々の研修の仕方、立地のよさなど
など・・・。私も目新しいことは書けませんが、少しでも雰囲気が伝わればと
思って書いてみようと思います。

 1年半ほど研修を終えて、私にとって最も感じるメリットは、なによりも各
科の垣根の低さです。多くの科をローテートすることもある上、教育熱心な先
生方が多く、ちょっとした疑問や、治療方針について行き詰まったときなど、
気軽に@@先生に聞いてみよう!と連絡してみることができるのは、本当に素
敵なことです。新しく赴任してこられたスタッフの先生に**先生って知って
る?ちょっと聞いて見てくれる?などと頼まれるほど、研修医の私たちならで
はの各科の先生方との交流の深さが魅力です。一番近い目線で教えてくださる
後期研修医の先生方だけでなく、豊富な知識と経験をもったスタッフの先生方
ともお話できる機会をたくさんもつことができます。

 その他たくさん良いところはありますが、それらの紹介は今後の研修医日記
に任せるとして、少しでも興味をもたれた方はぜひ一度見学にきてみてくださ
い。各科の見学の後に、見学に来た方のほとんどが「仲がいいですね!」と言
う研修医たちの雰囲気を見ていってくださればと思います。

 
臨床研修のホームページ→http://www.onh.go.jp/kensyu/index.html


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総編集長:病院長 楠岡英雄
編 集 長:副院長 多和昭雄、中森正二、関本貢嗣
     副院長・看護部長 渡津千代子 
編   集:百崎実花
発  行:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター院長室
         (〒540-0006 大阪市中央区法円坂2-1-14)
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 稔りの秋、収穫の秋、そして食欲の秋です。秋の味覚の「秋刀魚」は、今年
も不漁のようです。高嶺の花の「松茸」は今年からは北欧からも輸入されるよ
うになったようで、少しは口許に届くようになるでしょうか?これからの秋の
夜長のお酒の友に、「秋刀魚」も「松茸」も気軽に楽しめるようになる事を願
っています。それでは、次号をお楽しみに。


メールマガジンのご感想をお聞かせ下さい。
www-adm@onh.go.jp

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